劇場公開日 1951年12月27日

「やはり共感の薄いままに終わった騎兵隊3部作目の鑑賞に…」リオ・グランデの砦 KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)

2.0やはり共感の薄いままに終わった騎兵隊3部作目の鑑賞に…

2022年10月5日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

正直なところ、
フォード監督の騎兵隊3部作の他の2作品には
あまり共感を得られることはなく、
この作品を観る予定にはしていなかったが、
NHKでの放映を機に
3部作完結の意味で初鑑賞した。

前半は、
出演者が本当にこなしているような
ローマ式立ち乗り乗馬等の
見事な疾走シーンは元より、
中佐一家の何やら訳ありげのような確執と
家族愛の展開に
「アパッチ砦」や「黄色いリボン」にはない
面白味を感じ期待が持てていた。
しかし、後半は、
主人公の心象を安直な歌謡ドラマを彷彿
させるような度重なる合唱シーンの挿入や、
合戦の御都合主義的展開は相変わらずだが、
各合戦の連続性そのものが散漫過ぎて
まとまりが悪く、
それほど長い作品ではないにも関わらず、
冗長感の中に追いやられてしまった。

また、最後は中佐が矢で射られて亡くなり、
息子がその意思を繋いでのエンドかと思った
ので肩透かしを喰らってしまった。
何か、ヒーローは最後の最後まで
亡くなってはいけないとの、
まるで娯楽イズムからの脱却出来ない、
フォード映画のテーマに対する執念の希薄性
が表れているような気がしてならなかった。

「怒りの葡萄」や「わが谷は緑なりき」では
テーマ性豊かな作品を監督していたような
気がしているが、
「駅馬車」は別として、
見事な騎馬疾走シーンのある西部劇に
限っては逆に、
テーマ性が薄くなる残念なイメージを
フォード映画には共通して感じている。

KENZO一級建築士事務所