劇場公開日 1952年9月16日

真昼の決闘のレビュー・感想・評価

全39件中、1~20件目を表示

4.0真昼の決闘

2026年1月23日
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鑑賞方法:DVD/BD

フレッド・ジンネマン監督再評価の気運が高まる中、昨晩、約25年振りに「真昼の決闘」をDVDで観直してみた。デジタルリマスター版の画質も申し分なく、しかもレナード・マーチン氏司会のメイキング映像付きで、生前のフレッド・ジンネマン監督のインタビュー映像等もシッカリと収められている永久保存版である。
まさにジンネマンならではのドキュメンタリー・タッチの魅力に満ち溢れた、当時としては、いや今観ても異色中の異色作であり、且つ映画史上に残る傑作ウエスタンである。
まずタイトルの渋いこと。字体も渋ければ、テックス・リッターの歌声も、ディミトリ・ティオムキン作曲の主題歌自体も今聞くと随分と渋い。しかも効果音もセリフも一切無く、ただ暗くて重い程静かなこのタイトル曲をバックに、復讐者が次々と荒野に集結していく様を淡々と描いていく。この導入部からしてもう「山河遥かなり('47)」や「暴力行為('49)」を想い起こさせるフレッド・ジンネマンならではのドキュメンタリータッチで、すっかり魅せられてしまった。
ところで余りにもリアルで、余りにも現実感溢れるこの映画のヒーローを、仮にゲーリー・クーパー以外の役者が演じていたら、絶対に映画の最後まで持ちこたえられなかったであろう。
所謂当時のハリウッド製の一般的な西部劇のヒーロー像から遠く掛け離れている上に、全編に渡るショットからは夢や希望や開拓者精神も一切見い出せず、唯ひたすら現実的で切羽詰った状況のみが描かれていく。「闘うのか?それとも去るのか?」或いは「協力するのか?それとも協力しないのか?」といった問い掛けに対する答えを、主人公のみならず登場する全ての人間が、上映時間とほぼ同時進行していく僅か80分強の現実時間の内(午前10:40から正午までの間)に迫られるのだ。刻一刻と正午に近づいていく時計の針の動きと共に、息苦しい程の緊張感と主人公の絶望感が加速度的に増幅していく。人々は皆、自宅か或いは教会等の屋内で、良心の呵責にさいなまれながら、じっと頭を垂れて時が訪れるのを待つ。晴天の真昼であるにもかかわらず屋外を行き交う人々の気配は無く、もはや完全に孤立無援となった絶望的なクーパーの顔を捉える俯瞰気味のクローズアップが一気にクレーン撮影によるトラックバックで町全体を見下ろす大俯瞰ショットに変化していく時、決定的にこの状況が表現されていて悲しくも美しい。
復讐者の到着とすれ違いで、この町を出て行こうとする過去の女(ケイティ・フラドー)とクーパーの新妻(グレース・ケリー)。黒い衣装を纏ったこの女と純白のドレスに身を包んだ新妻との対比。文字通り "真昼の決闘'' の開始を知らせる銃声が列車の座席まで轟いたまさにその瞬間、クーパー以外でこの町で唯一人屋外へ飛び出し、ドレスの裾をたくし上げて必死にクーパーの元へと駆け寄っていくケリー。その光景を凍りついたように列車の座席で身動きもせず、ただ走り行く列車の車窓から、横目で冷たく後を追うだけのフラドー。
絶対絶命のヒーローを救ったのは、結局この健気でか弱い結婚したばかりの新妻だった。初々しい程に若いデビューして間もないグレース・ケリーによる出番こそ決して多くは無いものの力強く存在感のある確かな演技が、この余りにも重苦しい絶望的な物語を最後の最後で救い出している。
後に、巨匠ハワード・ホークス監督が描いた痛快ウエスタンの傑作「リオ・ブラボー ('59)」を擁護する為に、「真昼の決闘」はよく引き合いに出されてはけなされて来たりもした。そして他のジンネマン監督作品をも含め、あたかも映画史から彼の名を永久に抹消しようとするかのようなあからさまな発言が数多く成されて来た事実もある。
確かに「真昼の決闘」と「リオ・ブラボー」とは、とても比較し易い。共に一保安官が数の上では遥かに優勢な悪人グループと対決するという一見似たような構図の映画だからだ。
しかしながら「リオ・ブラボー」では、絶望感などとは無縁な腕利きで愛嬌のあるジョン・ウェイン演じる主人公の保安官に、アル中の保安官補、脚の悪い年寄りの牢屋番、その上若いガンマンや女賭博師、酒場のバーテンまでもが皆協力していく。欠点だらけだが人間味溢れる連中が、一致団結して悪を撃退するという爽快感、アクションとユーモア、明るい銃声と歌声に貫かれたアメリカ映画ならではの夢と希望と開拓者精神に満ち溢れた上に、美しいテクニカラーで撮影された傑作ウエスタンなのだった。
「真昼の決闘」は、その冷徹なリアリズム故に、決して後味も良くなければ、見たくない人間の本性を見せつけられるようでもあり、気分も滅入ったりする。
しかしながら「真昼の決闘」は、オーストリアからアメリカへ渡った一映画監督が、ハリウッドで赤狩り時代の恐怖の中で描いた名作ウエスタンなのである。
赤狩りとは全く無縁なハワード・ホークス監督が描く世界とは本質的に異なるのだ。
我々は「リオ・ブラボー」を評価する為に「真昼の決闘」を否定するのではなく、共にアメリカ映画史上に残る名作ウエスタンとして、この異なる2つの映画を存分に楽しめばそれで良いのだ。

