劇場公開日 1950年12月29日

「炭鉱町で毅然と生きた人々を描いた人間ドラマ。」わが谷は緑なりき 瀬戸口仁さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5炭鉱町で毅然と生きた人々を描いた人間ドラマ。

2024年10月15日
PCから投稿

19世紀末から20世紀初頭にかけて、ウェールズの炭鉱労働者の一家の歩みを、末っ子だった男性の幼いころの回想という形で描いた、ヒューマンドラマ。

老父と5人の兄が働く炭鉱町。賃下げをきっかけにしたストライキに、老父は参加しなかった。末っ子のヒューと仲良くなった牧師は、姉アンハードと思いを寄せあうが、神への信仰を優先する。

貧しい田舎町でも、誇りを持って生きる人々を描いたヒューマンドラマ。炭鉱労働者のコミュニティで、慎ましく生きる家族に訪れた変化を、郷愁を誘うタッチで、しみじみと、かつ、堂々と描いた人間ドラマだ。

甘い話と言われればそうかもしれないが、古典的なハリウッド映画らしい感動がある。多くの悲しみに遭遇しても、毅然と生きる人生を、悲痛ではあるが、実に美しく描いたドラマだ。

瀬戸口仁