真夜中のカーボーイのレビュー・感想・評価
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「大都会で貧困に生きる二人の友情と旅立ち再生」
第42回アカデミー賞で、作品賞、監督賞、脚色賞受賞。3冠達成の名作です。
冒頭からネルソンの有名な曲にのって、ジョー(ジョン・ヴォイト)はある野心をいだいてテキサスから単身ニューヨークへやってきた。バーで知り合った足が悪く仕事もなく、盗みを生業とし、みんなからさげすまれているリコ(ダスティン・ホフマン)に騙されてしまう。
仕事もなくホテルを追われ、行き場のないときリコに偶然出会う。ジョーはリコに恨みをぶちまけると、なんとリコが自分の家へ来いという。そして二人は取り壊し寸前のリコの部屋に同居するようになる。
リコはなんとかジョーの仕事を軌道に乗せようとやっきになるが叶わない。途方に暮れる二人。リコの足と病気は悪化する一方であった。
ジョン・シュレシンジャーは、ジョーのトラウマとリコの夢、パーティーでの出来事を幻想的に描写する手腕は、時間と空間を超越し見る者の創造力をかきたてる見事さであった。まるで過去と未来と現実とうつつが同居するみたいに。
ジョーとリコ、貧困のどん底の暮らしは、ニューヨークという街は冷たすぎた。助けてくれる者もいない、雪は降る、寒さはどんどんひどくなり、部屋の中でも凍えている。ジョーの仕事も「真夜中」しかない日陰の仕事だ。そしてリコの病状もますます悪化していく。
しかしどん底をなんとかしのいでいた二人には強く、固い友情が育まれていた。ジョーの仕事もやっとなんとかなりそうなとき、リコの病気が急激に悪化し、リコはジョーにある願い事をする。リコの夢見た場所へ。二人はニューヨークを離れ、バスで向かう。もうすぐ目的地というとき・・・・。
ラストシーンのジョーの表情から、あなたは何を感じますか。
いい映画でした。多くの人に見てもらいたい映画です。
フロリダに行こう
感情移入
主人公の境遇が自分にかぶさって感情移入してしまう映画ってありませんか?私にとってこの映画はまさにそれなんです。自分の境遇にかぶさるって言っても、私が都会に出てきてジゴロを気取ったつもりが逆に娼婦からお金とられたって体験をしたってわけではありません。私が社会人になりたての頃、理想と現実の壁にぶちあたりもがき苦しんでいるときに観たのがこの映画。相当ショッキングでした。
自信と期待に満ち溢れてNYにのりこんだジョン・ボイト演じるジョー、そこに待ち受けていた辛辣な現実。それを体現するダスティー・ホフマン演じる文無しで脚の不自由なラッツォ。全く状況は違えど、ジョーに起こるひとつひとつの出来事が私にも辛ーく感じられました。
ジョーが夢破れて孤独に打ちひしがれているときに、街中で偶然見つけたラッツォに思わず見せた一瞬の安堵の笑顔、とっても印象的です。
憧れのフロリダに向かうバスの中で死んでいくラッツォ。失望で始まり失望で終わる結末。私は人にも観て欲しい映画を選んでレビュー書いてますが、この映画は誰にもお勧めしません。心がすさみます。でも私にとってはとっても、とっても大切な一本です。
(とは言ってもアカデミーの作品賞受賞作品です、これ。すごい時代だったんですね)
『Everybody's Talkin』はずっとジョン・デンバーの曲と思っていた。
アメリカンニューシネマ、ワンパターンなストーリー。
つまり、『俺たちに明日はない』『イージー・ライダー』と全く同じ流れ。
この後の『スケアクロウ』なんて、この映画と話の流れが全く同じ。
リコとジョーがニューヨークで出会う確率は大変に低い。
リコはジョーと出会う前に死んでいるだろうし、ジョーはベトナム戦争へ徴兵されているはずだ。その架空の出会いを一期一会的に描いているならば、多少は評価できるが、アメリカの古い価値観がまだまだ、色濃く残った映画なので、評価は最小限に留めておく。アメリカン・ニューシネマに良い映画は無いと僕は思う。音楽だけが耳に残った。『ウィズアウト・ユー』の作曲者なんだ。ずっとジョン・デンバーの曲と思っていた。『うわさの男』で思い出した。
