マクベス(1971)のレビュー・感想・評価
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ロマンスキー版マクベス。
何度も何度も映画化されているシェイクスピアの戯曲「マクベス」。
これは、1971年の作品。確か三度目の映画化だったと
思います。監督が、ロマン・ポランスキー。わざわざ50年前の
映画をビデオで見ようと思ったのは、この人が監督だったからです。
ロマン・ポランスキーといえば、ホラー映画。ホラーの巨匠が、
シェイクスピアをどんな風に表現するののだろう?
興味はその一点に尽きました。
今見ると、時の流れを感じますが、
当時はかなり斬新な作品としてとらえられたんじゃないでしょうか。
全編を通して、重苦しく、暗いムード。サイコパスとしての
マクベスとその妻をクローズアップしています。これが
ポランスキーらしさってことなのかな。
ジョエル・コーエン監督、デンゼル・ワシントン主演のマクベス最新版と
くらべてみたいですね。
シェイクスピア
不気味な三人の魔女は砂浜の死体に血をかける儀式。マクベスの友人バンクオには「王になれぬが子孫は王に・・・」と予言される。雨も降る暗い昼間に妖気さえ漂う。
戦いの末、コーダー領主となったマクベスだが、ここまで登りつめても飽きたらぬ。王子が邪魔だから何とかしたいと思いつつ家へ帰ると、妻がダンカン王を殺せとそそのかす。心の葛藤、幻のような短剣、なんとか自分が殺ったと思われぬように心配性にもなるが・・・
殺した人間の亡霊が見えるようになったマクベス。その精神は狂気へと変貌するが、魔女たちに会ってそれが増幅。権力なんて持ったって、またそれが覆される。無駄なことなんだと切々と訴えてくる。古典を味わうよりもポランスキーが妻を惨殺された怨みもこもっているような映像が続く。ストーリー的には退屈だが、時折見ている者まで狂気にかられるような気がしてくる。
ポランスキーらしい”マクベス”の映画的表現
シェークスピア劇で最もロマン・ポランスキーの世界に近い”マクベス””を、ポランスキーの”マクベス”に仕上げた傑作。マクベスとマクベス夫人の悲劇を、血のイメージで象徴した演出は、舞台では表現しきれないもの。欲望に駆られる血、罪悪と恐怖に慄く血、そして因果応報の血と、すべてポランスキーが血のイメージで生々しく描く。格調高いシェークスピア劇ではないが、結果とても人間らしいマクベス像を創造する。
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