劇場公開日 1951年12月27日

「ベストオブベストの西部劇」リオ・グランデの砦 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0ベストオブベストの西部劇

2019年6月16日
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鑑賞方法:DVD/BD

騎兵隊三部作の最後を飾るだけあって大変に面白い

突撃ラッパを響かせて爆走して救援に突入する騎兵隊!
これぞ騎兵隊という映像をたっぷりと堪能できる

しかも、お話が重層的であり見応えたっぷりだ

まずジョン・ウェイン演じる騎兵隊隊長の重責と厳しい中にも人情味溢れる指揮ぶりを描く物語である

そこに新兵として現れる息子
彼は仕官学校を成績不良で退学させらていたのだ
その息子をつれもどそうと彼を追ってくる妻
その二人とは指揮官は15年も会っていない
作戦上やむを得ず妻の実家の農園を焼き払ったことをきっかけとして、15年も妻も幼かった息子も放置して最前線で単身赴任しどうしだったのだ
この崩壊した家族の絆の再建の物語でもある

妻役はモーリン・オハラでプライドが高く気が強い、しかし実は心優しい女性を見事に演じていてジョン・ウェインとお互い見つめ合うシーン、並んで立つシーンの目の動き、気遣いと言った部分に演技以上の何かのケミストリーまで感じてしまうほど

また、その息子の男としての成長の物語でもあります
そして、それを見守る父な物語でもあるのだ
彼のまだ高校生のような風貌も配役の勝利で素晴らしい

そこに、保安官が殺人罪で逮捕しようとする息子の同期入隊の戦友のエピソードが絡む

そして、指揮官とは長い上司部下の関係であるクインキャノン曹長のコメディリリーフが挿入される
この曹長役のヴィクター・マクラグレンは騎兵隊三部作全てに出演し、さらにフォード監督の次回作の静かなる男にも出演している監督のお気に入り
本作では彼の出演シーンが大幅増量されている
彼のシーンは本当に生き生きしており楽しい
表情、仕草を見ているだけで面白い

その上、連隊歌手の歌のシーンも美しく、たっぷりある

しかも戦闘シーンの迫力は駅馬車並みなのだから
もう本当に楽しめる

冒頭は戦いから砦に帰投する騎兵隊のシーンから始まる
道の左右に並ぶ彼らの妻たちが心配そうに隊列の中に自分の夫がいるか探しているシーンから始まる
負傷者は馬が引きずる担架に横たわっている
その顔が夫ではないかと覗きこむのだ

そして終盤も同じシーンだ
騎兵隊が激戦を終え砦に帰ってくる
そこには夫と息子の無事を探す指揮官の妻の姿がある
ラストシーンは手柄を立てた息子達の表彰シーンだ
そこには殺人罪に問われている彼の戦友もいる

見事にすべてのお話が畳まれて大団円となり
最後にクスリと笑わせるオチをつけて綺麗に終わる

これ程見事な構成で見応えがあり、後味の良い西部劇はないだろう
ベストオブベストだ!

あき240