ローリング・サンダー(1977)
劇場公開日:1978年5月13日
解説
ベトナム戦争の後遺症を持つ1人の元軍人が、妻子を殺され、その復讐に立つ姿を描く。製作はノーマン・T・ハーマン、監督は「組織」のジョン・フリン、脚本はポール・シュレイダーとヘイウッド・グールド、オリジナル・ストーリーはポール・シュレイダー、撮影はジョーダン・クローネンウェス、音楽はバリー・ディボルゾンが各々担当。出演はウィリアム・ディヴェイン、トミー・リー・ジョーンズ、リンダ・ヘインズ、ライザ・リチャーズ、ローラソン・ドリスコルなど。日本語版監修は野中重雄。イーストマンカラー、スタンダード。1977年作品。
1977年製作/アメリカ
原題または英題:Rolling Thunder
配給:松竹・富士映画
劇場公開日:1978年5月13日
ストーリー
1973年。8年におよぶ北ベトナムの捕虜キャンプ生活から解放された空軍少佐チャールズ(W・ディベイン)が、故郷テキサスのサンアントニオへ帰ってくる。歓迎の人波にもまれても、この英雄の心は死んでいた。ベトコンから受けた骨もきしむような拷問の中で、彼は自分を殺していた。そうでなければあの屈辱と苦痛の中では生きていられなかったろう。共に帰国したジョニー(トミー・リー・ジョーンズ)も同様だ。その夜、チャールズは、妻ジャネット(ライザ・リチャーズ)から思わぬ告白を聞かさせる。彼女はもはや彼が生還しないものと思って、彼女に言い寄る町の男どもから彼女を護ってくれた、若い保安官クリフ(ローラソン・ドリスコル)を愛してしまったと言う。それならばそうしろ。しかし、息子のマーク(ジョーダン・ガーラー)だけは、手元に置いておきたいチャールズ。だが、そのマークが殺される。原因はチャールズに百貨店より送られた銀貨のぎっしり入ったカバンである。それを狙ったメキシコのならず者が、チャールズ一家を襲ったのだ。断固拒否するチャールズは、片手を失い、父を助けたい一心のマークは、母と共に殺されたのだ。そしてカバンはうばわれた。一方、病院にかつぎこまれたチャールズは義手を練習する毎日が続く。そんな彼を見舞う女がいた。名はリンダ(リンダ・ヘインズ)。人生に破れた酒場女だ。今、警察の手をかりずに復讐しようとする彼にとって、彼女は必要であった。愛用のショットガンの銃身を水平直射向きに改良し、彼は彼女と共にメキシコに向かう。めざす町はヌエボ・ラレド。一方、クリフは、突然姿を消したチャールズに不審を抱き、非公開の捜査で国境の南まで犯人を追う。ベトナムの英雄の妻をうばったことへの贖罪の気持ちもあったであろう。そして彼は死ぬ。--一方、チャールズの旅は続く。わずかな情報を手がかりの町から町への旅。だが、リンダが重荷だ。ふびんではあるが、これ以上彼女に旅は無理であろう。彼は彼女をモーテルに残し、1人、軍服に着がえるとエル・パソへ向かった。この敵の本拠地は、ジョニーの故郷の町でもある。そして再会する2人。そして、やはりジョニーも1人孤独だったのだ。彼もまた平穏すぎる日常には、なじめないのだ。だから、チャールズが、カタキを見つけた、というと、ジョニーの瞳もかがやく。2人は、カタキのたむろする淫売宿へ向かった。顔をみられてはまずいチャールズが裏にまわり、ジョニーは娼婦のベッドで待機する。やがてチャールズが飛びこみ、銃撃戦は開始された。火を吹く銃口、逃げまどう素っ裸の女たち--。1人、1人と血まつりにあげられていく、にくき奴ら。チャールズとジョニーには、ベトナムの戦野でのあの興奮がよみがえる。そして、静けさがあたりに漂った時、傷ついたチャールズは血みどろに横たわるジョニーを助けおこした--。「さあ、家へ帰ろうぜ」。瀕死の身で、彼らは家までたどりつけるだろうか。だが、彼らは帰れるような気がした。死によってはじめて、あのなつかしいアメリカへ無心に帰れるような気がしていたのだ。(松竹・富士映画共同配給1時間35分・封切日5月13日)
スタッフ・キャスト
- 監督
- ジョン・フリン
- 脚本
- ポール・シュレイダー
- ヘイウッド・グールド
- 原作
- ポール・シュレイダー
- 製作
- ノーマン・T・ハーマン
- 撮影
- ジョーダン・クローネンウェス
- 音楽
- バリー・デ・ボーゾン
- 字幕
- 野中重雄