浮き雲のレビュー・感想・評価
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あるご夫婦。不況のあおりで、それぞれ同時期に失業し、職探しに難航す...
後味が良い
貧しき社会で生きる夫婦の悲劇と再生を描いた傑作
2度目はさらに感動
観るまでずっとドキドキしていた。 初めてのアキ・カウリスマキ。 自...
観るまでずっとドキドキしていた。
初めてのアキ・カウリスマキ。
自分が好きかどうか、良さがわかる人間なのか。
観客の年齢層が高く、
ちらほらいる若者はみな
癖強めのビームスの店員さんみたいで
いつもと違う感じなのも余計に不安を煽られた。
ちなみにビームスは好きです。
結果から言うと、またひとつ世界が広がった。
本人が面白さを狙わずに発した言葉が面白い
という状況が大好きなわたしにはピッタリだった。
漫画、"女の園の星"に近いものを感じます。
始まっていちばん最初に思ったことは
色の使い方がとても好きだということ。
真紅とブルーって喧嘩しないんですね。
イロナのコートと、鮮やかな家の壁紙で
学びました。
ぜひともテーブルクロスと壁紙を
真似っこしたい。
先行上映の枯れ葉でカウリスマキデビューを
飾るつもりだったけれど、
浮き雲を先に観ることができて本当によかった。
今週末は枯れ葉を観に行こう。
期間中に他の作品も観られる限り観たい。
ラストは思わず応援してしまった
アキ・カウリスマキ、名前は知ってたけど、敷居が高そうで中々、見る機会がなく。初めて見ました。
正直、最初は退屈しそうでしたが、突出したエピソードもなく、淡々と進む、セリフを抑えた独特の雰囲気、キライじゃないです。
共稼ぎの中年夫婦が、ほぼ同時期に失業して、運の悪いことが重なる話。どん底のはずなのに、主人公イロナは無表情で突き進んでいき、面倒くさい夫をしっかりサポート。車売ったお金をギャンブルですったのに腹も立てず、夫の手を引いていくとこが印象的。ワンコは映画館にも同伴とは。切羽詰まっているのに、夫はクロスワードして妻に答えを求めるし。さりげなく、優しさを匂わしています。
ラストは、レストランがお客でいっぱいになり、感激!
今は貧乏な日本。他人事じゃないです。自分も楽な生活じゃなし。ちょっと元気出てきたかも。
見てよかった!
約25年後に観た人生初のカウリスマキ。
彼の作品を初めて観たのが、この作品。TSUTAYAで借りてきたビデオだったように思う。当時はこの独特の世界観に戸惑ったのを覚えている。ポーカーフェイス、定点カメラ、そして書割かのような奥行きのなさ。ただ、年月と経験のおかげで落ち着いて観返すことができた。島倉千代子式「人生いろいろ」に、ほのかな希望を感じる。
とにかく仏頂面しか出てこないけどカラフル
レストラン再建物語
【不況で職を失った夫婦が、厳しい現実の中”ど根性”で自分達のレストランテをオープンする物語。我が愛する「かもめ食堂」は絶対に今作品に影響を与えれらていると思った作品でもある。】
■不況のフィンランドのヘルシンキが舞台。
市電の運転手のラウリとレストランで給仕長をする妻・イロナ(カティ・オースティン:常連さんですね。)はある日、リストラに遭い、同時期に失業する。
ラウリはロシアへ行くバス運転手へ転職しようとするが健康診断で異常が見つかり、職も免許も失ってしまう。その後も2人にさらなる不運や災難が訪れ…。
◆感想
・アキ・カウリスマキ監督の、当時の手法である、各シーンを短カットで繋ぎながら破綻なく物語を見せる手法が素晴しい。
ー そこで、描かれているイロナとバス運転手の夫の突然の馘首に、戸惑いつつ必死に生きようとする姿の描き方が、”無表情”な二人の姿から確かに伝わって来るのである。-
・イロナとバス運転手の夫が、困惑しながらも、職を必死に求める姿を抑制したトーンで描く巧さ。
・どん底の中、イロナが幼き男の子の写真が収められた写真立ての傍で、涙するシーン。
ー 何も語られないが、鑑賞側にはイロナ夫婦の哀しみが伝わるシーンである。-
・そして、且つてイロナが働いていたレトランテの問題児コック、ラユネン(マルク・ベルトラ:かもめ食堂を愛する人には直ぐに分かる”コピ・ルアック”オジサンである。)が、漸く皿洗いの食を得た安食堂にやって来るシーン。
”少し、ノンビリしようと思っていたら、職が無い・・。”
<今作は、アキ・カウリスマキ監督の中期の秀作である。
不況だったフィンランドで、職を失っていった人々がど根性で、新たな食堂”レストラン・クック”を彼等を雇っていた元レストランテのオーナーの出資の元、オープンし、最初は全然お客さんが来なかったのに、ラストでは、満員になっているシーンは心に沁みるし、これは”「かもめ食堂」のラストシーンと同じだよなあ、と思った多幸感溢れる作品である。>
成瀬巳喜男のほうは『浮雲』
カウリスマキ文法
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