劇場公開日 2025年6月20日

「アイディアを大量に鍋に投げ込んだのにあんまり煮ていないような映画」ロスト・チルドレン jin-inuさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0 アイディアを大量に鍋に投げ込んだのにあんまり煮ていないような映画

2025年8月22日
PCから投稿

1991年の「デリカテッセン」に続く2本目のジュネ&キャロ共同監督・脚本長編映画です。

さらわれた弟を取り戻すために奮闘する孤独な大男と謎の3つの集団の物語ですが、なにしろ思いついたアイディアを大量に鍋に投げ込んだのに、あんまり煮ていないような映画です。

集団1:シャムの双生児強欲おばさんに率いられた孤児院の窃盗団。
集団2:幼い子どもたちを誘拐してまわる新興宗教「1つ目団」。
集団3:妙な装置で子どもから夢を盗もうとするマッド・サイエンティストと彼に仕えるクローン人間の家族と謎の脳みそ。

大道芸人として働く、ちょっと頭の弱い怪力男、ワン。
親方が何者かに刺殺されますが、理由はよくわかりません。
愛する弟を1つ目団にさらわれてしまいます。
子ども窃盗団の女盗賊、ミエット(欠片)とひょんなことから知り合いになり、行動を共にすることに。
ノミのサーカスおじさんとか、海底に住む変人とか、魅力的なキャラクターや動物たちが入り乱れて活躍します。
ルックはファンタジーですが、悪役は焼死したりモリで刺殺されたりと残酷で、子供向け映画ではありません。

一番の欠点は、3つの集団の関係性がいまいちよくわからないこと。あと、マッド・サイエンティストと助手たちの関係性もわからないし、彼らの目的もわかりません。美術に凝りすぎてストーリーを練る暇がなかったのでしょうか。名作「デリカテッセン」のようにシンプルで分かりやすいストーリーにした方がよかったのでは。世界観は好きですが、物語とキャラクターの設定が理解できずに退屈でした。あと、おっさんワンと美少女ミエットの関係性が不健全に見えてしまいます。ワンは腕に「ミエット命!」という入れ墨まで入れちゃうし…。ロリコンかよ!?美術10点。演出5点。キャラクター4点。音楽3点。ストーリー2点。

jin-inu
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