「ギャング映画の古典として、今なお輝きを放つ傑作だ。」民衆の敵(1931) 瀬戸口仁さんの映画レビュー(感想・評価)
ギャング映画の古典として、今なお輝きを放つ傑作だ。
倫理的な価値観が今よりも遥かに高いハードルだった公開当時(1931年)に、低俗な題材とみなされたギャングを、リアルなタッチで描き切り、描くに値するテーマとして押し上げた名作だ。
裏切りへの復讐を果たし、理不尽な仕打ちには、手段を問わず戦う一方、家族を愛し、友を愛するアウトローという描き方を、いち早く取り入れたことは、後世の犯罪映画に極めて多大な影響を与えている。
本作の価値に大いに寄与した、ジェームズ・キャグニーの突出した存在感と熱演は、触れないわけにはいかない。ジーン・ハーロウも、後の成功を予感させるに足りる、とても良い印象を残している。
若いギャングの荒々しく生々しい生き様を、巧みな語り口で最後まで一気に見せてくれる。数多くの実録ドラマの作り方にも、大きな影響を残していると思う。ギャング映画の古典として、今なお輝きを放つ傑作だ。
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