招かれざる客のレビュー・感想・評価
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当時のハリウッドメジャーとしては革新的な題材だったのでしょうね。スタンリー・クレーマーらしい反骨さ。限界もあるけど…
どの映画でも巧いキャサリン・ヘップバーンだが、この映画は彼女なら軽くこなせる程度の役。時々こういう役に罪滅ぼし的な賞を与えるんですよね、アカデミー賞って。
差別のない社会を目指して
小津安二郎の「晩春」でりんごの皮をむいていた父親の姿を思い出した。今まで大切に育ててきた子どもを手離すのはそれだけで寂しく、悩ましいものなのに、人種の問題が加わったらどうなるのか、葛藤する両親(特に父親)の姿が心に残った。
黒人の側にも人種をまたいだ結婚には強い偏見があることを実感した。
子どもの幸せを願って、最善の選択をしようとする両親の姿は、人種の問題を挟まなくても心を掴むものがある。
60年代のアメリカにまだ根強い差別が残っていたこと、そして、あまり「時代が変わ」っていないことにも歯痒さを感じた。
渾身の台詞劇
ただただ、会話で物語は進む。
事件は起きない。
と、言うか、このカップルが事件なのだ。
突然帰省した娘が黒人青年と結婚するという事件。
新聞社の社長である娘の父は、反対する。
が、それは黒人青年を差別的に扱ってのことではない。
この時代、台詞にも出てくるが、州によっては白人と黒人の結婚は違法だったりしたようだ。
その社会的背景から、世間の偏見を危惧しての反対だということ。
そして、終には寛大な理解を示す。
そこには、娘たちといっしょに世間に立ち向かう覚悟があったはずだ。
つまり、父親はその立場にふさわしい知的で尊敬されるべき人物なのだ。
人間として生きる
人種差別の厳しい現実に立ち向かう二人の姿に感動。黒人として生きるのではなく人間として生きようとする姿は素晴らしい。人種差別や偏見などの人権問題を上手く表現した作品。
(午前十時の映画祭にて鑑賞)
2018-52
黒人ママの言葉も、最後の白人パパの演説もとてもよかった!泣いてしま...
黒人ママの言葉も、最後の白人パパの演説もとてもよかった!泣いてしまった。
無事ハッピーエンドだけど、結婚した後が大変ってパパも念を押してたように、その後も描いたら、この時代でどんなだったのか。
今や同性婚まである我々から見ると、あまり違和感がなくなった異人種間...
今や同性婚まである我々から見ると、あまり違和感がなくなった異人種間結婚や国際結婚。当時は大きな社会問題だったんだと感じます。特に白人の黒人への差別意識は、今も根深くあると思います。
そう思うとこの映画、まだまだ甘いのかとも。ただ、未来への希望という意味では良いエンディングでした。黒人パパだけがかわいそうではありました(笑)
シドニーポワチエ、気品あるいい役者ですね。恋人役のキャサリンホートンもなかなかの美人、積極的過ぎる役柄が個人的には…でした。
今見ても面白い
人種差別がテーマだが、あの状況なら相手が黒人じゃなくても戸惑うと思う。そういう意味では普遍的な内容になっている。会話シーンが面白く、特にラストのオヤジの演説はお見事。
母親が社員をクビにするシーンは唐突で面白い。あと、娘は自分勝手で嫌い(笑)
突きつけられた、実は自分は差別主義者という事実
総合:70点
ストーリー: 70
キャスト: 75
演出: 70
ビジュアル: 70
音楽: 65
差別はいけない、差別を無くそう。そういう進歩的でかっこいいことを言い続けていることが出来るのも、実は自分には関係のないことだからということが時にはある。
だが実際にそれが自分が直面しなければならない事実だったらどうなるのか。裕福な白人家庭の一人娘が、黒人を結婚相手として連れてきたならばどうなるのか。早くから差別に関する映画を作ってきたアメリカだが、今作では遠くから差別撤廃を訴えるのではなく、他人事ではない自分がまさに直面する問題として人種差別を真正面から見つめる。そのような問題提起として良い主題をもっている映画である。
彼女の両親は戸惑う。差別をしないと公言し、自分でもそう思い込んでいたのに、娘が黒人と結婚するとなれば話は別。やはり黒人だから嫌なのだ。白人ならばそもそもこんなに悩む必要などない。当事者二人の愛と幸せへの思いがあっただけでなく、シドニー・ポワチエ演じるジョンが超名門大学出の実績のある医師で人格者であればこそ、話がなんとか進んだのだと思う。もし彼が普通の郵便局職員ならば反対のままだったかもしれないし、彼が白人ならばそれでも話が進んでいたかもしれない。差別をしていないと思い込んでいた人ですら、黒人を認めるのならばより良い条件が必要である。またこの問題は白人側だけでなく、黒人である彼の両親にとっても驚きであり戸惑いである。
差別は駄目なんて多くの人がそう思っているし理屈ではわかっている。だがそれは自分とは直接関係の無い別の次元で思っている。差別は駄目、でも自分の隣に外国人が引っ越してきて住むのは嫌、外国人が自分の家族になるのは嫌、特に発展途上国から来た人や黒人は嫌、今でもそんなことを思う人は日本でもアメリカでも多いと感じている。考えさせられるし、アメリカがこのような映画をきっちりと大物俳優を使って、こんな昔から自らの恥部を暴く作品を作り上げる懐の深さは立派。
だが主題はいいが物語は少し安直である。娘は短期間で恋に落ちて結婚を決意し、いい年した分別ある彼氏も同様。そして結婚の報告の後の家族の問題も意外とあっさりと短期間で片付いていく。せっかくの良い主題なので、もう少し作品の中で時間を使った展開のほうが説得力があったのではないかと思う。
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