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ナオイリ

5.0グレイス・ケリー。なんて美人なんだろう

2025年12月12日
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KIDOLOHKEN

4.5「ハーヴェイ、疲れていただけだ」

2025年4月11日
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komasa

4.0痛快娯楽西部劇かと思いきや!?

2025年1月15日
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Duchamp

3.0愛する二人が黙って町を立去るラストシーンに…

2024年9月8日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

「地上より永遠に」
「わが命つきるとも」
「ジャッカルの日」
「ジュリア」
など、たくさんの作品で魅了してくれた
フレッド・ジンネマン監督の作品がTV放映
されたので久々に観てみた。
この作品は“リアルタイム劇”として有名な
作品だが、そのリアルタイム性を
あまり意識することは無かったものの、
刻々と迫る正午(ハイヌーン)への
緊迫感を醸し出す装置として
機能していたようには感じた。

そもそもが、このストーリーは
現代では考えられない内容だ。
犯罪者が釈放後に仲間とつるんで
警察官に復讐にやって来るなんて、
行政側としてはたまったものではない。
当時の方々への同情を禁じ得ないし、
そんな時代に生きてはいないことに
感謝しかない。

それにしても、愛する二人が、
町の人々への不信感を持ったまま、黙って
町を立去るラストシーンは辛いものがある。
誰か一人でも
あと少しの勇気を振り絞っていれば、
全く別の展開になったはずの場面が
数多くあったことには、
自分も町の一人では、との想像にも繋がり、
現代にも通じる貴重な示唆に感じた。

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KENZO一級建築士事務所

4.0保安官バッジよりも大切なもの

2024年9月6日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

興奮

知的

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TRINITY:The righthand of the devil

4.51人になっても、自分の信念は曲げない

2024年8月26日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

シンプルだが、いい映画だった。

周りがどうであろうとも、自分を貫く。

『燃えよ剣』の土方歳三にも通ずるものがあるね。

人生、こういう覚悟が大事なんだよな。

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藤崎敬太

5.0ハイ・ヌーン

2024年8月24日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

怖い

興奮

幸せ

主人公(ゲイリー・クーパー)は保安官だが、結婚を機に退職、街を離れるつもりだった。
ところが以前捕まえた男が恩赦で出所、仕返しのため街へ向かっているとのこと、仲間の三人は駅で出迎えていた。
新妻(グレイス・ケリー)はモルモン教徒、早く街を離れようと説得するが、夫は言うことを聞かない。
そして昼の12時、列車が到着、4対1の決闘が始まる。
何回観ても面白く、グレイス・ケリーのオールマイティ美女にうっとり。

