欲望という名の電車
劇場公開日:1952年5月22日
解説
ピュリッツァー賞に輝いたテネシー・ウィリアムズの戯曲をビビアン・リーとマーロン・ブランドの共演で映画化し、1952年・第24回アカデミー賞で主演女優賞をはじめ4部門を受賞した人間ドラマ。ウィリアムズが自ら脚色を手がけ、名匠エリア・カザンがメガホンをとった。アメリカ南部の没落した名家に生まれたブランチは、家族の看護や葬儀で財産を使い果たして家を失い、ニューオーリンズで夫と暮らす妹ステラのもとへ身を寄せる。ステラの夫スタンリーはお嬢様気取りのブランチのことが気に入らず、ブランチも粗野で暴力的なスタンリーを嫌う。やがてブランチはスタンリーの友人ミッチとの結婚に希望を見いだそうとするが、スタンリーは彼女の暗い過去を暴き出す。
1951年製作/125分/アメリカ
原題:A Streetcar Named Desire
配給:ワーナー・ブラザース映画
スタッフ・キャスト
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2022年10月22日
iPhoneアプリから投稿
誰もハッピーにならない話
テネシーウィリアムズは自らをブランチ・デュボアに例えたそうである。
それなら、少し気持ちはわかるかも知れない。
欲望から墓場、そして極楽へと向かう彼女の気持ちは
おそらく解放を望む感覚に近いと思う。
全てからの解放。
映画版だと、ミッチが異常に気持ち悪く感じた。
2022年6月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
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テネシー・ウィリアムズの舞台劇を、原作者自身のシナリオとエリア・カザンの演出で映画化した作品。舞台はニューオーリンズの寂れた裏町の狭いアパート。セット撮影だけによる本格的な演劇映画と言えるだろう。カザンの演出は非常に手堅く、異常な精神状態のブランチを全身全霊で演じたヴィヴィアン・リーと助演のキム・ハンター、カール・マルデンとアカデミー賞を獲得している。見所は、マーロン・ブランドを含めた主要登場人物4人の演技そのものであった。
物語は単純そうに見えて意外と複雑だった。妹ステラの家を訪ねて同居するようになった姉ブランチの過去が徐々にクローズアップされて行く。ステラは若い時にポーランド人のスタンリーと駆け落ちして、このニューオーリンズに住み着いたらしく、物語最初の二人の再会までは相当の年月が過ぎている。姉ブランチは実家に残り、ひとり犠牲を強いられたようだが、妹ステラはその実情を知る由も無い。妹の夫スタンリーは妻の財産分与についてブランチにしつこい程急き立てるが、残された全財産はブランチの煌びやかな衣装だけだった。そんな気まずい状況で、ブランチはスタンリーの遊び友達ミッチから好意を寄せられる。スタンリーの仲間内でミッチが最も紳士的で上品に見えたブランチの心も傾いていく。ところが義姉に不信を抱くスタンリーは、ブランチの過去をどこからか調べてミッチに暴露する。ここから追い詰められるブランチの壊れていく姿が凄い。愛欲に溺れ未成年の少年を誘惑し、その家族から故郷を追い出された形でニューオーリンズに辿り着いたブランチは、すでに精神的にも追い込まれていたのだ。ミッチはブランチを捨て、スタンリーは上品ぶって厚化粧しているブランチに暴力を加える。美しい女性の本性を露にするテネシー・ウィリアムズのこの残酷さ。
ラスト、ステラは姉を発狂に追い込んだ夫のスタンリーが許せず、アパートを出て行ってしまう。性的欲求不満ながら、表面上は品があり潔癖でありたい女性に対して、その欲望の醜悪さを無慈悲に指摘し暴く野蛮な男の出現によって、女性が行き詰まってしまう悲劇。しかし、駆け落ちした妹の夫婦関係を結果的に壊した姉の介入が、物語の発端である。このブランチとステラの姉妹の関係、女性の二つの生き方が、作品の残されたテーマのように感じた。
1976年 10月30日 早稲田松竹
2022年1月13日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
ー ヴィヴィアン・リー主演の、「風と共に去りぬ」を劇場で観たのは、得体の知れぬコロナ禍が、一気に広まり、総ての映画館が休業したあと、徐々に過去の名作を上映し始めた時に鑑賞した。
ヴィヴィアン・リーの逞しき、困難を乗り越える姿が圧倒的な名作であった。
調べると、あの稀有な女優さんは当時、20代半ばと言う若さであった。
で、今作。
ヴィヴィアン・リー演じるブランチは、過去の虚栄心に捕らわれたまま、妹ステラの所に身一つでやって来る。
だが、ステラと夫スタンリー(マーロン・ブランド)が住む家は、小さなアパート。
それでも、ブランチは過去の栄華が忘れられずに、無垢なる虚栄心を振りまき、スタンリーを苛つかせる・・。-
◆感想
・マーロン・ブランドが見せる熱演は圧巻である。
更に、ヴィヴィアン・リー演じるブランチの不安定な精神が崩壊していく様の悲痛さと狂気は見る側を哀しき思いで、引き込まずにいられない。
・家族も家屋敷も失った未亡人・ブランチは、家を出た妹・ステラの元へ身を寄せる。だがステラの夫・スタンリーは彼女に反感を抱き、ブランチもまた彼を嫌うようになる。
やがてブランチは、スタンリーに暗い過去を暴露され、精神的に追い込まれていく…。
・ヴィヴィアン・リーが、今作に出演した年齢は30代後半である。年代的な意味合いもあるのであろうが、美しさに衰えは余りない。
だが、劇中では彼女の容色の衰えを厳しく指摘するスタンリーの言葉が、荒々しく描かれる。
<何とも、遣る瀬無い映画ではあるが、見応えは十分である。
人間の”虚栄心”とは何であるか。
それに翻弄されたブランチの姿が、哀しい。
それにしても、当時の人間の寿命を含め、女優が花咲く時期の短さにも、嘆息してしまう映画でもある。>
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ゴッドファーザーのマーロンブランドがカッコ良すぎて若い頃をどうしても見たくなり鑑賞。古い映画だし元々戯曲なので、最初はヴィヴィアン・リーの仰々しい台詞回しが気になったが、時代や役と合っててすぐ慣れる。ヘイズコードがあるため、ブランチの旦那がゲイで自殺したとか、最後ブランチがスタンリーにレイプされた等は初見では分からなかった。原作を読むべし。
とにかくマーロンブランドが粗暴で動物的でフェロモンの塊。何をしててもエロい…カッコよすぎます。ちょっと舌足らずなあの特徴的な喋り方、「ステラー!」と泣きべそかいてる姿が可愛くてキュン死。まぁ映画ですからね…現実では絶対関わりたくないタイプです。義理姉をレイプする鬼畜、クズです。嫌悪感。死んでくれ合掌。全てひっくるめてマーロンブランドにぴったりのはまり役でした。たぶん俳優さんの中で私はマーロンブランドが一番好きです。
ヴィヴィアンリーが素晴らしかった。鬼気迫る演技、記憶に刻み込まれる印象深い作品で見ごたえありました。風とともに去りぬのイメージが強かったけど、本作を見てヴィヴィアンリーをもっと好きになりました。