ワイルドバンチのレビュー・感想・評価
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ひっくり返された西部劇
西部劇史上の問題作です。
後進に影響を与えた監督としてはヒッチに次ぎます。
時代劇同様の西部劇のお約束を根こそぎひっくり返した170km剛速球のバイオレンス大作です。
七人の侍で世界の度肝を抜いたスローモーションを全編使いまくって、怒涛のマシンガンと血の海です。
さすがペキンパー先生
このバージョンの劇場上映は日本でされた事が無い
これは現在では、“回想シーンなどが無い短縮編集バージョン”に該当するもので、初めてのソフト化でアメリカ版VHSで発売されて以降、長年ずっとこちらのバージョンでしか観ることが出来ない状態が続いていました。
初公開当時劇場で複数回鑑賞歴があった日本劇場公開版については、元々“回想シーンを含むバージョン”であった事は間違い無く、当初より「ディレクターズ・カット」に相当するバージョンでのみ公開されていたものです。
映画人生でも最愛の部類に含まれる今作は、高額なアメリカ版ビデオで初回発売され際に(日本字幕版を待っておられず)喜び勇んで購入したのがこのバージョンでした。
「あのシーンが無いなんて、何かの間違いじゃ無いかっ!?」と衝撃を受け、打ちのめされました。
可成り後年になって『ディレクターズ・カット版』と称して、「元々の日本公開版」に準じたバージョンの鑑賞が叶うようになった際には感無量でした。
その際にも、輸入版ソフトでその存在を確認し、その後の国内発売タイミングは相当鈍く遅かったので、待ちきれずに高額な輸入版で先に入手してしまったものです。
先にあの“パイクとソーントンがそれぞれに過去を回想シーンを含むバージョン”で観たかどうかで、この作品に対する印象(感動)は全く違うものになってしまいますね。
『夕陽のギャングたち』の時にも同様に思いましたが、日本の映画ファン(昭和の時代の)って、けっこう恵まれていたんだなとの認識を深めた一件でした。
当然ですが、自身がこの作品を愛してやまないのは、作品配給について監督の意向の関与があったのかどうかなどは分かりませんが、日本公開版で初見して衝撃体験をしたからに他ならないと言う事は間違いなと断言します。
これらかつて盟友であった主人公らを隔てた、過去と現在での立場の違いの伏線となる、ハッキリとした描写があってこそ、終盤の意味合いはより感動的なものとなるのだから。
何度か繰り返して鑑賞する事でより深まるのは、この映画はただの暴力破壊に終始して自滅する無軌道な無法者達のような印象を表面的には受けつつ、その実日本の任侠物映画の仁義、仲間(義兄弟)意識、義理・人情、最後のお礼参りといったような、“最後には命に換えてもスジを通す”、“自身で過去にケジメをつける"といった事を基盤にした、所謂(男の) 美学が色濃く表れた作品に他ならないことを気付かされる事です。
ある意味、「多方はそうした解釈を理解できない」との考えから、この短縮(アメリカ公開?)版に至った可能性も考えられる事です。
当時のアメリカでの受け取られ方は「壮絶な暴力映画」的で、メディアの中には「Wild Bunch=暴力と訳されるべきではないか?」などの評論のされ方まであったようです。
“衝撃的なバイオレンス・アクション映画”と言う事で十分だったのかと。
そのような方達には「その(更に)向こう側に見えるもの」は見える事は無く終わったんでしょうね…..
参考までに、本邦での初公開当時のポスター等のキャッチ・コピーは、
「生きて帰れぬ男の修羅場
命散らして花咲かす
その名も高きワイルド・バンチ」
でしたから、つくづく上記のような感じを良く捉えているなぁ、と後になるにつれズシっと来ましたね…..
(本来は当然☆5ですが、短縮版としての評価の数字です)
良心のかけらもないのが、良いと思う。
岡本喜八の「血と砂」の方が上
滅びゆくウエスタン文化の中で
世の中はクソだけど素晴らしい
サムペギンパーの映画観たことなかったのでDVDで観た。1969年の作品。
ガンガン銃撃しまくる西部劇。途中の風呂のシーンが印象的なのは、出てくるおっさんがとにかく汚いから。荒野を彷徨って何日も風呂入ってねーんだろうな笑。
なんていうか、、、この映画の登場人物達は、マジで自分のことしか考えてない。仲間でさえも、いつ裏切るやもわからない。。。なんか、現代日本のサラリーマンの日常生活を観ているようだった笑。これがサムペギンパーの世界観なのか。
ストーリーは明日に向かって撃て、に似ているけれど、映画の主張はかなり違うと思う。
明日に向かって撃て、は世の中に居場所なんてないから、全てを諦めて世捨て人になろうぜ系の中二病ロードムービー。全く救いが無い。
ワイルドバンチは、世の中のエゲツなさを西部劇に反映してみました系、リアリズム追求型ムービー。最後、ウィリアムホールデン、アーネストボーグナインが男気を見せ、救いのある感じで終わる。世の中はクソだけど、居場所はちゃんとあるんだぜ!ということ。納得。
「アメリカン・ニューシネマ」的な無常観。
最後の打ち合いのシーンの壮烈さは、50年前の映画とは思えない。 ラストシーンも印象深い。
ネットで視聴
いつもは英語字幕を観ながらネットで映画を見ているが、映画によっては、字幕に頼らず見ていることもある(ような気がする)。
では字幕に頼らず見てみたらどうなるだろうと思い、西部劇の名画リストでは必ず上位にランキングするこの映画で試してみた。(もともと英語字幕がついていない)
あらすじはWikiなどに書いてあるので、チラチラ参考にしながらやってみたのだが、結論としては、やっぱり微妙。
ストーリーはだいたいわかるのだが、細かいニュアンスが伝わってこない。
映画の魅力は、映像やストーリー展開や音楽だけではない。台詞がきわめて重要で、カッコいいキメ台詞などは、あとあとまで印象に残るものだが、それが分らないのがもどかしい。
私の英語力では、字幕なしでは厳しいということがわかった。
それでもなかなか楽しめた。
最後の打ち合いのシーンの壮烈さは、50年前の映画とは思えない。
ラストシーンも印象深い。
●映画の英語
bunch
①房
②(口語で)仲間、一団
とにかく撃ちまくる!
ラストガンマン
ラストの銃撃戦!
アクションだけじゃない多面的な洞察力
伝説的なラストの「死の舞」は、細かいカット割りとスローモーションにより芸術の域にあることに異論は無い。
ペキンパーは文明の波にのまれる西部の男達を哀愁漂う雰囲気で描き出すが、その演出の背景には彼の前衛的な試みが満載であることも興味深い。
ガンアクションを主軸に置いた西部劇だが、そこには文明に取り残される彼らを際立たせる細やかな気遣いがみてとれる。
例えば、今までにこの作品ほど子供が出てくる西部劇があっただろうか。
どの場面でも現れる子供達はそのまま新たな文明、世代の息吹を示唆させる。 子供がパイクに致命的な一撃を与える場面も見逃せない。
ダイナミズムと繊細さ、深い洞察力を有する最後の西部劇だ。
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