「ゼッタイ映画館で観る!と決めていた。」真夏の夜のジャズ ラーメンは味噌。時々淡麗醤油。さんの映画レビュー(感想・評価)
ゼッタイ映画館で観る!と決めていた。
映画館で観る機会を逸し続けていた作品のひとつ。この作品だけは映画館でと決めていたので、ようやく念願叶った。
アーティストの映像だけで綴るのかと思いきや、むしろそれを期待していたものの、オーディエンスがエンジョイしているシーンもパフォーマンスと同じぐらいあるのでは?という構成。そのせいか、中盤までは少しタルい。ただし、見知ったアーティストの動いているシーンを観るたびに、自然と身体が揺れる始め、徐々にテンションが上がってくる。そして、最後の3名のアーティストでグッと盛り上がる。
まずは、チコ・ハミルトン・クインテット。名曲「Blue Sands」。ま、鳥肌よね。会場を沈黙に誘うあのオカルト風味のフルート。ギターを経て、チコハミルトンの鬼気迫るドラムソロ。これはやばかったー。ドラムがメロディにも聞こえてくる瞬間があった。
ラス前は、ルイ・アームストロング。ステージ上でのエンターテイナーぶりは流石の一言で、あの独特の歌声とは、似ても似つかわしくない高音域のトランペットの音色がグイグイ刺さる。
そして、トリはマヘリア。「You make me like a star.」のセリフは心の底から出た言葉のように思う。時折見せるチャーミングな笑顔そして自らのタイミングで打つクラップ。そして、堂々とした佇まいとマイクとの一定の距離を保ちながらも感じる太い声量。痺れる。
作品を通して思うのは、やはりオーディエンスの尺。いつの間にかネガティブではなく、オーディエンスあってのパフォーマンスであることを再認識できる構成に膝を叩く。
そして、カメラアングル。特にステージ袖から観ているような横顔のアップ。これはオーディエンスには決して観ることのできない。喉の動き、口から出る飛沫、唇のカタチ、表情・・・新鮮な情報に溢れている。もう一つはアーティストを見上げるアングル。これぞオーディエンス視点。しかも最前列。更に言うと真正面ではなくて、すこし左右に振ってる感じが尚良し。
映画館で観る場合、私はいつも中間の右あるいは左端が好みだけど、この作品の場合は、いつもよりも2-3列前。そしてセンターで観てほしい。