「20分間走りカジノで20番大当たりの女の子の映画を20年もたってやっと観た」ラン・ローラ・ラン talismanさんの映画レビュー(感想・評価)
20分間走りカジノで20番大当たりの女の子の映画を20年もたってやっと観た
1990年代のベルリンはラブパレードやテクノの中心地で、安価な家賃や家屋の不法占拠もできて世界中の若者が集まっていた頃だ。壁が崩壊してまだ10年たつかたたないかで、あちこちが工事中で古い建物と資本主義経済ーアメックスの看板もあるしスーパーの陳列棚には商品がたっぷりで西の高級車が普通に走っているーが混在している。少なくとも心の壁と言われる東西格差はまだそれほど問題にならなくて(旧西ドイツの若者による難民やユダヤ人への襲撃がはるかにショックだった時代だ)、何だか前向きで明るい未来が待っている空気がベルリンにドイツ全体にあったんだろう。
この映画は当時ドイツ人、特に女性にとてもポジティブに捉えられていた。恋人の命を救うためにすぐさま決心して女の子が走る。斬新な構成と音楽もあいまってとても新鮮に映ったに違いない。あんまりにも皆が誉めるから私は食わず嫌いになってしまって見なかった、忙しい時期でもあったし。
そしてやっと見た。20年以上もたってから。プライプトロイが恋人役のマニをやっていたなんて知らなかった。まだ20代。若くてかわいい。ローラは決してジョギングやってる子でもなければスーパーウーマンでもない。煙草吸って酒飲んでマリファナも吸ってるかも知れないしタトゥーして指輪もいっぱいしてる。そういう普通の女の子が愛する男の為に走る。力強くキラキラと輝きながら前を向いて走る。それが私はすごく気に入った。
カジノでのローラの金切り声は「ブリキの太鼓」のオスカーみたいだった。バリバリとガラスが割れる音が気持ちよかった。
おまけ
マニが電話ボックスの中、そのボックスの外に居た目の見えない年配の女性役はプライプトロイの本当のママのモニカだ。プライプトロイのファミリーは俳優一家だ。このモニカは「ソウル・キッチン」でナディーンのお祖母ちゃん役もやってました。そのモニカ、2009年5月13日に65歳で亡くなってました😢彼女はドイツ映画「4分間のピアニスト」(2006)のピアノ教師役を演じてたんだー、見てないー!