「半世紀前から退廃的なブラジリアが印象的」リオの男 よねさんの映画レビュー(感想・評価)
半世紀前から退廃的なブラジリアが印象的
実戦経験のない見習い航空兵のアドリアンは1週間の休暇でパリを訪れる。その頃パリの美術館からブラジルから持ち込まれた古代文明の彫像が何者かに盗まれ、彫像を美術館に寄贈したカタラン教授も失踪、そしてカタラン教授の同僚だった故ヴィレルモーザ教授の娘でアドリアンの恋人アニェスも誘拐されてしまう。必死でアニェスを追うアドリアンはうっかりリオに来てしまい・・・というアホまみれなあらすじですが、1964年作品ですからこんなもんでしょう。こんなタイトルですが興味深いのは遷都まもないブラジリアの風景。まだまだ建設途上のビル群が散らばる風景には真新しさが全くないどころかどこまでも赤茶けて埃っぽく、半世紀経った今とほぼ同じ風景。建設途上から既に退廃感が寄り添っている都市を眺めながらやっぱりこの国には秩序も進歩もないと愕然とします。そして本作の魅力はヒロインのアニェスを演じるフランソワーズ・ドルレアックの人智を超えたキュートさに尽きます。私が生まれた時にはこの世界一美しい女性はもうこの世にいなかった、この絶望感もまたこの映画の魅力でしょう。そんなスゴイ映画ですがアマゾンのシーンにチラッとリオの岩山とか映り込む辺りにラテン仕事の雑さも垣間見えて面白いです。
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