緑の光線のレビュー・感想・評価
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幸せを求める姿を見つめる温かな視線
見ていて少し息苦しくなるような描写が続きます。
例えば、太陽降り注ぐ明るい浜辺で、一人本を読んでいるデルフィーヌ。
波の音に混じって聞こえるのは、子供の楽しそうな声や、カップルたちの声で、どこか所在なげ。トップレス姿で海から浜辺にあがってきた北欧出身のリサと出会い、二人で休んでいると、二人組の若い移民風の男たちと目が合い、四人で一つのカフェのテーブルを囲むことになりますが、やはり三人の会話についてゆくことができません・・・。
同じように一人旅なのに、男あさりを楽しむと言い切るリサとはやはり違う。一言もしゃべらないでも、私が望んでいるのはそんなことではないのに・・・、いたたまれない感情の動きが、手に取るようにわかります。
しかし、デルフィーヌに対しても、リサに対しても否定的な視線は微塵もなく、違いは違いのままに。ある意味喜劇的なのですが、その笑いは冷笑ではなく、どこか温かく見守る佇まいがあります。なぜならそれぞれのシーンが美しく魅力的に切り取られているから。「海辺のポーリーヌ」で、アンリ・マティスの絵を基軸に色彩設計を試みた手法はここでも生かされていて、赤、白、青のカラー・パレットが効果的に採用されているように感じました。
インタビュー記事で「デルフィーヌは私かもしれない」と語っていましたが、パーティ嫌いや結婚が遅かった点も含め、昔からどこか資質に私と重なる部分を感じていたエリック・ロメール。主人公に注ぐ温かな視線も多分自分自身に向けたものだったのかもしれない。今はそう思います。
ちなみに、この作品の題名ともなっている、ジュール・ベルヌの小説の主人公は、「日没の瞬間に非常に稀な現象として現れる『緑の光線』を見た者は、自分と他人の心のうちを見通せるようになる」との新聞記事を見て、叔父から薦められた相手との結婚を避け、真実の愛を求めて出会った男性とラスト日没を眺めますが、肝心の緑色の光線を確認する直前に、出会った男性の瞳の中に真実の愛をみつける・・・・というロマンチックなストーリーのようです(^_^)。
女
緑の光線見てみたい
35mmフィルムに刻まれた緑の光線と現在のソフトでは再現出来ない緑の光線
本作を最初に見たのは、15年以上前に、場所も想い出せない都内の地下にあるミニシアターのオールナイト(確か50席以下)
ロメール作品を見るのは遅くて、『夏物語』を2番館で見たのが最初だが、その不思議な面白さに魅了された。
それから再上映されるたびに時間を見つけて映画館で必ず鑑賞する縛りで作品を観てきたが、ここ数年はポツポツとお気に入りのロメール作品のソフトを購入しているが、本作のDVD見た時は、驚きを受けた。
何故かと言うと、ラストの緑光線場面が、ヘンな合成見たいな処理がされており、驚きど同時に自分の見た記憶が間違いなのが!と一瞬思うほどだった。
ネットで調べてみると、どうやらビデオやDVD化して時から一部で問題になっており、出来の悪い合成のような緑の光線の場面は、ソフトにした時に上映フィルムのような緑閃光(グリーンフラッシュ現象)の色にならないので、苦肉の策で今の合成処理に落ち着いたそうである。(検索すると幾つかヒットする)
そして今回の35mmフィルムで上映を待ち、北千住のシネマ ブルースタジオの上映を鑑賞した。
フィルムの状態は傷が多めで、若干の褪色は見受けられるが、古いプリントにしては、問題なく見られる状態で、問題のラストシーンに瞬間的に輝く緑の光線も記憶されていた映像と同じだった。(緑の光線場面は、例えるとフィルムに浅い傷がついて時たま放たれる緑色)
現在出回っているソフトが、再現できない欠陥を抱えている以上フィルムでの上映は、貴重だと思うのと、オリジナルがデジタルで残せない現状については、やはりオリジナルプリント保存の重要性を感じざる得ない。
たまに、フィルム特性の映画や映像を知らないデジタル信者が、フィルムなどの断捨離をほざいているが、ここ30年でどれほどメディアが現れては消えたことか。
作品自体は、ロメール作品としては上位に入るくらいに、刺さる面もあり素晴らしい
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何かとモヤモヤするお年頃で、色々とこだわりの強いパリのOLの夏休み顛末記。
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ラストシーンで緑の光線が見えて涙ぐんだということは、ハッピーエンドなのだろうけど、彼女の先行きに何故か疑心暗鬼な自分がいて、笑ってしまった。
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