劇場公開日 1986年5月17日

「結晶みたいな時間」ブレックファスト・クラブ 753さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0結晶みたいな時間

2020年5月5日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

あー嬉しい、胸が苦しい。
愛おしい、やっぱり胸が苦しい。

唐突だ。脈絡もない。そもそも意味なんかない。
あと先など考えもしない。少し先の未来も見えない。そもそも未来などない。
家族との時間が辛い。
家族との時間が辛すぎる。
本音で話したい。
本音が自分で分からない。
人の気持ちが分からない。
自分の気持ちが分からない。
セックスのことだけ考えていたい。
セックスのことが分からない。
とてつもなく不安で笑えてくる。
今はただ踊っていたい。

ゴム靴の立てるリズム。
環境と役割。それに基づくキャラクター。
典型的で、かつ完全に効果的な音楽。

歳を重ねるだけ、歩いていける距離は伸びる。電車にも乗れる。世界が広がる。
それでも行動範囲の中心にはいつだって家族がいて、そこを軸に波紋みたいに広がりながら回る同心円。
それぞれの人生。それぞれの地獄。

聞こえてくるサイレン、犬の吠える声。微かな環境音が彼らの生きる世界を物語る。

“若者が変わろうとしているとき
説教をしても何も効果はない
自分の変化はちゃんと分かっているから”

子供は変わる。どうしようもなく。
人生で一番大事な瞬間は青春時代に詰まってる。死ぬまで気付かない人もいるほどささやかに。

753