ヘンリー・フールのレビュー・感想・評価
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20年経った今だからこそ。
1997年にハル・ハートリーがカンヌで脚本賞を受賞したが、日本で劇場公開されたのは1999年。その後に作られた続編2本とまとめた形で、2018年に改めてスクリーンで観られることになった。初公開時に観ているが、20年という歳月が流れたからこそ、非常にクリアに作品の進化が見えるようになったと思う。
かつては創作と才能にまつわる奇妙な友情の物語、と捉えていたが、同時に舞台となる町をひとつのコミュニティと捉えた群像劇であり、当時の世相を見つめる社会派な視点が巧みに織り込まれていて、なんと重層的な作品であることか。それでいて人を食ったようなユーモアが随所に感じられ、人々と見つめる目はどこか優しい。
今だからこそいろんな見方ができる作品なので、真価を見極めるためにも多くの人に観てほしい。
才能なんてあるのかないのか分からない。でも自分を信じて走るしかない。
どこからともなく街にやってきた自称作家のヘンリー。彼はゴミ収集人サイモンの自宅に居候することに。が、何気なくノートと鉛筆を渡して書かせたサイモンの詩に光るものを感じ、あれこれ指導するうちに彼の文章は社会現象をも巻き起していき・・・。90年代の終わり、NYのインディペンデント映画作家ハル・ハートリーが放った彗星のごとき一作。これまでにも「本」や「書くこと」をモチーフとした長編映画を描いたことのある彼だが、本作では自らの作家性とも向き合うかのように愚直なまでに直球で、だからこそたまらなくユーモラスな、彼としては異色とも言える作品が出来上がった。どれだけサイモンが有名作家になろうと本作のタイトルはあくまでヘンリー・フール。ハートリー監督の目線もこの自称作家のダメダメさ、愛らしさにじっと寄り添い、彼の身体から香る人間性を精一杯祝福しているかのよう。カバンを抱え走るヘンリーのラストシーンが感動的だ。
導入とラストが好き、話と展開が面白い
決して上品なものではなかったけれど、酷い!と思ってしまう演出にもしっかりと笑いとか哀愁みたいな想いが込められていて(と勝手に感じただけなんですが・・・)、少し長めな作品ながら終始集中して楽しめた。敢えてラカン的とかよく分かんなくても小難しい概念などを絡めながら観賞するとスッゴく面白いかなーと思いました。
ゲロとブリブリぃブリブリぃブリブリって!?
真面目にか?フザけているのか?観ている側の感情が妙に揺さ振られる!?
お洒落で良さげな雰囲気で進むイメージがシモネタで笑わせる描写が多々でビックリした。
全体的に誰が主人公なのか観ていて戸惑う感じにそれぞれが注目に値する存在感でキャラが立っているので三部作になるのも何となくで納得。
主題がハッキリしていないから話の進む方向性がグラグラして物語の展開に驚いたり予想が出来ずにオチも含めて飽きは来ない。
序盤のオシリに嘔吐とトイレからの指輪と笑えるシーンに笑ってしまう。
有害ポエム
無口で社交性も趣味らしい趣味もない清掃会社職員の青年サイモンが、家族と暮らす自宅の地下室に転がり込んで来た男「ヘンリー・フール」に載せられてポエムを書く様になる話。
どんな内容だよとツッコミを入れたくなる程、読む人に影響を与えるポエム。
その癖出版社に持ち込んでもけんもほろろだったり、悪評の連続だったり…残念ながら作中では内容は判らない。
冒頭から終盤までチョコチョコと差し込まれるギャグやキャラクター設定からしたら、これはコメディってことなのか?
口八丁手八丁だったり働きもしないし、女たらしで働きもしないクソ野郎が何をしてどうなるのかと期待は膨らむものの、後半の数年後の話になるまで、話が中々進まずテンポが悪いし、兎に角長いし、何だか訳の判らない無理やりな終わり方だったけど、それなりには楽しめたかな。
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