ミクロの決死圏のレビュー・感想・評価
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楽しい人体探検
初めて観たときには政治色が強い冷戦時代の象徴のような映画に思えたものでした。ファンタスティックという原題が示すような夢と空想の世界よりも、冒頭から始まるサスペンスタッチの映像のほうが印象に残ったのです。何しろ体内は明るく、外の世界のほうが暗い。
軍隊ミニチュア化は60分しか持たない。狙われた要人はその永続化の技術を持っていたのだ。作戦は頚動脈から注入し、心臓を通らずに脳に行き、患部をレーザーで溶解し、静脈を通って体外に出ること。血液の流れや抗体、白血球など医学的にも説明される。さらに用意周到なことに、患者を冬眠状態にしてあるなど、冒頭の説明通り、専門家からの協力があってこそ出来あがった映画なのであろう。
スパイモノとしては、デュバル博士が反国家的という伏線を用意して、マイケル博士が信頼できる医者という設定である。途中のスリリングな展開はさすがにドキドキ。静脈から動脈に入ってしまい、心臓を一時的に止めなければ針路が危うい。そして廷内の空気不足。次から次へとピンチがおとずれる。
映像は面白いし、緊迫したサスペンスも楽しめるが、微妙な設定についていけるかどうか。
ディズニーのアトラクションに乗っているみたい
原題 Fantastic Voyage 素晴らしい航海。ちょっと医学的知識があったりすると「そんな訳ないだろう」が頭一杯になってそれから先はもう深く考えず、アトラクションに乗った感覚で映像を楽しむことにしました。最初のミーティングルームでの会議内容はしっかり聞いておきましょう。でも当事者達が世界初?!の試みにも関わらず、重要な作戦会議中に並んで葉巻に火を点けるシーン。おいおいみんなしっかり聴いてるのか?って思いました。しかも炎が大き過ぎる!昔はみんなそうだったのかな?そしてこの重要な任務をこなす人が適当に即席で選ばれ、何の訓練もなく有無を言わさずミクロ人間に。終盤のあのサイズになった人間が耳から脳内突っ切って眼、自力で短時間に行ける距離か?!しかも神経に沿って行くって??突然放り出されて酸素は足りるの?この異常事態も想定内??あの残されたマシーンは後で取り除くの?血栓の人は助かったの?もう彼の命は諦めたの?小さくなって大きくなった人達の今後が心配だし、人間を小さくした方が本来の目的の手術よりずっと凄い!!感動。これこそノーベル賞ものだ。まあ色々疑問出てくるけど、ミクロの世界を楽しめました!
ミクロ化SFの金字塔
初めて観たときは人体内部に潜航艇で入る突飛な発想、赤血球や抗体の浮遊する血管内の映像に目を見張ったものだった。BSでやっていたので録画して再鑑賞。リチャード・フライシャー監督は深海ばかりか体内まで潜っって見せるのだから監督冥利に尽きるだろう。後に知ったことだが手塚治先生が1948年に「吸血魔團」という漫画で小さくなって肺の結核菌と戦う物語を既に描いていました、さすが医学博士ですね。
もっとも一寸法師や親指トムなど人が小さくなる話は昔からありますし怪獣が年々巨大化するように縮小化も進み最近ではアントマンが量子のサイズまで到達していますからSFの流れとしては普遍のテーマなのでしょう。
「音を立てるな」のシーンではこちらも思わず息を止めてしまいましたが、お約束通りドジな看護婦がやってくれます。裏切り者も割と早い段階からもろばれですし、やはり見どころは医師監修による特撮プロットにつきるでしょう。肺から取る酸素分子の大きさとかリンパ球に食べられた後の潜航艇が元に戻らなかったの何故とか謎はありますがミクロ化自体が不可能を可能にしているので何とでもできるでしょう、ただ蟻さんを潰さなかったのは良いのですが研究所に蟻が出てくることや電子機器の多いところでコーヒーはこぼすし、葉巻は吸い放題なのはお行儀わるくて頂けませんね、劇中でも肺が煙で汚れていると言っているのに砂糖の取りすぎは注意しても煙草はお構いなし。本作に限らず、良い悪いは別として喫煙シーンの多さで時代がしのばれます。
科学の力で人間でも何でも小さく出来る
映画「ミクロの決死圏」(リチャード・フライシャー監督)から。
1966年のアメリカ映画、45年以上前の作品であり、
突っ込みどころ満載の作品であるが、なぜか面白かった。
そもそもタイトルも「ミクロ決死隊」と勘違いしていたくらい。
今、CGを駆使して製作したら、理科の教材になるのでは?と
考えたほど、発想は画期的だった。
その前提となるのは「科学の力で人間でも何でも小さく出来る」
また、ある程度の時間が経つと、元の大きさに戻るという視点。
昔のアニメ、メルモちゃんよりすごいな、と1人で苦笑いした。
「哲学者が言うように、人間は宇宙の中心だ」
「血は赤くないね」「赤いのは赤血球だけだよ、それも動脈だけ、
あとは海水に似た血しょうだ」
「生命の川だな、全長10マイルもある」
「(心臓を)止めるのは簡単か?」「動かすのに比べれば」
「心臓の音、1年に4,000万発も撃つ、すごい大砲だよ。
それが生命を支えているんだ」
こんな会話や台詞が飛び交い、私にはインパクトがあった。
癌や脳溢血・内臓悪化などで死ぬ人が多い今の時代だからこそ、
体の中の仕組みを知る機会になるのではないだろうか。
是非、リメイクを期待する作品の1つである。
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