「それほど悪くはないのだが、いかんせん『2』が傑作すぎた。 子供たちの大活躍は、いかにも80年代って感じ。」マッドマックス サンダードーム たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
それほど悪くはないのだが、いかんせん『2』が傑作すぎた。 子供たちの大活躍は、いかにも80年代って感じ。
『マッドマックス』シリーズの第3作。
「サンダードーム」と呼ばれる闘技場を持つ街「バータータウン」を舞台に、マックスの新たなる戦いが描かれる。
監督/脚本はジョージ・ミラー。本作からは製作も担当している。
主人公マックスを、引き続きメル・ギブソンが演じる。
シリーズ3作目にして、方向性を見失ったような感じが漂う。
決してつまらなくは無いのだが、なんか中途半端なアクション映画になってしまった。
『マッドマックス』シリーズの醍醐味といえば、なんといっても人命軽視の大馬鹿カー・アクション!!
…なんだけど、本作ではその要素は少なめ。最後にシリーズ恒例の大立ち回りがあるんだけど、それまでは割とダラっとしたアクションが続く。
第一、タイトルにもなっている「サンダードーム」がそれほど重要な要素じゃないというのが…💦
バンジー用のゴムをつけてぴょんぴょん飛びながら戦うのは、フレッシュといえばフレッシュなんだけどイマイチ緊張感が出ないんだよね。それに正直いえば『マッドマックス』シリーズで肉弾戦とか求めてない。だいたい、マックスって左脚が不自由じゃなかったっけ?今作では結構普通に走り回っていたような…🤔
本作のヴィランを演じるのは「アイク&ティナ・ターナー」で知られる、ソウル界のレジェンド・オブ・レジェンド、ティナ・ターナー!
なかなかにハードな人生を送っているお方で、そういう意味では『マッドマックス』シリーズにはぴったりかも。
あまりにもビック・ネームのお方なので、完全な悪役にはしづらかったのかもしれない。最後の最後で「あんた男だねぇ」とか言ってマックスを見逃す。いやいや、それでいいんかい。街一つ潰されてますけど?
とにかく子供が大活躍するのも本作の特徴。
というのも、本作が公開された1985年前後には、『ネバー・エンディング・ストーリー』『グーニーズ』『スタンド・バイ・ミー』など、子供が活躍する映画のブームがあった。
多分『E.T.』あたりが作り出したブームだと思うんだけど、本作もその影響をビンビンに受けている。
本来非常にハードコアなシリーズである筈の『マッドマックス』に、このようなジャリ要素が混ざり合ってしまった結果、ファミリー向けなんだかコアなファン向けなんだかよくわからん、中途半端なものになってしまったように感じます。
ジョージ・ミラーはこの後『ベイブ』や『ハッピー・フィート』などのファミリー路線で名を馳せることになる。
なんで『マッドマックス』作った人がこんな映画を?と思っていたけど、本作を見る限り、ミラー監督本人がファミリー映画路線に興味があったんでしょうね。色々納得しました。
豚の糞尿で稼働する街というコンセプトや、和のテイストを感じさせるザコたちのヴィジュアルは非常に良い。
世界観の作り込みは相変わらず最高です。
「最後の部族」の子供たちが伝える伝承を、マックスが現実のものにしていくという展開はベタだけど結構好き。
ラノベアニメなんかに多い「巻き込まれ系主人公」の元祖とも言える、とにかくツイていない男マックス。
本人の意図していない方向にどんどん突き進んでしまう感じはなんとも愛おしい。あまりにも訳分からん方向に進んでいくので、結構声に出して笑ってしまった🤣
『2』に出てきたジャイロ・キャプテンがまた登場して来た!何をマックスから強盗してんねん💢…と思ったら、役者は同じだけど別の人物っぽいですね。ややこしいな〜。
酷評される程悪くはない。ちゃんと『マッドマックス』っぽさはある。
でも、やっぱりマックスがインターセプターをぶっ飛ばしてくれないと物足りないっすわ。なんで『2』でインターセプターをぶっ潰したんだろう…🤔
興行的にはヒットしたようだが、本作でシリーズは一旦幕を下ろす。
子供が大活躍したり、悪役が最後は良い奴になったりと、ファミリー路線に舵を切ったのは悪手だったのかもねぇ。