劇場公開日 1967年5月18日

「【今作は、一度は夫々の夢破れし男女三人が南の海で沈んでいた宝を引き上げる所から始まる、愛と絆を描いた粋な冒険譚であり、後世の作品に影響を与えたと思われるシーンが多数有る作品でもある。】」冒険者たち(1967) NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 【今作は、一度は夫々の夢破れし男女三人が南の海で沈んでいた宝を引き上げる所から始まる、愛と絆を描いた粋な冒険譚であり、後世の作品に影響を与えたと思われるシーンが多数有る作品でもある。】

2025年7月22日
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鑑賞方法:VOD

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■巴里に住みながら、
 1.レーシングカーのエンジン開発に取り組むローラン(リノ・ヴァンチュラ)
 2.パイロットを目指すマヌー(アラン・ドロン)
 3.芸術家として名を上げたい紅一点レティシア(ジョアンナ・シムカス)
 は、貧しいながら夢を目指すが、夫々挫折する。
 だが、マヌーを凱旋門の下を括らせる飛行をさせた男ヴェルタンの嘘がバレ、逆に3人は彼からコンゴの沖合に沈んでいる飛行機に財宝があるという話を聞き出す。
 三人は新たな夢のために、コンゴに行き飛行機の生き残りの男(セルジュ・レジアニ)から、飛行機の位置を聞き出し見事に財宝を見つけるが、その事を知っていた男達に襲われてレティシアは銃弾に斃れてしまう。
 フランスに戻った二人は、レティシアの故郷を訪ね、自分達と仲良くなった少年と彼女の事を悪く言う叔父夫婦に1億フランを渡し、叔父夫婦ではなく少年が成人したら手に出来る様にする。
 少年の案内で沖の要塞島に渡った二人。マヌーは巴里に戻り財宝により派手な生活を送るが、ローランは残りレティシアが語っていた”海に浮かぶホテル”を実現させる夢を持つのであった。

◆感想<Caution!内容に触れています。>

・今作では、男女三人の夢と破綻と新たなる夢と、三人の絆と粋な心意気が瑞々しく描かれている。
 1967年の公開だそうだが、古さは感じさせない映像である。

・アラン・ドロンもジョアンナ・シムカスも、若く美しい。そして名優リノ・ヴァンチュラはチョイ、オジサンだが抜群の存在感を放っている。
 劇中で、ジョアンナ・シムカス演じるレティシアは、マヌーではなくリノ・ヴァンチュラ演じるローランに、恋心を告げているのだが、ここが良いのだなあ。
 【見る眼がある美しき女性は、若きイケメンよりもイケオジを選ぶんだよなあ・・。】(ココ、強調!)

・凶弾に倒れたレティシアを、潜水服に入れて南国の海に水葬するシーンの哀しくも美しき陽光が降り注ぐ海中からのアングルが素晴しい。ローランもマヌーも、粋なのである。友情を分かち合った友を、敬意を持って葬る姿。

・そして、飛行機の生き残りの男を脅してマヌーの所に来た男達に口を割らない姿も粋である。
 とにかく、この映画は随所で粋なのである。例えば、ローランもマヌーがレティシアの悪口を言った叔父夫婦ではなく、彼らの子で二人に親切にしてくれた少年に1億フランを渡すシーンや、ローランがレティシアが生前に語っていた”海に浮かぶホテル”を実現させるべく、巴里に戻らずに彼女の故郷に留まる姿など。

■私が、この映画に影響を与えられたシーンの中で、これは間違いないのではないかと思ったのが、グレイグ・ボンドの007の「スカイフォール」での軍艦島でのハビエル・バルデム演じるラウルとボンドとの戦いのシーンである。
 あと、幾つかあるが、この映画の宝物を見つけるという究極の冒険譚の流れの描き方は素晴らしい。

<ラストも、哀しいが粋である。男達の凶弾に倒れたマヌーに対し、男達を全滅させたローランは”レティシアはお前と暮らすと言っていたぞ。”と言うのに対し、マヌーは”嘘つきめ”とニヤッと笑って息絶えるのである。クー!粋だなあ、二人とも!
 今作は、一度は夫々の夢破れし男女三人が南の海で沈んでいた宝を引き上げる所から始まる、愛と絆を描いた粋な冒険譚であり、後世の作品に影響を与えたと思われるシーンが多数有る作品でもある。>

NOBU
トミーさんのコメント
2025年7月23日

共感ありがとうございます。
グランブルーのエンゾ水葬のシーンは、絶対イタダキだと思いました。

トミー
Mr.C.B.2さんのコメント
2025年7月22日

NOBUさんは初見ですか。ラストのフランソワ・ド・ルーベの曲、愛しのレティシアはドロンの歌でしたか、インストルメンタルでしたか。2つのヴァージョンが存在します。昔はインストルメンタルでしたが、1977年にJOYPACK配給でリバイバルされた時はドロンの歌ヴァージョンでした。このとんでもない嘘つきめ!これからドロンはラストで死ぬ事が多くなります。長文失礼しました。

Mr.C.B.2
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