ロープのレビュー・感想・評価
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A One Act Play Film, Disturbing in Simplicity
Rope is a talky one-room house party presented in almost real time. The bourgeois villain protagonist pair pull a demented stunt under their guests noses for their own self-pleasure. A brief homosexual undertone as a hint of motivation might make the film seem a little homophobic in the Zizekian sense, but it's easy to look past that for Hitchcock's genuine craft of decently portrayed vulgarity.
ワンカット撮影を語る上で欠かせない伝説の一作
ワンカット撮影にまつわる歴史を遡ると、必ずヒッチコックの本作が顔を出す。舞台を高級マンションの一室に限定して繰り広げるこの密室劇は、全編がリアルタイムで進行し、映像に一切の途切れはない。が、当時のカメラやフィルムの技術では10分程度しか連続して撮影することができず、そのために用いた登場人物の背中を大写しにした状態で次のフィルムへと入れ替えるトリックは今や伝説として語り継がれるほどだ。
とはいえ、長回しのみに注目すると、我々は本質を見失う。本作はそれ以上に極上のミステリーであり、人間ドラマだ。舞台作品を見ているかのようなリアルタイムの臨場感を堪能しつつ、ジェームズ・スチュワート演じる恩師が名推理によって教え子の心理を暴くスリリングさや、そこに漂う焦燥や後悔の深さに打ちのめされる。また教え子の怪物性もまた、のちの『サイコ』へ連なる流れの源流の様にも感じられる。何度見ても妙味が尽きない秀作だ。
ヒッチ異色の倒叙もの
コロンボと同じく初めに事件が起きて犯人を追い詰めてゆく倒叙ものです。
全編1ショットの実験作ですがヒッチ自身は、自分の最大の武器であるカットの積重ねやモンダージュを犠牲にしたのは間違いだった、と述べていますが倒叙ならではのサスペンスを一貫して感じることができる傑作です。
ただ脚本的には、真相を知るに至る経緯がやや飛躍し過ぎで若干の疑問が残ります。
それぞれの目線がいい
部屋で話してるだけなので映像的な刺激がないから退屈に感じるかもしれませんが、その分、一人一人の態度・しぐさが絶妙に味わい深く、演技力の高さを感じることができました。
若気の至り、思い込み、自己顕示欲...そういった部分を、先生と生徒の立場でとらえる影響が変わってくる。。。J.スチュワートはじめ様子を伺う各自の目線がいいですね。
吹替えで観たためか内容を完全に理解できたのも個人的には良かったです。是非、吹替えをオススメしたい作品です。
【”意図せし”Funeral Party"優れた者と劣った者を勝手に解釈せし愚か者の所業を描いたサスペンスフルな作品。ワンシチュエーションスリラーの中でも、切れ味が冴えわたる作品である。】
■ニューヨークのアパートの一室。
ある日の夕方、ブランドンとフィリップのふたりは、自分たちの優秀さを証明するために罪なき大学の同級生デヴィッドを縄で絞殺する。
さらにその部屋に、被害者の両親や恋人を招いてパーティーを開催。
計画が成功し、ブランドンは優越感に浸るが…。
◆感想
・特に優越思想を持つブランドンとそれに盲目的に従うフィリップの行為は、当然許されるものではない。
・二人が、罪なき大学の同級生デヴィッドを絞殺し、その遺体が入っているチェストに、料理を並べさせ、パーティーを行うシーンの恐ろしさ。
・彼らの、意図せし”Funeral Party"の不穏な雰囲気を悟ったルパート教授の、危険を顧みない行動は、特筆モノである。
<今作は、ヒッチコック監督、お得意のワンシチュエーションスリラー作品の中でも、切れ味が冴えわたる作品である。>
実験的作品
時間経過と同時並行に撮ったヒッチコック初のカラー作品。カットなし、編集なしという大胆な実験映画でもあるわけだが、舞台劇としてそのまま使えそうな題材だ。しかし、残念なことに芸術としての完全犯罪を目指す主人公という設定は、動機もはっきりわからないまま進行することで人間味が表れないこと。二人の性格の違いは面白いのだが、特に臆病で心配性のフィリップの動機が全くないところが面白くない・・・最後に明かされるのかと思ったのに。
実在したNathan LeopoldとRichard Loebとい...
