劇場公開日 1967年5月18日

「ラ・ロシェルの沖合に浮かぶ要塞フォール・ボワイヤール」冒険者たち(1967) 詠み人知らずさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ラ・ロシェルの沖合に浮かぶ要塞フォール・ボワイヤール

2024年11月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

なんて、素晴らしい映画だろう!中学生の時に見た「サムライ(学校からよく許可が出たものだ)」高校の文化祭の時の「太陽がいっぱい(映画研究会のドル箱)」、あの頃、ちょうど封切りだったこの映画も見ていたら、何と思ったことか。

3人の俳優が魅力的だった、アラン・ドロンの扮するパイロット、マヌー、リノ・ヴァンチュラの演じるローランドに、可憐なジョアンナ・シムカスのレティシア。

筋立ては、どうということはない。マヌーの操縦はうまいが、チャレンジングで、やや騙されやすいか。ローランドは、レーシングカーのエンジンの設計に打ち込み、特許の取得を目指している。一人でやっているからか、なかなかうまくは行かない。レティシアは、モビールなどに挑む新進の前衛彫刻家、個展を開いて注目は集めるが、新聞での評論は散々。

滑走路に近いローランドの仕事場で一緒になった3人は、リスクを承知の上で、コンゴ動乱の際、混乱の中で海に墜落した小型飛行機に積まれていた財宝を探しに行くことになる。

コンゴの海岸で捜索中に無理やり加わってきた墜落した飛行機の操縦士は、確かに財宝を探す上では役に立ったかもしれないが、余計な闇社会の男たちの介入を招いてしまう。

マヌーとローランドは、やっとのことで財宝を手に入れて、リティシアゆかりの港町ラ・ロシェルにゆき、沖合に浮かぶ要塞フォール・ボワイヤールを目にする。そう言えば、以前、フランスのテレビで、ラ・ロシェルの要塞を舞台にしたアドべンチャー・バラエティ番組があった。今でも放映されているだろうか。

この映画からは、撮影時のアラン・ドロンの日本での人気ぶりがうかがわれた。2度も日本に関連した場面がでてきた。日本の映画会社のパリ事務所と、パリの和食レストラン。その頃、既にサントリーレストランはあったのだろうか。ホテル・ニッコー・ド・パリができたのは、もう少し後だったろうから。

男同士の友情、男女の愛と並んで、パリの郊外の滑走路や曇り空の凱旋門、コンゴの海岸のあくまで青い空と海、それからラ・ロシェルでの空撮を含めた爽快な情景が心に残る。

この映画を観たら、心を完全にリセットすることができた。映画を見る一番大事な理由を想い出させてくれた。

詠み人知らず