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いやよセブン

3.5クニャクニャ

2024年7月8日
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鑑賞方法:VOD

西部劇としては斬新ということか。最後のグレース・ケリーの反撃がクニャクニャしていて、なんだかどうも。

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ouosou

3.5映画終活シリーズ

2024年7月4日
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鑑賞方法:VOD

1952年度作品
はじめて、動くグレースケリーを観た
昔のハリウッド女優は気品とか豪華
今と、ぜんぜん違うな

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あきちゃん

4.5ジョン・ウェインが激怒した名作‼️

2024年6月30日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、DVD/BD

泣ける

怖い

興奮

この映画は辞任直後の保安官が、お礼参りに来た四人のならず者と決闘する西部劇‼️ストーリーを聞くと、定石を踏まえた痛快娯楽西部劇のように思えますが、この作品ほど恐ろしい映画はないですね‼️初老の保安官が一人では無理だと、町の住人に協力を求めるが、誰も応じてくれない。最初は協力を約束していた住民が臆病と不安が引き金となり、住民の打算や卑劣さがいろいろな形で露呈される‼️これは究極のファシズム映画でもあると思います‼️人間って汚くて、ホント恐ろしい‼️全編を通して保安官の怒りはならず者ではなく、住民たちへ向けられている気がしてなりません‼️そしてゲイリー・クーパー扮する保安官の85分は、我々観客にとっても85分‼️リアルタイム進行がもたらすその緊迫感‼️主題歌「ハイ・ヌーン」も素晴らしい‼️新妻グレース・ケリーの美しさも素晴らしい‼️ゲイリー・クーパーの凛とした佇まいも素晴らしい‼️そして何より全てを完璧にまとめ上げたフレッド・ジンネマン監督の演出が一番素晴らしい‼️

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活動写真愛好家

4.0史上の重要作

2024年1月14日
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従来の勧善懲悪型から人間ドラマに変質した西部劇の第一作として映画史上の重要作とのことです。
確かに独特の性格描写が当時としては斬新だったのでしょうが、今観ても非常にきめ細かい人間ドラマと感じます。クーパー先輩のくたびれぶりが見事にハマっています。
昭和27年の公開時は赤狩りの全盛期だったことも重要な要素なのかもしれません。

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越後屋

2.5無理を感じる顛末

2023年12月10日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

ゲイリークーパー扮するウイルケイン保安官はグレースケリー扮するエイミーと結婚式を挙げ、保安官バッジを返納した。そんな折、ならず者たちが3人町にやって来た。

新婚さんにしてはゲイリークーパーはちょっと老けすぎてるよね。それに命を狙われているのにわざわざ町に戻ってくるとは。これでは新妻がかわいそうだね。バッジも返したんだから責任感は関係ないさ。 町から出そうとする友人を殴り倒すなんてね。顛末に無理を感じるな。意地を張って死んだら元も子もないよね。

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重

3.0『ベルファスト』

2023年1月21日
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鑑賞方法:VOD

僕は『ベルファスト』が大好きで、公開された去年、映画館で5回観ました(笑)

当時、レビューも書きましたが、

最初まあまあ、あとからジワジワ効いてきて、最終的に5回も観に行ったのです(笑)

そんな大好きな『ベルファスト』の中で、いくつか映画が流れます。

その1つが、この映画です。

『ベルファスト』経由で、この映画を観たワケです。

この映画は、音楽が大好きです♪

『裏窓』『ダイヤルMを廻せ!』のグレイス・ケリーが出ているトコも、いいですね♪

ただ、今この時代に観ると、退屈です…

イキだし、オシャレだし、カッコイイけど…

西部劇で好きなのは、

『ヤングガン』『クイック&デッド』『バッド・ガールズ』『シェーン』

など、90年代のが多くて…

『真昼の決闘』は退屈でした…

素の評価は55点ですが、

グレイス・ケリーと、ワインの様に年代を考慮して5点ほど足しましょう(笑)

最終評価は、甘めの60点です(笑)

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RAIN DOG

4.0まさかこんな話だったとは

Mさん
2022年10月2日
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てっきり、主人公の力でみんなまとまって、悪いやつをこらしめる話だと・・・。

