惑星ソラリス

ALLTIME BEST

劇場公開日:1977年4月29日

解説・あらすじ

ロシアの名匠アンドレイ・タルコフスキーが、ポーランドの作家スタニスワフ・レムの代表作「ソラリスの陽のもとに」を映画化した傑作SF。未知の生命体と接触し極限状態に置かれた人間の心理を独特な映像表現で描き、1972年・第25回カンヌ国際映画祭で審査員特別賞を受賞した。海と雲に覆われ、生物の存在が確認されていない惑星ソラリス。科学者たちはソラリスの海に理性があると考え接触を図るが、失敗に終わる。宇宙ステーションは謎の混乱に陥り、地球との通信が途絶えてしまう。心理学者クリスが原因究明のため送り込まれるが、友人の物理学者は既に自殺しており、残る2人の科学者も怯えきっていた。やがてクリスの前に、数年前に自殺した妻が姿を現す。

1972年製作/165分/ソ連
原題または英題:Solaris
配給:日本海映画
劇場公開日:1977年4月29日

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写真提供:アマナイメージズ

映画レビュー

5.0 タルコフスキー世界デビュー作であり官能映画

2025年8月23日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD、映画館

知的

癒される

ドキドキ

この作品は1977年に神保町の岩波ホールでの上映初日の午前の回で見たと記憶してます。その時私は二十歳。
映画情報誌で形而上学的なSF映画だと言う説明。かなり混むだろうと思って行ったが観客は私を含めて五人ぐらい。
この作品は1972年のカンヌ映画祭に出展され、審査員特別グランプリをとっているのですがほぼ無名のソ連の監督作品なので5年遅れで細々とした上映でした。その後の「鏡」「ストーカー」「ノスタルジア」「サクリファイス」が次々と普通の映画館で上映されるようになりました。
日本で一般に認知されるのは1980年の「鏡」上映以降です。
鏡は日本の映像作家に影響を与えました。モダンな映画作家でした。1986年に亡くなった時はショックでした。知的映像を世界に与えて去ってしまった。ジョンレノンが亡くなった時と同じような喪失感を感じました。
惑星ソラリスに戻ります。映画「惑星ソラリス」はSF映画ではありません。恋愛映画。官能映画。自然からの癒しを渇望する映画なので、映画の見方を間違えないように。初歩的な間違いをして評価をする人がいます。
この作品は私の映画ベスト10に入ってます。官能映画としてはヒッチコックの「めまい」と双璧です。
どのシーンが脳に来るか?
「妻」ハリーが夜になると部屋に来て、椅子にショールをかけてベッドに入りますが翌日は椅子に掛けたショールが二枚になる。
ハリーが悩む姿は現在の21世紀に生きる人類よりも真に人間的です。
タルコフスキーが21世紀の今の日本を見たら悲しむしかない。消費と生産の循環しかしていない。こんな21世紀になって先人に申し訳ない。情け無い。
くだらない消費映画ばかりでただただ申し訳がないです。

どこが官能的に美しいか?
水草が湧き上がる水流にたゆたう姿。
自然は人類のように地球に反逆的ではないから癒される。
レビューを書いてきたらタルコフスキーが得難い映画作家だと思い返しました。五つ星しかない。

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Kenku

3.0 眠くなる、わからないのに、巻き戻してでもまた見たくなる不思議な映画。

2025年5月15日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

知的

難しい

驚く

何気ない映像にくぎ付けになる。
 水の流れにそよぐ草草。まるで、何かの触手のように、私を誘う。
 水の流れの中にそよぐ、緑。
 首都高。均等なスピードで進む流れ。道自体が意思を持っていて、ただ、その流れに乗って、私の意思とは関係なくどこかに連れていかれるような。
 首都高の光の帯。実際に日本の物流の大動脈ではあるのだが、この映画の世界観の中で脈打つ大動脈に見えてくる。それ自体が、意思を持ってうごめいているようにも。
 大写しになる、多少凍った紅葉した葉、葉、葉。
 宇宙ステーションの窓の外は光の洪水。
 目を凝らせば、ソラリスの海は鳴門の渦のようにうねる。それ自体が何かの意思を持っているかのように。
 人でさえ、会話をしているときよりも、黙ったままの眼差しに食い入ってみてしまう。

