劇場公開日 2019年9月6日

「哲学的であり宗教的でもある」マトリックス Don-chan(Daisuke.Y)さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0哲学的であり宗教的でもある

2024年3月18日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

有名なSFアクション。
今となってはマトリックスという言葉が日常の会話でも使われるようになった。
脱線だが、1980年代に小室哲哉さんがリーダーの音楽グループ『TMネットワーク』が流行し始めた頃、ネットワークという言葉が今のように日常会話に登場するとは思いもよらなかったのに似ている。その先見性はネームにとどまらず作品全体に行き渡っている。

1作目は非常に面白い。
哲学的な要素だけでなく宗教的な面も併せ持っており、その相反する概念がまるで表裏一体かのような内容であった。
哲学的な要素として、この世界と言っているこの映画そのものが作られた仮想現実であり、映画の中で演じて生活している登場人物が、そこから次元の異なる現実世界に飛び出してくるかのように終わるラストは最高の描写で、そういった俯瞰視点が「世界とは何か、自分とは何者なのか」といった哲学的な思考で展開している。
宗教的な面として、現実世界に救世主が必要であるという背景はキリスト教を彷彿させるし、創造主の存在も匂わせるのである。また、信じることが出来れば覚醒するといった信仰心の大事さも訴えかけているようにも感じる。

当時の画期的なアクションやカメラワークが普通となってしまった今でも、ネオ(キアヌ・リーヴス)に感情移入しながら楽しめる作品。

Don-chan