リリー・マルレーンのレビュー・感想・評価
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70~75点ぐらい。モデルはララ・アンデルセン。
第2次世界大戦中のドイツの流行歌「リリー・マルレーン」を題材に、時代に翻弄された実在の女性歌手の半生をエネルギッシュに描いたドラマ。
との事ですが、けっこう面白かったです。
事実に基づく映画で、ララ・アンデルセンって歌手がモデルみたいです。
気になって調べてみたら、
士気に悪影響を及ぼすとしてラジオ放送を禁止とされたが、戦地での兵士の人気は衰えず、なぜラジオで流れないのかと問い合わせが多数寄せられた為、
ラジオは放送終了直前、毎晩21時57分に「リリー・マルレーン」を流し、毎晩21時57分になると戦場では敵も味方も兵士たちはラジオをつけて聴いていた。
だそうです。
映画のフィクション具合に関しては、
ララと思しき主人公など登場人物の背景には事実と異なる点が多い。
だそうです。
『デ ジャ ヴュ』『天使の影』などで有名な、ダニエル・シュミット監督がナチス高官役で出てます。
これを書きながら気付いたんですが、ウド・キアも出てたらしく、興奮してネットで確認したら、確かにウド・キアだった(笑)
そういや普通じゃない渋い人いたわ(笑)
早く言ってよー(笑)
というワケで、もう1回観よ♪(笑)
名曲に国境はない
第二次大戦中にドイツで流行し、対戦相手の連合国側でもヒットした名曲『リリー・マルレーン』。
同曲をヒットさせた実在の歌手、ララ・アンデルセンの自伝をベースにしながら、原作をかなり逸脱した内容といわれるこの作品、一方で史実も踏まえた上で描かれている。
ナチス政権の重鎮ゲッベルズに毛嫌いされ歌が放送禁止になったのは事実で、後を絶たない兵士からのリクエストに応えるため、本国から遠く離れた最前線で、放送の終了直前の毎夜21:57に目立たぬように放送したことが敵国でも流行する原因に。
西側ではマリーネ・デートリッヒの歌唱が有名だが、そのきっかけも前線慰問の際、ドイツの放送でメロディを覚えた兵士が口ずさむのを彼女が耳にしたことから。
ユダヤ系音楽家と親密な関係にあったことで、政権のアイドル的地位からヒロインが転落する構図も実話どおり。
ユダヤ人の恋人ロベルトを前に、臆面もなくアーリア系の血統を自慢し、曲のヒットで富や人気を手に入れたことを無邪気に喜ぶ一方、恋に一途で危険を承知の上でナチス政権を裏切る行為に手を貸す主人公ヴィリーの多面性や悲劇性を名女優ハンナ・シグラが熱演。
L・ヴィスコンティ作品やハリウッドでも活躍したイタリア出身のジャンカルロ・ジャンニーニやA・ヘプバーンの最初の夫メル・ファーラーら名優が脇を固めている。
ナチスの若手将校(ゲシュタポ?)役を演じたウド・キアは主人公に向ける不信感露わな眼差しが強烈。今年公開の『お隣さんはヒトラー?』でも衰えぬメヂカラでヘルツォーク役を好演している。
最後に男気を示してナチス高官に逆らい、前線送りにされるタシュナー役のハーク・ボームの演技も印象的。
役名忘れたけど、車両の後部座席に座るユダヤ人組織の要人を演じてたのって、ファスビンダー監督自身?!
戦争がもたらす悲劇というより、人種差別主義者をリーダーに択べば起こり得る惨事を、引き裂かれる運命の男女を軸に描いた作品と捉えるべきかも。
時折挿入されるS・ペキンパーを彷彿とさせる激しい戦闘シーンや、余韻の残らない素早い場面転換が作品に緊張感をもたらす演出は独特。
一方で、場面にそぐわないBGMが多用されている点が残念。
ナチスの看板だったのか?