実在したNathan LeopoldとRichard Loebという2人の殺人犯の殺害動機を題材とした作品。
はじめからブランドンの異様なキャラクターに恐ろしさを感じる。この人は怪物だ。ブランドンが息を吹き返したニワトリの話をするとパニくるフィリップ。
フィリップの態度を訝しむジェームズ・スチュワート。この鶏の話の実際のことを知っていたし、フィリップに詰め寄る。問わず語りの場面もあったけれど。
帽子を見て確信してるから、タバコ入れを忘れたと言って戻ってくるところがドキドキハラハラ。
殺人は他者よりも優れた少数の者の特権だとか曰うサイコ野郎の言葉にこたえを出して締めるラスト。
嘘をつけない犯罪者
撮影技法が取り上げられがちですが、ストーリーとしても秀作だと思います。
追い詰められ、動揺していく青年フィリップや、最後全てが暴かれたときのそれぞれの振る舞いかたが印象的でした。
どんなに理屈を並べても、罪をごまかし続けることは出来ない。
ラストシーンのひとひねりがあったなら…
ラストシーンの直前までは、
どこで映像をつないでいるのだろうかと
集中したり、
高度なハラハラドキドキ感の展開もあり、
上質なヒッチコック劇場を堪能出来た。
特に、
他の登場人物の声が聞こえるだけの中で、
料理皿等を片付けて
チェストに本を仕舞おうとする家政婦だけが
映るの場面の緊迫感は素晴らしいの一言だ。
しかし、ラストシーンだけはいただけない。
余りにもあからさまな教訓主義過ぎて
何の意外性もない。
原作がどうであれ、
ここはヒッチコックらしく
どんでん返し的に、かつ、
ユーモア的に処理して、
例えばデイヴィッドはチェストの中で
息を吹き返して生きており、
そこからブラントンがやり込められるような
最後のひとひねりのある展開になっていたら
パーフェクトに思えたであろう
惜しい作品でもあった。
さっくりしすぎてる気もする
一言「年長者を侮ることなかれ」
◎よかった点◎
・冒頭から絞殺シーンで始まり、思わずびっくり。
死体を本を入れていたチェストに片付け→パーティーを始める。
はあ?!。ちょっと死体どうすんの?!と思わずツッコミ。
強気の青年と弱気の青年が、この後どうするのか。
とドキドキ。
・シーンが部屋一つ&玄関なので。
会話がポンポン行き交う内容なのが、ちょっと劇風(オリジナルは舞台)。
なので死体が入っているチェスト等、道具にカメラが向いている箇所が目を引く。
・紳士物で他と区別がつきにくいものって、外国でも名前を入れるんだな。
それが今作は「帽子」で、教授が殺人事件に気づく場面。
説明がないから、「あ!」とこちらも気づくのが面白かった。
△いまいちな点△
・正直教授が、青年2人が起こした事件を論破していくのは。
ちょっと強引のような。
80分と短かったけど、1948年作品ってすごいかも。
⭐️今日のマーカーワード⭐️
「パーティーは帰りが寂しい。今夜のような妙な日でもね」
ヒッチコックの野心メラメラ
言わずと知れたヒッチコックの名作。
ワンカット風撮影で、舞台劇を観ているよう。
構図、立ち位置、役者の表情や手元にカメラが寄るタイミングなど、事前に計算し、打ち合わせし尽くされた上で撮られたのがよく分かる。今でこそ驚きはないが、こういう映画を40年代(!)の環境で撮っていた野心とこだわりが、ヒッチコックが評価された所以なのだろう。
脚本は軽い短編風で、感心するほどの内容ではないが、ジェームズ・スチュワートの最後の演説はなかなか良い。1940年代でも2020年代でも通じるお説教のように聴こえたのは気のせいか。
殺人も芸術 ?!
殺人も芸術だと言ってデイビッドを殺したブランドンとフィリップは、遺体を隠したチェストを食台にしてデイビッドの父親はじめ関係者を招いてパーティーを開いた。ジェームズスチュアート扮するブラックユーモア好きのルパートカデル先生も招かれてパーティーを楽しんでいた。カデルは、何か変なパーティーだと言い始めた。しかし、主役のデイビッドはいつまで経っても現れない。家政婦がパーティーを勝手に片付け始めたりカデルがフィリップを問い詰めたりするくだりはドキドキするね。ましてカデルが忘れ物をしたと戻って来て様子見するからね。ブランドンは学生時代からいたずら好きだったとか昔を知られているし、カデルは推理好きだ。さすがにヒッチコック、ジワッとくるな。
ワンカットじゃないワンシーン
Amazonプライムの激低画質版で鑑賞。
千円以下で売ってる版権切れDVD並みでさすがに申し訳なくなるレベル。
画面が4:3なのはTV映画なのかな?
ワンカット撮影って…まあ気持ちはわかります(緊張や芝居が途切れないとか)が、引き換えに役者やスタッフにかかる負荷を考えたら控えめに言って狂気の沙汰では。
ヒッチコックはまごうことなき銀幕の変態なんでしょうから、まあやりたいと思えば素直に実行するのでしょう。
あまのじゃくな客の立場からすると、大根を白鳥にカットしました! と言われて「イヤ美味しい料理が食べたいだけなんで」と言いたくなるような微妙な自己満足感をおぼえなくもないこともない。
無粋なこと言えばあくまで疑似のワンカットです。安心してください。
途中、人物の背中で画面をワイプアウトさせてます。覚えてるだけで2回は確実。ひょっとしたら3回あったかも。
観てる側からすれば逆に安心したりもする。カメラさんちゃんとお水飲んだ?
