マクベス(1971)

劇場公開日:

解説

シェイクスピア原作の『マクベス』の映画化。アメリカの「プレイボーイ」誌のニュー・M・ヘフナー社長が設立したプレイボーイ・プロダクション製作の第1作。製作総指揮はヒュー・M・ヘフナー、製作はアンドリュー・ブランスバーグ、監督は「吸血鬼」のロマン・ポランスキー、シェイクスピアの原作をポランスキーとケネス・タイナンが脚色。撮影はギル・テイラー、音楽はザ・サード・イアー・バンド、編集はアリステア・マッキンタイアが各々担当。出演はジョン・フィンチ、フランセスカ・アニス、マーティン・ショー、ニコラス・セルビー、ジョン・ストライド、ステファン・チェイス、ポール・シェリー、テレンス・ベイラー、アンドリュー・ローレンス、フランク・ワイリーなど。

1971年製作/アメリカ
原題:Macbeth
配給:コロムビア映画
劇場公開日:1973年7月7日

ストーリー

苦しい戦いであったが、マクベス(ジョン・フィンチ)の勇敢な戦いぶりが大きく貢献して、国王ダンカン(ニコラス・セルビー)は勝利を納めることができた。共に戦ったバンクオ(マーティン・ショー)と共に、ふりしきる雨の中を王の本営へと急いだ。その途中、突如2人の前に3人の魔女が現われ、予言を告げた。マクベスが近い将来マーダの領主となり、バンクオは王の父となる、というのだった。マクベスは半信半疑でその後を追ったが、3人は霧のように消えてしまった。翌朝、マクベスのもとに、“戦功によりマーダの領主とする”という知らせが届いた。謎の魔女たちの予言が早くも的中したことに、マクベスは驚かずにはいられなかった。勝ち気で野心家のマクベス夫人(フランセスカ・アニス)は、そのことを知り、いつの日か必ず国王夫人になることを決心し、恍惚とした。そのチャンスは意外に早くやってきた。ダンカン一行がマクベスの城に滞在することになったのだ。ダンカン一行が、歓迎の酒に酔いつぶれたその夜、マクベスは夫人にそそのかされ、ダンカンが眠る寝室に侵入し、短剣を彼の胸に突き刺した。全身の力が抜けたように立ちすくむマクベスを力づけ、夫人は血で汚れた室内の後始末を始めた。一夜が明け、城は大混乱におちいった。凶器は、いつの間にか眠りこけた不寝番の手に握らされていたが、その犯人を追求する前に、身の危険を感じた王の息子マルコム(ステファン・チェイス)とドナルバイン(ポール・シェリー)は行方をくらました。こうして魔女の予言通り、マクベスはスコットランドの王となったものの、今度はバンクオが邪魔になってきた。なぜなら、魔女たちは、バンクオが王の父になる、と予言したのだから。野望を満たすために、マクベスと夫人はバンクオをも殺害した。しかし、王になるべき、バンクオの息子はとり逃がしてしまった。このことが原因で、マクベスは幻覚におびえるようになった。一方、夫人も悪夢にうなされ、とうとう精神に異常をきたし始めた。荒れ狂う城主を反映してか、城の中にも次第に不気味な空気が流れ始め、臣下たちも、その恐怖に追い立てられるように姿をくらました。その頃、ダンカンの息子マルコムは、マクベスに家族を皆殺しにされたマクダフ(テレンス・ベイラー)と共に復讐の準備を整えて、攻撃を開始してきた。その最中に、マクベス夫人は幻覚に耐えきれず、自ら命を断った。兵たちもみな逃亡し、まはや城に残るのは城主マクベス唯1人だった。孤立無援のマクベスと、復讐の念に萌えるマクダフの一騎打ちが始まった。激しい戦いの末、マクベスの首は飛ぶように城の階段をころがり落ちていった。

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映画レビュー

4.0ロマンスキー版マクベス。

2022年1月21日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

何度も何度も映画化されているシェイクスピアの戯曲「マクベス」。
これは、1971年の作品。確か三度目の映画化だったと
思います。監督が、ロマン・ポランスキー。わざわざ50年前の
映画をビデオで見ようと思ったのは、この人が監督だったからです。
ロマン・ポランスキーといえば、ホラー映画。ホラーの巨匠が、
シェイクスピアをどんな風に表現するののだろう?
興味はその一点に尽きました。

今見ると、時の流れを感じますが、
当時はかなり斬新な作品としてとらえられたんじゃないでしょうか。
全編を通して、重苦しく、暗いムード。サイコパスとしての
マクベスとその妻をクローズアップしています。これが
ポランスキーらしさってことなのかな。
ジョエル・コーエン監督、デンゼル・ワシントン主演のマクベス最新版と
くらべてみたいですね。

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tochi06

3.0シェイクスピア

2020年8月26日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 不気味な三人の魔女は砂浜の死体に血をかける儀式。マクベスの友人バンクオには「王になれぬが子孫は王に・・・」と予言される。雨も降る暗い昼間に妖気さえ漂う。

 戦いの末、コーダー領主となったマクベスだが、ここまで登りつめても飽きたらぬ。王子が邪魔だから何とかしたいと思いつつ家へ帰ると、妻がダンカン王を殺せとそそのかす。心の葛藤、幻のような短剣、なんとか自分が殺ったと思われぬように心配性にもなるが・・・

 殺した人間の亡霊が見えるようになったマクベス。その精神は狂気へと変貌するが、魔女たちに会ってそれが増幅。権力なんて持ったって、またそれが覆される。無駄なことなんだと切々と訴えてくる。古典を味わうよりもポランスキーが妻を惨殺された怨みもこもっているような映像が続く。ストーリー的には退屈だが、時折見ている者まで狂気にかられるような気がしてくる。

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kossy

4.0ポランスキーらしい”マクベス”の映画的表現

2020年4月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

シェークスピア劇で最もロマン・ポランスキーの世界に近い”マクベス””を、ポランスキーの”マクベス”に仕上げた傑作。マクベスとマクベス夫人の悲劇を、血のイメージで象徴した演出は、舞台では表現しきれないもの。欲望に駆られる血、罪悪と恐怖に慄く血、そして因果応報の血と、すべてポランスキーが血のイメージで生々しく描く。格調高いシェークスピア劇ではないが、結果とても人間らしいマクベス像を創造する。

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Gustav
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