「放浪罪」モダン・タイムス kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
放浪罪
“放浪罪”って罪があるのだろうか・・・逮捕当時にはレストランで働いていたのだから無罪放免にすればいいのに。とにかく食べ物が各シーンに必ずといっていいほど出てくる。食事マシーンもそうだし、歯車にはさまれたボスにゆで卵を食べさせたりしている。
そして、警察という権力と工場主=資本家に反抗する精神。大恐慌の真っ只中であるという時代では、職を持っている人間のする行動とは思えなかったのだろうが、少女と出会った時から彼の本来の反体制が甦ってくるようにも見えた。工場に向かう労働者集団と白豚の中の唯一の黒豚を対比させたり、歯車に巻きこまれる姿とレストランの客に巻きこまれる対比など、何度も見てみると新たな発見がありそうだった。
コメディシーンはいずれも秀逸で、落ちそうになるローラースケートやパンを奪い合うシーン。逃げながらもタイムカードを押すところもサラリーマンの悲しき習性を思い起こさせる。
機械文明に対する皮肉のみならず、権力にたいする反逆とチャップリン自身も放浪者であるようなテーマを忘れてはならないと思う。
ヒロインのポーレット・ゴダードは当時の恋人で、やがて結婚した。最初の編集では違うエンディングがあったようだが、今残るフィルムではこの二人が希望を求めて未来に向けて歩くシーンで終わる・・・混沌とした時代を象徴するかのような素晴らしいエンディングだった。
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kossyさんのコメント
2021年2月3日
チャップリンを映画館で観たのは、小学校の団体鑑賞で行った『ライムライト』だけです!
あれ、中学だっけかな?
I can stand を覚えたからやはり中学校か・・・