「どうしたって苦笑、失笑、爆笑が沸き起こる派手さのないヒューマンコメディ」フル・モンティ 大塚史貴さんの映画レビュー(感想・評価)
どうしたって苦笑、失笑、爆笑が沸き起こる派手さのないヒューマンコメディ
ロバート・カーライルが主人公のガズに扮しており、「トレインスポッティング」ファンだったこともあり、公開後しばらくしてから劇場で鑑賞。あの頃、こういう決して派手さのない作品でも、劇場にはそこそこ人が集っていた。そして、そこかしこから苦笑、失笑、爆笑の声が聞こえてきたものだ。
イギリス北部の街シェフィールドが舞台。かつて鉄鋼業で栄えていたけれど、いまは不況の影響で失業者であふれかえっていた。ガズも養育費すら払えず、別れた妻に息子を奪われそうになっていた。そうこうしているうちに、男性ストリップショーに熱狂する女性たちの姿を目撃した男たちは、自分たちもストリップで一儲けしようと思い立ち、寄せ集めのメンバーが猛特訓を開始する。
こういってはなんだが、失業した中年の男たちがストリップに挑む姿は滑稽そのもの。その必死さが観る者に笑いを誘い、果ては胸アツな感情を呼び起こすにまで至る。それは、どこまでも役者たちの演技力による賜物といえよう。
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