「絵本を広げたような」ロスト・チルドレン N.riverさんの映画レビュー(感想・評価)
絵本を広げたような
ン十年ぶりに再鑑賞。
1回目は、小説版「パプリカ」を読んだ頃に見ており、とてもリンクした。
夢が盗み、盗まれ、共有し、その中へ出入りする。
「デリカテッセン」で作風は心得ていたため、むしろコレコレ感にも酔いしれる。
美しく細部まで作り込まれたセット(最近では「哀れなるものたち」もこの系列)、予定調和も凛々しいヒーローも現れないヘンテコながら愛おしいキャラたち。
おとぎ話だからこそ、決して大人に庇護されることのない凛々しく活躍する子供たち。
中でも主人公の女の子はカリスマだ。
ラストの一騎打ちでのトランスフォームと倒錯は、今見ても大迫力。
冒険譚として様々な仕掛けもあり、クスリと笑う所もあり。
しかしながら楽しい夢を見られない事も、そもそも人造人間たちのどこかか弱く哀れな様が、誰を責めるでもない幕引きに何とも言えない後味を残す。
そういえばおとぎ話はいつもどこかに、不穏を忍ばせていた気がする。
またセットの一部のような、完全にデザインされたゴルチエの衣装がいい!
どのショットを切り取っても、それこそ絵本を広げたような美しさがあった。
もう時間が経ちすぎていて無理は承知も、続編があればぜひとも見たい1本である。
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