ヘンリー・フールのレビュー・感想・評価
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才能なんてあるのかないのか分からない。でも自分を信じて走るしかない。
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どこからともなく街にやってきた自称作家のヘンリー。彼はゴミ収集人サイモンの自宅に居候することに。が、何気なくノートと鉛筆を渡して書かせたサイモンの詩に光るものを感じ、あれこれ指導するうちに彼の文章は社会現象をも巻き起していき・・・。90年代の終わり、NYのインディペンデント映画作家ハル・ハートリーが放った彗星のごとき一作。これまでにも「本」や「書くこと」をモチーフとした長編映画を描いたことのある彼だが、本作では自らの作家性とも向き合うかのように愚直なまでに直球で、だからこそたまらなくユーモラスな、彼としては異色とも言える作品が出来上がった。どれだけサイモンが有名作家になろうと本作のタイトルはあくまでヘンリー・フール。ハートリー監督の目線もこの自称作家のダメダメさ、愛らしさにじっと寄り添い、彼の身体から香る人間性を精一杯祝福しているかのよう。カバンを抱え走るヘンリーのラストシーンが感動的だ。
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