ボイリング・ポイント
劇場公開日:1994年10月28日
解説
向こうっ気の強い財務調査官と老練なサギ師を主役に据えた、一風変わったポリス・アクション。脚本・監督は、かつてスタンリー・キューブリックと組んで「現金に体を張れ」などを製作し、「駆逐艦ベッドフォード作戦」「ザ・コップ」などを監督したジェームズ・B・ハリス。ともすればありきたりの刑事ドラマに堕す物語の作品を、手堅く人情味あふれる演出の妙で見せている。原作はジェラルド・ペティーヴィッチ、撮影はキング・バゴットが担当。音楽は「ダーティー・ダンシング」のコリー・レリオス。情感たっぷりの主題曲『Dream』は聞きものである。主演は「デモリションマン」の黒人個性派俳優の筆頭ウェズリー・スナイプスと″ハリウッドの異端児″として最近作「スピード」でも怪演をみせたデニス・ホッパー。共演は「わかれ路(1994)」のロリータ・ダヴィドヴィッチ、「カリートの道」のヴィーゴ・モーテンセン、さらに『ブライト・エンジェル』(V)のヴァレリー・ペリン、「逃げる天使」のシーモア・カッセル、「ブラッド・シンプル」のダン・ヘダヤなどベテラン性格俳優が顔をそろえている。
1992年製作/92分/アメリカ
原題または英題:Boiling Point
配給:東北新社
劇場公開日:1994年10月28日
ストーリー
財務調査官のジミー(ウェズリー・スナイプス)は偽札の囮調査を同僚のブレイディ(ダン・ヘダヤ)らと仕掛ける。ところが取引相手の若い男ロニー(ヴィーゴ・モーテンセン)には、出所したばかりの老練なサギ師レッド・ダイヤモンド(デニス・ホッパー)がついていた。そのためもあって囮となったジミーの相棒ルッソはあえなくロニーに銃殺されてしまう。犯人の人相も拝めなかった失意のジミーは別居中の妻のもとを訪れるが、妻にはすでに新しいパートナーができていた。同じころ、こちらもやもめのレッドは元妻のウェイトレス、モナに会い、一夜を共に過ごすが、翌朝あっけなく追い立てられてしまう。レッドは借金相手で高利貸のトニーが住まうホテルに赴くが、昔のよしみは通じず、金の返済期限を1週間と決められる始末。しかもその折に偶然出会った高級娼婦ヴィッキー(ロリータ・ダヴィドヴィッチ)をデートに誘い、彼は昔行きつけだったクラブ″パレス″へ出掛け、楽しい一時を過ごす。同じ時、同じホテルで上司に会ったジミーは今回の事件の責任をとる形でニューアークに転任を命じられるが、彼はルッソ殺しの犯人を挙げるため、一週間の猶予を得る。その夜、ジミーはレッドとのデートを終えたばかりのヴィッキーに会い、もともと親密な関係にあった2人は一夜を過ごす。さてレッドは自分の担当だった悪徳弁護士マックス(ジョナサン・バンクス)をつかまえ、金の工面を頼むが断られる。そこで彼は一計を働かせる。自分の経験と才能を信用しているロニーを再度使って、裏で偽札や麻薬の取引で私腹をこやすマックスに取引を持ちかけ、代理人を殺し、金を奪ったのである。レッドはロニーが盗んで来たその金を偽札と偽り自分の懐に入れ、さらにレッドを頼り続けるロニーをたきつけ、高利貸のトニーを襲撃しようと決めるのだった。しかしジミーも偽札ディーラーのリーチ(シーモア・カッセル)の妻から事件の元締め、レッドの名前を知り、レッド逮捕のために動いていた。張り込みのさなか、ジミーは妻に再度会いに行くが、折悪く彼女のパートナーと会ってしまい、すごすごと引き上げる。これで決心がついた彼はレッドとのデートから帰ったヴィッキーをつかまえ、プロポーズする。ジミーとレッドの問題の期限の夜が来る。レッドは再度モナを訪ね、ヴィッキーと浮気しようとしたが果たせなかった一件を告白し、全てが片付いたら思い出の″パレス″で踊り、もう一度やり直そうともちかけ、モナはそれを受け入れる。レッドとロニーはトニーを襲撃する。そして殺しは全てロニーに任せ、金だけ持ってずらかろうとしたレッドはずっと彼を尾行していたジミーに捕まる。彼はロニーと″パレス″で合流する手筈をあっさり白状。かくして″パレス″に張り込んだジミーたちは、何も知らずやって来たロニーをレッドを囮に使う事でようやく彼の顔を確認する。レッドはまたもロニーを騙して、警察に彼を射殺させ、厄介払いしたところで混乱に乗じて逃れようとするが、結局捕まる。ちょうど″パレス″にやって来たモナは、なすすべなく連行されるレッドを見送った。その後ジミーとヴィッキーはニューアークで新居を構えた。レッドは仮釈放なしの終身刑を求刑され、上訴の準備中である… 。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ジェームズ・B・ハリス
- 脚本
- ジェームズ・B・ハリス
- 原作
- ジェラルド・ペティービッチ
- 製作
- マーク・フリードマン
- Leonard De La Fuente
- 撮影
- キング・バゴット
- 美術
- ロン・フォアマン
- 音楽
- コリー・レリオス
- 編集
- Jerry Brady
- 衣装デザイン
- Molly Marginnis
- 字幕
- 森本務