劇場公開日 1951年12月27日

「ホームドラマを内包した西部劇のフォードタッチに酔う」リオ・グランデの砦 Gustav (グスタフ)さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ホームドラマを内包した西部劇のフォードタッチに酔う

2020年4月17日
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鑑賞方法:TV地上波

騎兵隊三部作の最終章。部隊全滅の悲劇の「アパッチ砦」、退役大尉の哀愁の「黄色いリボン」ときて、今度はフォードが愛して止まない騎兵隊と家族を同等に扱っている。西部劇作家としての評価が知れ渡っているが、フォード映画の真骨頂には郷愁作家としてのリリシズムと家族愛がある。その人間味豊かで詩的な表現が男性的活劇である西部劇を他の追随を許さない境地にしている。組織化された縦の関係を基本とする騎兵隊と家族をバランスよく描いたのが、この「リオ・グランデの砦」になる。家族がジョン・ウェイン、モーリン・オハラ、クロード・ジャーマン・ジュニア、騎兵隊メンバーはベン・ジョンスン、ハリー・ケリー・ジュニア、ヴィクター・マクラグレンのキャスティングで、撮影が「駅馬車」のバート・グレノンと、フォードタッチを味わうには最良です。痛快なユーモアから軽いユーモアまであり、二頭の馬に乗って疾走するアクロバットも楽しめる。完成度を求めず、多面的なフォード演出に酔える作品です。

Gustav