「古典SFの初映像化」遊星よりの物体X かせさんさんの映画レビュー(感想・評価)
古典SFの初映像化
ジョン・W・キャンベル原作『影が行く(Who Goes There?)』を映像化。
その後ジョン・カーペンターが同作を再び映画化したことでも知られる。
【ストーリー】
アラスカに正体不明の飛行物体が墜落した。
アンカレッジのアラスカ空軍基地に待機中のヘンドリー大尉は、司令部の命を受けて現地にむかう。
墜落現場では彼らに調査要請をしたキャリントン博士がいた。
彼を所長とするアラスカ研究所の研究員たちによると、その物体(THING)は非常に巨大で高音。強い磁性を帯びており、高い放射線数値を示しているという。
初動の調査で墜落物は、巨大な円盤型のなにかであることが判明する。
そして、氷の下にヒト型の巨大な生物がいることも。
ヘンドリー大尉は部下に指示し、ヒト型のなにかを氷ごと四角く切りだして、研究所に運びこむ。
氷点下の倉庫に安置したが、監視につけた兵士が立ちあがった"物体"に襲われた。
物体は外のソリ犬たちも襲い、雪上に片腕をのこしていった。
その身体組織と組成を分析すると、およそ地球上の生命とはかけ離れた物であるという結果が出た。
吹雪が強さを増すなか、仲間が一人、また一人とやられてゆく。
ヘンドリー大尉たちが対策を練る中、キャリントン博士が研究対象として物体への執着を強めてゆく。
ジョン・W・キャンベルの『影が行く』初の映画化ですね。
「物体」こと「THING」。
やや大きめのヒト型で、白っぽくて、切っても血を流さず、そして時間と共に再生する。
質感ふくめて、なんとなくウドっぽいなと。
ほら、大きくて、妙にもろいし。
ウド鈴木ではありません。あの、食べるほう。
こっちのウド、人類よりも知性が高い設定となってます。
そのわりに、行動はイマイチ行き当たりばったりなんですが。
1951年の映画ですから、今見るとホラーやサスペンスとしてはゆるーい出来。
それでも航空機は実機を使って撮影しているし、アラスカ基地でのホラーシーンは結構怖く作ってます。
難をおぼえるのはやっぱりストーリーで、クライマックスもサラッと済んで、わーいわーいヽ(=゚ω゚)ノでサクサク終わっちゃうんですが。
もひとつ、美人科学者とのロマンスも適当にプラスしただけで、特にストーリーと絡まないし。
SF設定のいい解説役になりそうだったのに、もったいなや。
それでも、SFとしては中々野心的な作品ですよ。
白黒映画ながら、人類を襲うTHINGの設定もちゃんとしてます。
中でスーパーニンジンとか呼ばれてますけれど、まあそこはご愛嬌ということで。
原作に忠実なのはカーペンター版で、こっちはスプラッタSFの傑作となっております。
心臓の強さに自信がある方は、ぜひぜひ。