「過酷な運命の列車の終着駅」離愁 シネマディクトさんの映画レビュー(感想・評価)
過酷な運命の列車の終着駅
第二次大戦中のフランスが舞台のメロドラマで、演出、脚本、カメラ、音楽、主役の演技、全てが完璧でとても見応えがありました。戦時下の時代感や市民の生活感がよく出ていて、ドラマに引き込まれます。さらに、避難列車の貨車に乗り合わせた人々の人間模様や細かいエピソードを生々とかつ淡々と描き、停車駅ごとののどかなあるいは悲惨な風景など、列車のドラマのポイントをしっかり押さえながら緩急つけた演出が見事です。非常時の列車で出会った男女が徐々に距離感を縮めていく主演二人の演技の呼吸が抜群で、抑圧された状況で求め合うシーンは鮮烈です。一瞬だけ人生の線路が交わった二人の終着駅に待ち受ける余韻のある幕切れも素晴らしく、個人的なフランス映画ベスト10に入る作品でした。主演のロミー・シュナイダー、ジャン=ルイ・トランティニャン、二人とも素晴らしいパフォーマンス、紛れもないお二人の代表作だと思います。
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