劇場公開日 1995年9月15日

「家族に自分の人生を捧げてきた人が自分の人生を生きる」マディソン郡の橋 ねりまっくまさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5家族に自分の人生を捧げてきた人が自分の人生を生きる

2024年3月26日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

偶然出会ったナショナルジオグラフィック者のカメラマン(クリント・イーストウッド)と田舎の平凡な主婦(メリル・ストリープ)。クリントがメリルに橋への行き方を尋ねたきっかけで知り合い、互いに惹かれ合い、運命の恋に落ちる。家族が泊りがけで出掛けている4日間に二人は大恋愛を堪能するが、家族が帰ってくる日に別れることに。
発表当時ベストセラーになった小説の映画化作品。映画も2大スターの競演で大ヒット。日本でもオバサマ達を中心に一大ブームとなりました。実際のマディソン郡の橋を見学に行くツアーもあったように記憶してます。恐らくマーライオン並みにガッカリ感が大きかったのではないでしょうか。

私も含めて、多くの人の心に残るシーンは、最終盤でしょう。ずぶ濡れになりながらこちらを見つめるクリントの本気度にメリルの心が揺さぶられシーン。車に旦那が戻ってきて、反転させると、前には彼の車が赤信号で停車中。ドアを開けてあの車に飛び込もう、いや・・・。ドアレバーを握る手にも力が入る。脳内では子供、世間体、愛、未来などのせめぎ合い。どうするメリル??

いいですねー。瀬戸内寂聴なら、間違いなくドアレバー引いてますね。なんでアンタ行かないの?とまで言ってるかも。でも、正解は人それぞれ。愛の形も人それぞれ。何を大事にするかも人それぞれ。他人にどうこう言われるものではないですよ。

年月を経て、彼の死を知り、自分の死後は彼と過ごしたいと願う。私は今までの人生を家族に捧げてきた。子供が聞いても涙がでますよ。ここですよね、胸を打つのは。家族が嫌いなわけじゃないけど、誰かから本気で愛されたい。人生で初めて知った本物の愛だから、死後くらいは自分の思い通りにさせて欲しい。私が子供だったとしても、遺骨は撒きますよ。川にでも海にでも撒きますよ。

日本版を作るなら、メリルの役は斉藤由貴がいいな。田舎臭さもありつつ魅力的で肉感的で。でも、クリント役を演じる人がパンツ被って写真撮るハメになるから実現しないと思うんですよ。橋は錦帯橋あたりでいかがでしょうか。

根本的なところで不満があるのは、中年にもなると、出会ってすぐに運命の恋には簡単には落ちないと思う点ですね。相応の人生経験積むと、そんな簡単に本気になれない。好感を持つことはあっても、何もかも投げうってというところまでいくには、もう少し時間が必要。それでも心も体も熱いなら、いいよね、ドアレバーを引いても、というぐらいの時間軸のストーリーだともっと没入できたと思うな。

ねりまっくま