劇場公開日 1970年7月11日

ヨーロッパの解放のレビュー・感想・評価

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3.0無駄に壮大過ぎる戦場シーンの映画だが、ある意味、旧東欧諸国がソ連の支配下に入る瞬間を描いた作品とも…

2024年8月11日
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鑑賞方法:DVD/BD

旧ソ連の超大作映画としては、
「戦争と平和」や「ヨーロッパの解放」
を思い浮かべるが、
映画館やTV放映で何度も鑑賞した
「戦争と…」とは異なり、
この作品を観る機会はこれまでなかった。
しかし、偶然このDVDを入手出来て、
ようやく観ることに。

ドイツ軍は極悪非道、ソ連軍は人道的という
作風は、いかにも国策感満載の作品だが、
無駄に壮大過ぎる戦場シーンが、
ある意味、そのリアル性をもたらし、
戦争の現実感を伝えていた印象はあった。

また、物語性という点では、
一応、主役らしい男女二人の兵士が
全編を通しで出てくるが、
何のドラマ性も感じない一方、
終戦に向けての連合軍とソ連、
そっくりさんによるそれぞれの
首脳同士の駆け引きの場面は興味深かった。

ところで、
我々は枢軸国側に対する連合国側という
言葉を知っているが、
この映画の中でソ連が英米側を連合軍と
呼んでいたのは、
いずれもドイツが相手ではあるものの、
当初はそれぞれが別の戦争を行っている
ような一面もあったのだろうか。

また、史実とは異なる、
例えば、
・クルクスの戦車戦は、あたかも
ソ連が勝利したかのような描き方だが、
実際にはソ連はドイツの3倍以上の戦車を失う
局地戦としての大敗で、
単に連合軍のイタリア上陸に
ドイツが兵力をこの戦場から
削かなかったからに過ぎなかったこと。
・ポーランド侵攻の際は、
あたかもポーランド兵士と共に
解放に努めたかの描写だが、
実際には、ポーランド国内の抵抗軍と
ドイツ軍を戦わせ、双方が疲弊した
タイミングに侵攻したことは、
一部にボーランド内の共産主義勢力の
協力があったのだとしても、
大局では史実とは
全く相反する内容で、
この映画は、旧東欧諸国がソ連支配下に入る
瞬間を描いた作品とも言えるのかも知れない
と思った。

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