ファスビンダー特集 - その1
僕の学生時代に、鈴木明さんの『リリー・マルレーンを聴いたことがありますか』がベストセラーになり、この歌を深夜ラジオで度々耳にしましたが、今の若い人にも知られているのでしょうか。
第二次大戦時にドイツでヒットした歌でありながら、連合国兵士の間でも愛唱歌になったとされる「リリー・マルレーン」を歌ったビリー(実際の名前はララ・アンデルセン)のナチスと戦争に翻弄された半生を描いた物語です。毎夜、21:57にベオグラード放送から流れたこの曲にドイツ兵も連合国兵も耳を傾けたという逸話の背後にあった彼女の栄光と苦悩が厚く語られます。
ただ、本作は、悪名高い絶滅収容所と彼女と関わりなどドラマチックな脚色がかなり施されていると感じられました。ナチスの宣伝看板に成って行く自分と「ただ歌いたいだけ」という表現者としての自分の自家撞着という点にもっと焦点を絞るだけでよかったのではないでしょうか。
また、個人的には、同じドイツ人でありながら連合国側に立って、前線を慰問しつつリリー・マルレーンを歌い続けた稀代の女優マレーネ・デートリッヒとの対比も観たかったな。
1930年代後半のスイス。 歌手のヴィリー(ハンナ・シグラ)は、良...
1930年代後半のスイス。
歌手のヴィリー(ハンナ・シグラ)は、良家の子息で音楽家のロベルト(ジャンカルロ・ジャンニーニ)と愛人関係・恋人関係にあった。
世はナチスの勢力が増していた。
ロバートの父ダヴィッド(メル・フェラー)は自身もユダヤ人であることから、ユダヤ人救済組織を主幸しており、ロベルトも救済活動の一翼を担っていたことから、アーリア人ヴィリーと息子の交際・結婚に反対していた。
救済活動の一環でロベルトとともにミュンヘンに向かったヴィリーだったが、ダヴィッドの工作により、スイスへの再入国が拒否され、ヴィリーはロベルトと離れ離れになってしまう。
行き場を失ったヴィリーは知人のヘンケル(カール・ハインツ・フォン・ハッセル)の伝手で酒場歌手の仕事を得、その仕事の初日に「リリー・マルレーン」を歌うが、怒号と喧騒。
しかしながら、それはヴィリーを「リリー・マルレーンの歌手」として有名にする一歩だった・・・
といったところからはじまる物語で、時代に巻き込まれ、飲み込まれていく女性のメロドラマだが、おそろしいほどのスピードで進む。
まともに、ゆったりと描くと3時間は超えると思われる物語を2時間の尺の収めるべく、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督が採った方法は、各シーンのカット尻を短くするという手法。
これにより、スピードがアップしたわけだが、人物描写がやや雑になってしまうおそれもあり、人物関係がわかりづらくなってしまったかもしれない。
個人的には、成功していると思うが。
もうひとつ注目すべきは、音楽の使い方で、当初、スローでメロウな雰囲気で、ゲッペルス曰く「死臭が漂っている」と言わしめた(劇中の表現)「リリー・マルレーン」の曲が、ナチスの勢いを増すにつれて、軍歌風の編曲に変化していく。
「リリー・マルレーン」の曲が流れる際には、戦場での戦闘や塹壕での待機のシーンがクロスカッティングされるのだが、歌うヴィリーや舞台の様子の変化もさることながら、曲調の変化により、戦場シーンから受ける印象ががらりと変わる。
うーむ、モンタージュ、ファスビンダー演出、おそるべし。
終戦とともにヴィリーも失墜していくのだが、映画はそんな彼女に寄り添わず、ドライに突き放して、映画は終わる。
初見より、かなり面白く観れました。
ファスビンダー監督作品、意外と面白いんですね。
なんか、しんねりむっつりなイメージがあったけど。
ハンナ・シグラの笑顔
「リリー・マルレーン」でも「マリア・ブラウンの結婚」でもハンナ・シグラの笑顔、屈託ない無邪気な笑顔を見ると優しい気持ちになる。オゾン監督の映画に出ているハンナ・シグラの笑顔も同じ。こちらの心を癒して力を与えてくれる。その笑顔を支える強さがあるからこそ彼女ほど黒のシュライアーが似合う女優はいない。胸がいっぱいだ。
40年ぶりの劇場鑑賞
当時16歳。映画館で鑑賞した記憶はあるが、高校生がこんな作品を目的に観に行くはずがなく、2本立てだったと思う。「さようなら銀河鉄道999」かな?そんな2本立てあるか?
