劇場公開日 1987年2月7日

「良作ヒューマンドラマ」モスキート・コースト black swanさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0良作ヒューマンドラマ

2023年1月3日
iPhoneアプリから投稿

当時も批判が多く過小評価された映画ですが私はとても好きな映画です。これまでヒーローばかり演じてきたハリソンフォードがあえて堅物の父親役に挑んだヒューマンストーリーだったからです。

結果的にはバカな親父だな、こんな親嫌だな、て感想になると思うのですが、この親父はアフリカ密林地帯に氷を作るという偉業を成し遂げているんですよね。

本来ならこれで成功者となり家族皆裕福な暮らしができるハッピーエンドのはずが、このユートピアに招かれざるものが現れて事態が急変してしまう、言わば自分の欲望のためだけに生きている者によって全て破壊されてしまいます。世の中の不条理さがリアルに描かれていて私はこの映画の醍醐味はここにあるように思います。今我々が暮らしている世界と同じで知性や努力で得た幸せな暮らしをギャングに襲われている光景そのものです。

全てを奪われ喪失感に苛まれまたゼロからのスタートを強いられ家族にも反感を抱かれながら葛藤している父親の苦悩を見事にハリソンフォードが演じていてとても感動しました。本人も間違いであることを感じていながらももう後には引けないどうしようもない焦燥感がなんとも痛々しいヒューマンドラマです。

どうしてもリバーフェニックスが注目されてしまいますが(このリバーフェニックスが一番好きですけど)この映画ではあくまで脇役です。

black swan