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M

3.0午前十時の映画祭にて。

2021年12月31日
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鑑賞方法:映画館

興奮

午前十時の映画祭にて。

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Yoshi K

4.5画面から伝わってくる強い正義感と怒り、諦観

2021年11月27日
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画面から伝わってくる強い正義感と怒り、更に諦観に圧倒された。ハリウッドに対するそれら想いを、新しいタイプの傑作映画にまで練り込んだ素晴らしい脚本と演出に凄みと敬意を覚えた。

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Kazu Ann

3.0I've got to stay here. 気が付かなかった😅

2021年9月23日
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アキ爺

3.5真昼の孤独な決闘

2021年9月19日
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鑑賞方法:映画館

午前十時の映画祭11にて。

やはり、この映画もグレース・ケリーの美しさが際立つ。
グレース・ケリーは本作が映画出演2本目にして初のヒロイン役で、当時22〜23歳。主演のゲーリー・クーパーは51歳だった。ゲーリー・クーパーが扮する保安官ウィル・ケインは設定上も若くはないようなので、グレース・ケリーが演じるエイミーは自分の倍以上年長の男に嫁ぐというわけだ。

主人公のウィルは、結婚と同時に保安官を辞めて町を出ることになっていたようだ。
ウィルと因縁があるならず者が町にやって来ることが分かって、町の人たちはウィルと共闘するか突き放すかで二分する。町長は、ウィルが町のために尽くした保安官だと説明しながらも、町に向かっている悪党はウィルに個人的な恨みを晴らしたいだけだ、ウィルはもう保安官ではないと言い、町の人々はその言葉に無言で同意する。
だがしかし、ウィルは保安官バッヂを外さず一人銃を持って悪党たちに立ち向かうのだった。
この物語の恐ろしいところは、悪党一味の4人が町にやってくるとウィル以外に住民がいないゴーストタウンであるかのように町は静まり返り、一旦は共に戦おうとしていた人たちも含めて誰一人として救援に現れないところだ。多数決の結論を絶対とする民主主義へのアンチテーゼだとも言われている。

新妻エイミーが、悪党と闘うことを選んだウィルを置いて列車で一人町を出ようとするが、これは彼女がクエーカー教徒であることがポイントとなる。
クエーカー教はいかなる者とも闘わない平和主義、友愛主義が教えの宗派だから、闘いを選んだウィルとは決裂しなければならなかった。
だから、そのエイミーが悪党の一人を撃ち殺してウィルを助ける場面には重い意味がある。

この映画は、悪党のリーダーが列車で町にやってくる設定に工夫がある。
弟たち3人の仲間がこの町の駅で待っていることで、町に来ることが目的だと分かる。
列車の到着時刻が正午であることが分かっているから、正午までの時間をほぼリアルタイム進行で描くことでサスペンスを形成している。
これによって、〝ハイヌーン〟が刻々と近づく緊迫感が生まれている。

孤独な闘いを終え、町の人々に失望したように保安官バッヂを地面に投げ捨ててエイミーと共に馬車で町を出るウィルだが、彼があえて孤独な戦いに挑んだのはなぜだろうか。
悪党が町に向かっていると知らせが入り、急いで町を出るように町長は助言している。しかし、一旦町を出ようとしてウィルは舞い戻る。保安官を辞めた自分は銃を持っていない。自分を恨む悪党が釈放されたとなると、自分を守るために保安官バッヂと銃が必要だ。だから町に戻って保安官に復職しようとしたのではないか。そう考えると、もう保安官ではないのだから町を出ろという町長の意見は、政治家として正しかったようにも思える。
自分がいないと知っても、町にやってきた悪党一味がおとなしく帰っていくはずがない。後任の保安官はまだ着任していないのだから、自分が町を守らねばならないと考えたのだろうか。そうだとすると、悪党一味がウィルに恨みを持っているとはいえ、仮にウィルがいなくても、あるいはウィルに恨みを晴らしたとしても、その後悪党たちが町で何をするかという危機意識が町の人たちには欠如していたと言える。
恐らく後者なのだろうが、ウィルの言動には判りづらい部分もあって、従来の西部劇で描かれた完全正義の保安官とは趣が異なっている。
町の人たちも、馬車で去っていく夫妻をただ見つめるのみで、ウィルへの感謝も謝罪もない。
町を救ったであろう元保安官は孤独に戦い、虚無感の中去っていくのだ…

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kazz