ストーリーはまったく覚えていなかったが、サビと歌声はよく覚えており、ふと思い出しては気になっていた作品。
戦争に翻弄された一人の女性歌手の話。その後の彼女の人生がどうなったのか。時代的にも立場的にも厳しい運命が待っていたと思うが。
戦争を背景にすれ違っていく男女を描いた映画
第2次世界大戦中、ナチスドイツの兵士たちに愛された歌「リリー・マルレーン」を歌ったビリーと、彼女が愛した反ナチス組織のユダヤ人ロベルトの話。
ナチスドイツが優秀な人種と認めるアーリア人のビリーと、迫害される側のユダヤ人のロバートの恋物語なので、その大戦中の恋は障害が多く、というよりもほとんど会うことも叶わないです。
その為、お互いに結構な無茶をして逢引きをしますが、その度にナチスに監視されて立場が危うくなります。
ナチスのしつこい追及、精神を攻撃する尋問、迫害人種への容赦ない差別と攻撃、命令を従わない物への死地への出征命令、そして「リリー・マルレーン」が流れる度に気持ちを奮い立たせて死地に飛び込む兵士等。
ドイツのこの時代を描く以上はナチスの凶暴性は避けて通れないのでしょうが、流石に毒々しいです。
そんなナチスの中に入って歌姫として祭り上げられていくビリーの危うさ。
ユダヤ人との繋がりを疑われてからの彼女の転落ぶりは、いつ殺されるのか判らない恐怖心を観る者に与えるサスペンスな展開でした。
ロベルトに至ってはもっと酷いですね。
ナチスに捕まった時点でビリーとの繋がりまでほぼばれており、ひたすらビリーがユダヤ人との繋がりを自供するように尋問される。
尋問というより狭い個室の中で一面のビリーのポスターと延々と流れる「リリー・マルレーン」の歪んだ一小節。
次第に精神に支障を来すロベルトの苦痛ぶりが結構なホラーでした。
そして、ナチスによる策略で意図せず同室で接見するビリーとロベルト。
お互いに夢にまで見た再開のはずなのに、というよりも失敗したらお互いが破滅することを理解した中での再開で、咄嗟に他人の振りをしてやり過ごそうとする二人の緊迫感。
なかなかこれは圧倒されるシーンでした。
それでも内通がばれ、凋落していくビリーと、逆に裏取引で解放されるロベルト。
ロベルトの策略によりビリーは殺害を免れるものの、戦争の終結後も二人が結婚することはないです。
ロベルトは解放後、ナチスも終焉を迎え、家族の繋がりから結婚し音楽家として大成しますが、自由になったビリーと再会を果たすも、その恋は実らず切ないラストを迎えます。
戦争を背景にすれ違っていく男女を描いた映画は多くありますが、この映画も多くの名作と同様にやるせなさを感じるラストでした。
監督はライナー・ヴェルナー・ファスビンダー、ニュー・ジャーマン・シネマの代表監督の一人で、残念ながら37歳の若さで亡くなってしまった方です。
僕はこの映画しか見ていませんが、べったりと絵の具を塗ったような個性的な映像、平面的に感じる固定された構図、調和の取れた舞台装置の美しさに加え、サディスティックな尋問やナチスらしい戦争鼓舞に感じられる狂気。
天才と言われる監督だけあって、ストーリー以外にも興味深さを感じる映画でした。
これで小難しいと今後は身構えるのですが、映画としては戦火の中での許されない恋を描くというメロドラマ的な展開なので、すんなりとストーリーも理解できます。
他の映画を観れていないのは残念なんですが、個人的には好きな監督になりそうな気がします。
ファスビンダーは作中にも役者として登場します。
反ナチス組織の指導者として、全くカリスマ性を感じない指導者ぶり。
この登場人物が出てきた時点で、なんだその似合わないサングラス?と思いながら、違和感を感じて観ていたら、鑑賞後にファスビンダーと知り、ちょっと笑いました。
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