ブルベイカーのレビュー・感想・評価
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レッドフォードさんの足下には死体が埋まっている。 アーカンソー州あーかんぞー💢
暴力と不正に塗れた刑務所とその背後に潜む圧倒的な腐敗に挑む男、ブルベイカーの闘いを描いたサスペンス・ドラマ。
地獄の刑務所へと送られる謎の男、ヘンリー・ブルベイカーを演じるのは『明日に向って撃て!』『スティング』の、レジェンド俳優ロバート・レッドフォード。
精神に異常を来した囚人、ウォルターを演じるのは後のレジェンド俳優モーガン・フリーマン。当時はまだテレビドラマや舞台を中心に活動していた。
エピローグの文章に驚いた。これ実話ベースだったの!?
本作の主人公であるブルベイカーのモデルはトム・マートン(1928-1990)という人物。彼は1967年から1968年まで、アーカンソー州にあるタッカー刑務所農場とカミンズ刑務所農場の所長を務めていた。
1967年、ウィンスロップ・ロックフェラーという男がアーカンソー州の知事に任命される。彼はあの大富豪ロックフェラー家の人間であり、南北戦争以来実に93年ぶりとなる共和党員から選出された知事でもある。
かねてから刑務所内の腐敗について報告を受けていたロックフェラーは知事に就任後、すぐさまアーカンソー州の刑務所制度の改革に取り掛かる。刑罰学者トム・マーカスを招集し、州内2つの刑務所の所長に彼を据えた。
…とまぁここまではよかったのだが、なんとマーカスがカミンズ刑務所から身元不明の遺体を掘り起こしちゃったからさあ大変!彼はこれが刑務所内で殺害された遺体であり、その数は200人にも及ぶ可能性があると主張。それはかつての貧民墓地の遺体であるというアーカンソー州の意見と真っ向から対立する事態へと陥った。
世論を巻き込んだ大スキャンダルに発展したこの一件、ロックフェラーがマーカスの任を解いたことで有耶無耶のうちに終息。ロックフェラーはその2年後、州知事選挙に敗退。さらにその3年後となる1973年に膵臓がんで亡くなった。
このロックフェラー知事、死刑囚の刑期を減刑するなど、本当に刑務所制度を改革しようとしていたようだ。マーカスと二人三脚で歩む未来もあったのかと思うと、なんだか切ない気持ちになりますね。
暴力、賄賂、奴隷労働、この世の全ての悪徳が詰まった地獄のゴミ溜めに潜り込んだ1人の男。この男の正体は一体…?という導入から、あれよあれよという間に物語は加速する。想像を絶する刑務所の闇と、その背後に潜む本物の悪。四面楚歌の状態で、それでも一歩も引かずに真実を解き明かそうと突き進むブルベイカーの姿に、胸が熱くならないものはいないだろう。
第53回アカデミー賞で脚本賞にノミネートされた本作。それも納得の堂々たる映画でした。…ちなみにこの年の脚本賞受賞作は名匠ジョナサン・デミ監督の『メルビンとハワード』(1980)。うーん全然知らん映画だ。
ブルドーザーのようなパワフルさで刑務所内のシステム、そして囚人たちの心までも変えてゆくブルベイカーの姿はほとんど不良高校に赴任してきた熱血教師。『スクール☆ウォーズ』(1984-1985)や『ROOKIES』(2008)と、大きく分ければおんなじジャンルだと言えるのかも。こういう熱血教師ものが好きな人にはオススメ出来る作品である。
とにかく驚かされるのは主演を務めるロバート・レッドフォードのカッコ良さ✨あんまり若い頃の彼の作品を観たことが無かったので、そのあまりのセクシーさに度肝を抜かれてしまった。プラピとイーストウッドを足して2で割ったようなそのルックス。こんなん最強じゃん。男でも惚れるわ。
ちゃんと悪党を撃ち殺すというヒーローシーンも用意されているし、レッドフォードのアイドル映画としてもとっても優秀な作品だと思います。
…ただ、確かにこの映画、最後に悪人を撃ち殺すわけだけれども、ソイツも結局は木っ端ものにすぎない訳で。その背後で蠢く本当の邪悪には結局手は届かず、この映画は幕を下ろしてしまう。実話ベースの物語である以上は仕方のないことだとは思うのだが、まぁやっぱりスッキリはしないっす。1980年といえばアメリカン・ニューシネマの流行も廃れてきていた頃だとは思うのだけれど、その残滓のようなものが本作には残っているような気がする。
オチは好き嫌いが分かれるだろうし、ところどころブルベイカーの考えの足りなさが気になる(すぐに行動していればあのオッちゃん殺されずに済んだし、囚人に銃を持たせるというトンデモ指示を出していなかったらグラサンが撃たれることもなかったよね…)のだが、予測のつかない物語がスピーディーに展開するので退屈する暇はない。刑務所映画の隠れた名作といってよいでしょう!
お前、こんな前から
こんな役ばっかやってたのか!
とモーガン・フリーマンが出てきた時に思った
。
海外旅行中に無料上映してるのを地元の人と共に鑑賞した。劇中の出来事に反応して盛り上がる人たちと見たのでとても楽しめた。
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