劇場公開日 1964年12月1日

「マイ・フェア・レディ」マイ・フェア・レディ tyshiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5マイ・フェア・レディ

2023年5月10日
iPhoneアプリから投稿

とにかく古い映画だということを忘れて見入ってしまった…。4Kで見たということもあるだろうが、映像がとても綺麗。画質とかではなく、色の使い方、構図、カメラの動き。どれをとっても一級品。最近の映画のあるあるだけど、手持ちのカメラで下手に誤魔化したりせず、ワンカットワンカット丁寧に取っているのがよくわかる。人物に合わせたカメラのパンからトラッキングまで完璧。たまに見せる引きの画も秀逸。

エンディングに関しては、もう映画の終わりとしてこれほどのものはないなというくらいにすごくいい終わり方。全映画はこの終わり方を見習った方が良い。今後の展開を匂わせつつ、観客に納得のいく終わり方にし、少しの疑問を仄めかす。
さらに、舞踏会や競馬場でのキラキラした世界の中でイライザの素性がバレるか否かというハラハラで持っていくのも上手い。それだけで観客は映画に釘付けになるのだ。たったそれだけの条件だけで。先が気になって仕方がない。

「人の弱いところが見えたか?」
見えた。音声学者の男は、女性を支配したい衝動が抑えられない。プライドが邪魔をして素直に君が必要なんだと言えない。
この未熟さにグッとくる。これによって生まれる2人の対立、さらにテーマ性まで仄めかす。

「謎があったか」
謎という謎はなかった。しかし、目を惹きつけるものとして、ハラハラ感があった。これによって物語が前に進まずとも緊張感を持ってみることができた。

tyshi