『ノスタルジア』のレビューでも書いたが、何か意味づけがあるのではないかとフロイトの夢分析やユング心理学を片手に、感性と想像を駆使して読み解きたくなる。目が離せなくなる。
 映像の詩人と呼ばれたとか。確かに。

贖罪?
 自分の言動がきっかけで、自死した妻が現れる。どんな気持ちなのだろう?
 だが、その妻は姿かたちは似ているものの、自分が何者かわからない。ドアの開け方も知らない。なのに、同じことを繰り返す。時間の轍にはまったように。
 贖罪が執着に変わっていく。

他の科学者たちにはどんな”お客さん”が来たのだろうか。
 眠っている間に頭に浮かんだことが見える化する。意識しての思念や記憶ではなく、前意識、よりむき出しの欲望に近いもの。場合によっては、打ち消したい、心の奥底にしまっておいたもの。確かに、人には見せたくない。そんなものが毎回、こちらの心の準備なく現れたらきつい。「これは単なる物質だ」そう認定しなければ、やっていけないだろう。

そして、人は何をもって、同じ人と認定するのだろうか。『オブリビオン』にも通じるテーマ。
 そんな人もどきであっても、容貌が似ているだけで、愛せるのか?愛とは何なのだろうか?
 フロイトの転移を持ち出して、解説したくなる。

自分自身に跳ね返ってくる問い。
映画が答えをくれるわけではない。
映画の登場人物との対話で、自分自身が探す答え。

そして、そんなお客さんに耐えられなくなった科学者たちが、ソラリスの海に行った作戦により、大きく舵が変わってくる。
 クリスの脳に浮かぶものに反応したソラリスの海、ああいうラストに繋がる。
 原作と大幅に変えたというラスト。
 監督の意図を逡巡し、意味づけるけれど、これと言った正解はなく…。

SF映画でありながら、科学の暴走への怒りも強い。
 「ヒロシマ」当然、原爆の悲劇のことを言っているのだろう。
 無知なので、X線と放射能がどう違うのかは知らないが、
 X線をソラリスに放射してから、困った現象が現れたと言い、無暗な対策を非難している。
 放射能でケリをつけたいサルトリウス博士。放射能を放射するということは、すべてを破壊するという意味か。それを阻止しようとするスナウト博士。
 その結果の、個人的意味合いの原点回帰?

役者さんたちはそれぞれに味がある。
クリスの父とクリスの体形が違いすぎで、父子に今一つ違和感はあるが。
クリスの父と、バートン博士の若い頃と老けた様子。クリスの火傷の跡(水ぶくれ)。そのメーキャップが自然。
だが、圧巻はハリーの蘇生。すごすぎる。あまりにも生々しすぎて、美しいのだが、目をそむけたくなる。

幾重にも意味付けされているような気がして、次こそはと挑戦したくなる。
自然の美しさ、日本人なのに田舎の原風景に揺蕩う心地よさと相まって。

(原作未読。リメイク版未鑑賞)

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とみいじょん

4.0 「ヒロシマのように」

2025年3月13日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

恥ずかしながら一部うつらうつらとしてしまい理解不十分。それでも、印象に残る作品。

日本の首都高(?)がずっと映し出されるシーン、これは未来的な光景として選ばれたのだろうか。標識や看板に映る日本語を見ていると何とも不思議な気分になる。

また、無重力のシーンは短いながらもとても美しい。こんなにも個性的で印象的なシーンはなかなか無い。この作品を観ていると、人や愛の本質は何かという事について考えさせられる。

愛と逃避を混同してしまった主人公と事実基づく判断をする科学者。AIやクローン、フェイクニュースや偏向情報が溢れる現代、気をつけないと偽りの世界の住人になりかねないという、今改めて観るべき作品のようにも思える。

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komasa

5.0 地球に帰りたくなる映画‼️

2025年1月26日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、DVD/BD

興奮

知的

幸せ

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活動写真愛好家