劇場公開日 2025年1月3日

「日本の誇り」レッド・サン toshijpさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0日本の誇り

2025年1月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

単純

興奮

日本初公開当時親・兄弟と札幌の映画館で観たのが懐かしい。
50年以上経ってからこうして再上映され嬉しい限り。しかも
4Kデジタルリマスター版だから画質は劣化していないし映画館の
音響設備が当時より進化しているのを考えると当時よりも高画質・
高音質で鑑賞できたかもしれない。
(ラストシーンがピンボケだったけどオリジナルがそうだったら仕方ない)

西部劇に侍を登場させるという、意外性のある発想。しかしそれは
大成功だった。架空の話だが物語には必然性があり、侍ならではの
見せ場もたくさんあった。

黒田重兵衛という人物がWikipediaにあるけれど生まれ年や経歴を見ると
レッド・サンの侍とは関係なさそうだ。

映画の黒田重兵衛は寡黙・強靭な肉体・武術・立ち居振る舞い・教養・
ユーモア、どれを取っても超一流の侍。おまけに男の性的魅力も
兼ね備える(据え膳食わぬは・・・も?)。これって、男がこうありたいと
憧れる男性像かな。ちょっと強引に例えるとジェームズ・ボンドに
近いかも。何たって監督が初期の007シリーズのテレンス・ヤングだし。

映画が日本人や日本文化、武士道に対して敬意をもって製作されている
ところが良かった。

製作には三船側から様々な助言や注文があったと聞く。そうでなければ
日本人から見て違和感ありありの作品になってしまったのではないか。

正統な日本を描くために相当な労力を要したとは思うが、その甲斐あって
侍の描写も何もかもが日本の時代劇を正しく再現したように感じられた。

流ちょうな英語を話しどんな相手にも毅然とした態度でいる。信念を持ち
それを貫く。仕事の能力も高い。外国映画でそんな日本人を見ると、
誇らしい気持ちになれる。

誇らしい日本人像は『ブラック・レイン』の高倉健に引き継がれ、今は
真田広之がその役割を担う。製作者でもあったテレビドラマ『SHOGUN 将軍』
がヒットし、数々の賞を受賞したのは快挙だ。やはり正統な時代劇を描く
ために尽力されたことだろう。

真田広之は現在64歳。まだ現役バリバリで活躍中だが誰が引き継ぐだろう?
興味がある。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

余談(映画に関係ないので興味がない方は飛ばしていただきたい)

当時3人の俳優の人気は絶大で、日本のテレビCMでもお馴染みだった。
商品名を盛り込んだ決め台詞もあった。チャールズ・ブロンソン「Hmm,
Mandom」三船敏郎「男は黙ってサッポロビール」(YouTubeで現存する映像を
見たら、本人は黙ったままで決め台詞は字幕だった)アラン・ドロン「D'urban
c'est l'elegance de l'homme moderne.」

さらに脱線してしまうが商品「マンダム」があまりに売れたため当時の会社名
「丹頂株式会社」を「株式会社マンダム」に変更した話、サッポロビールの
面接に来た学生が終始無言で面接官に帰れと言われた時「男は黙ってサッポロ
ビール」と言ったら採用が決まった話(都市伝説)、ダーバンがフランスの
ブランドだと勘違いしたおっさんがフランスへ旅行に行った時「ダーバン」を
売っている店を探した話(都市伝説)などは自分と同世代ならかなり多くの人が
聞いたことがあるのではないか。

toshijp