「ストール」ヘカテ jarinkochieさんの映画レビュー(感想・評価)
ストール
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原作はポール・モランの「ヘカテとその犬たち」(1954)
戦間期に国際管理地域だったタンジール(モロッコ)の
フランス領事館に赴任したロシェル(ジロドー)は
夜に咲く花のようなクロチルド(ハットン)に溺れてゆく
アフリカ北西部に位置する国々はアラビア語で〈マグレブ〉と呼ばれ
日が没するところの意
モロッコはその中でも最も西の果てにある国で
クロチルドの魔女や夜の女王、ヘカテというイメージにつながる
またムスリムの日没時の礼拝をさすらしく
夜の彼女にひれ伏す男の姿に重なるような
子供と親密な彼女を道徳的にゆるい彼でも
理性ではさすがに否定したようなのに
嫉妬にかられ、少年を暴行してしまう
領事館勤務の男が激情で、たがが外れてしまった瞬間で
教会やイギリス領事館に通報され、フランス本国からは左遷される
迷路のような市街地で見せられた子供たちは
東と西の交わった美しい顔をしていた
原作者はいわゆるフランスの上級国民で
外交官職を歴任し、広く旅行もしている
ヴィシー政権とナチスの協力者で
映画では上流階級の特権を享受するロシェルの姿に重ねているようだった
シベリアでは「フランスの二枚舌は続かないぞ」とか
「同じ犬に墓は暴かれる」とか言われている
第二次世界大戦中の1942年、ベルンで再会した時
ロシェルのクロチルドへの情熱は失せていた
異国で輝いて見えた女だったのか
フランスもタンジールに手が回らなくなる
原作者がイマジネーションを膨らませる作家であることも
上手く語られているような気がしました
ローレン・ハットンのストールのあしらいや
ガウンの着崩し方なんかが、やっぱり格好よかったです
普通の女ではああはいきません
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