「粗いストーリーと荒々しい恐竜」ロスト・ワールド ジュラシック・パーク おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0 粗いストーリーと荒々しい恐竜

2025年8月6日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

怖い

単純

興奮

■ 作品情報
大ヒット作「ジュラシック・パーク」の続編。監督はスティーヴン・スピルバーグ。脚本はデイヴィッド・コープ。マイケル・クライトンの小説『ロスト・ワールド』が原作。主要キャストはジェフ・ゴールドブラム、ジュリアン・ムーア、ピート・ポスルスウェイト、アーリス・ハワード、リチャード・アッテンボロー、ヴィンス・ヴォーンら。

■ ストーリー
前作での惨事から4年。恐竜たちの供給元である「サイトB」、イスラ・ソルナ島には生き残った恐竜たちが野生化して繁殖していた。インジェン社の創設者ジョン・ハモンドは、絶滅の危機に瀕した彼らを自然のまま保護するため、イアン・マルコム博士に調査隊を派遣するよう依頼する。当初は難色を示すマルコムだったが、恋人の古生物学者サラがすでに島に渡っていることを知り、彼女を連れ戻すべく救援に向かう。しかし、ハモンドの甥ピーター・ルドローが、経営危機に陥ったインジェン社を立て直すため、恐竜を本土へ持ち帰ろうと私設のハンターチームを島に送り込んでいた。二つのグループの思惑が交錯する中、人間と恐竜、そして人間同士の生存をかけた壮絶なサバイバルが繰り広げられる。

■ 感想
前日に観た『ジュラシック・パーク』に引き続き、シリーズ2作目を久しぶりに鑑賞。…と思ったら、これは全く記憶になく、今回が初鑑賞となりました。前作からわずか4年で、映像技術は大きく進化を遂げていて驚きます。恐竜たちのリアリティはもはや実在レベルで、画面いっぱいに暴れまわるティラノサウルスや、群れで襲いかかるラプトルたちの迫力に息をのみます。登場する恐竜の種類と数も増え、まさに恐竜大パニック映画として極限のスリルを味わうことができます。終盤、ついに恐竜が島を離れて市街地に上陸し、平穏な日常が突如として脅かされる光景は、想像を絶する恐怖をもたらします。

ただ、圧倒的な映像表現に比べ、ストーリーには少々物足りなさを感じてしまうのは残念。特に、前作であれほどの惨劇を引き起こしながら、生き残った恐竜を自然に帰すとのたまうハモンドに、開いた口が塞がりません。しかも、そこに調査隊を送るなんて、説得力もないし、正気の沙汰とも思えません。また、恐竜の存在を世間に秘匿しようとしながら、情報漏洩のリスクを抱える行動が続く展開は、物語の整合性を損なっているようにも感じます。加えて、新たな過ちを犯そうとしているハモンドに代わり、インジェン社の実権を握ったルドローが暗躍しそうな雰囲気がぷんぶん漂い、すでに大筋が読めてしまうのも残念。

とはいえ、娯楽映画としては十分に楽しめます。ストーリーの緻密さよりも、恐竜がもたらす純粋な恐怖と興奮を体感する作品だと割り切れば、その目的は十二分に果たされているからです。恐竜の造形や動きのリアルさ、そしてそれらが巻き起こす混乱と破壊の描写は、まさに一見の価値あり。恐竜映画としての迫力とエンターテインメント性は、存分に味わえる出来栄えだと感じます。

おじゃる