もちろん当時はその発想そのものがとっても斬新だったでしょうし、今なおそれが売りになるくらい難しいことだというのは理解できます。
(でも舞台はいつだって一発勝負か…)
内容的にはワンシーン、ワンシチュエーションであればよく、別に無理してワンカットでやる必要はない。
でもさすがは変態、なるべくワンカットでやる意味が出るようにちゃんと逆算して? シナリオが書かれてます。その周到ぶり、単にワンカットやりたかっただけじゃね? と疑う。
ポイントは遺体と凶器。
このサスペンスを強めるにはやっぱワンカットっしょ、と困惑するお偉いさんを前に得意顔のヒッチコックとか。
ただ、今見てもすごく新鮮だったし、ワンカットうんぬんはともかく、撮り方が的確なんでグイグイ引き込まれる。
頭でっかちな青くさい若者2人のシーンで始まり、その硬質な空気を引きずったまんま進んで、やや遅めに主役がバーン! ザ・百戦錬磨! って感じで登場した時の空気の変わり方とか。これぞ演出って感じ。
あとは悔しいけどまるでダンスしてるような演者とカメラの連携が観られるのはやっぱりワンカット(目標)の恩恵かな。。惚れ惚れするー
書き割りかと思った窓外の風景もさりげなくスモークが仕込まれてたり、時間経過によって光が変化したり、ちゃんと計算されたミニチュアだっていうのにも愛を感じる。
とびきりよくできた話とかじゃないけど(後から考えるとアラはある的な意味で)とにかく演出が的確だし短いので最後まで途切れず一気に行ける。
なにも知らずにうっかりTVでこんなのに遭遇した人はなんて幸運なんだろう、と妬ましくなりました。
ワンカット風の密室サスペンス。
『ロープ』鑑賞。
*主演*
ジェームズ・スチュワート
*感想*
久々のヒッチコック作品。この作品はワンカットワンシーンの手法で進行していて、それだけでも面白いです。映像ではワンカットですが、途中真っ暗になる部分があったので、ワンカット風かな?
二人の男性が友人をロープで絞殺して、スリルを味わう為に犯行現場でパーティーを開くというお話。
舞台がアパートの一室だけなので、かなり地味ですが、途中から現れる教授がまるで探偵のように鋭く指摘するところや、ブランドンとフィリップの呆れた動機、人間関係までも描いてるし、まぁまぁ面白かったです。(^^)
ヒッチコックの代表的な傑作
これは有名なワンシーンワンショットという手法で取られておってそれが映画の歴史の中で最も成功している作品だと思った.反面ワンシーンワンショットは映画にスケール感とかゴージャス感が出ないので最初からそのつもりで見る必要があるなとも思う.映画の中がすべて一つの大きな部屋の中で展開していく.そこには当然カメラワークの工夫というものが必要であり人間をどう動かしてカメラがどうフォローするとかそういうことが見事にできている.そしてそういったカメラワークの面白さがヒッチの真骨頂である.そういった意味でこれは本当にヒッチコックの真髄に触れる傑作だと思う.
何度も見直すべき映画だ!
・秀逸なワンカット
・完全なる一室でのストーリー展開
・観客の恐怖心を煽るさりげないカット
・犯人2人の関係性
・犯人の異常性
よくこの時間でこれだけの要素をうまくまとめたなあ。
無駄な登場人物がひとりもいない。
実際の事件と同時間分で、これだけ魅せられるのはさすがヒッチコック。
犯人が最初からわかっている、これぞまさに仕掛けられた時限爆弾。
サプライズを見事にサスペンスにしている。
そしてヒッチコック映画の好きな点。犯人の異常性。
今回の犯人って2人とも少しおかしい。
まず主導のほう、自分には人を殺す権利があるみたいな言い分って、恐ろしく怖い勘違いじゃないです??途中、招待客と言い合いになるけど、本当にこれだけの事件で描くには重すぎる題材なのにさらっと挟んできているあたり、相当深い…
そして共謀のほう。
こちらはもうばればれなくらい動揺していて、何故この人物を共犯に選んだのかと思うんだけど、よく観ていくと、ふたりの関係性も少し変わっていて、完全に立場が出来上がっているし、友情とは少し違った結びつきを感じる。
物語はその点に言及していないしね。
ワンカットもさることながら、この部屋の構図、窓から見える景色もすごい。
何度も観たい、見逃せない一本でありました。
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