つまり、今日が初見。恥ずかしながら。
小さい話がどんどん小さくなる。これが映画だ。
2012年7月第三回午前十時の映画祭にて
ジョン・ボイト=『ミッション・インポッシブル』以降のわる〜い顔したおじ(い)ちゃん、というイメージしかなかったので、本作での色男ぶりにビックリ。ホフマンとの体格差が
凄くて、こんな大柄なんだ。
ただしお話自体は上手く消化できず、あまり引っかかりもなく、引き込まれずじまい。しょんぼり。
おもろうて やがて哀しき
華の都ニューヨーク
アメリカン
「真夜中のカウボーイ」の意味するのところ
友情
田舎者のカーボーイが都会に出てきて仕事をなんとかして探しても上手くいかず相棒となんとか生活が回りだしたと思った矢先こんなことになるのは世の中の不条理さ虚しさがありまさにアメリカンニューシネマ。
深夜しみじみとしみじみした
いまさらながらこの名作
いわゆるアメリカン・ニューシネマでは一番好き
しかしこの映画について良さを語るとき、うまく説明できないな。
でも映画好きを標榜したいなら観賞必須科目映画でしょう(笑)
いろいろ言うことはできる都会にあこがれてニューヨークにやってくるジョン・ボイトを通してそれがことごとく裏切られるせつなさとか
ダスティン・ホフマン
不自由な脚で小汚ない部屋に住み、仕事もちゃんとした定職ではなく、スキマ仕事みたいなことして日銭を稼ぐ生活の惨めさとか。
二人の出会いから、一度夢を見るが、それもあっけなく崩れ去る。音楽が主題歌は陽気な歌だし、最後にかかるテーマ曲も暗いというよりやるせないかんじだ。それが余計やるせない。
でもそゆことじゃないんだな、なんだろう…
なーんかマンガの実写化映画とかもう見る前からくだらねーな(わからないけどさ)、どうせ仕掛人必殺稼がせ仕掛人が特に東宝とかにいるみたいだけど、に踊らされて高い金出してアニメ映画とかみるなら、
こういうのみるのを勧める。
だいたいもったいない、映画館一回分で豚カツ定食上は食えるぜ、吉野家なら三回は食えるぜ、まあ観てみないとわからんわけだけど。
大抵のTSUTAYAには置いてあると思います。派手な場面はあまりないので、吹き替えつきがあればそれをおすすめします。
なお、最後までみて軽くうつになっても私は知りません(笑)
若さと思い上がり
夢を持った若者たちの上京物語。苦しい思いの後に大切なものを見つける。苦しい思いが人が人を愛する力をくれるのかもしれない。大切なものを守るために人間は見栄や思い上がりを捨てることができる。真っ当に生きようとすることができる。
自分の家へジョーを招きいくらでも泊めてあげたリコ。
汗まみれで汚いリコを自分のシャツで顔を拭ってあげたジョー。
自分の血を売ってリコにアスピリンを買ってくるジョー。
リコのために病院ではなくてフロリダ行きの切符を買ったジョー。
バスの中で失禁したリコを冗談で笑い包むジョーはかっこいい。
当時の流行・安っぽさ漂う浅はかな映画でも、心に響くのはそんな理由からかなと思った。
孤独と挫折感の中にある一筋の光
アメリカンニューシネマの王道
田舎から出てきた時に着てきたカーボーイの衣装をジョーがゴミ箱行きにしたり、金持ち熟女に体を売ったり、ラッツオは足が悪かったり、アメリカ白人男性のアイデンティティーやマッチョイズムに対抗している様に感じられました。「真夜中のカーボーイ」とは、男娼のことか。
アメリカンドリームが、つかむことのできない幻想として描かれている所も、退廃的な香りのする王道のアメリカンニューシネマ。ほとんどの人にはアメリカ合衆国は虚構だったという現実が、今だからこそ実感を持ってスクリーンから読みとれると思います。だって、今こういう人溢れかえっているもの。
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