劇場公開日 2025年3月7日

「都会→砂漠→都会」プリシラ(1994) talismanさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5都会→砂漠→都会

2025年3月7日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

幸せ

こんなに面白く楽しく笑えて泣ける映画だと思わなかった。俳優にびっくり!テレンス・スタンプ、凄い!「テオレマ」で初めて出会い、今から30年前の映画にドラァグクイーンとして現れる。上品なマダム、彼女の言葉にはみんなが納得する。少し老いた、美しい彼女の顔、言葉、エレガントな振る舞い。テレンス・スタンプってすごいと静かに感動した。彼女の仲間2名は個性も今までの人生も豊か。バーナデット(テレンス)から一番嫌がられていた若者マッチョ・ドラァグクイーンはガイ・ピアース!ついこの間の映画「The Brutalist」でラースローのパトロンやってたハリソン!実は女性妻(とってもいい!)と結婚していて息子がいる彼は、マトリックスのエージェント・スミスー!

行ったことないオーストラリア、いろんな昆虫や動物と出会う大地、ぐるりと一回転してどこも地平線。都会では歓迎されるドラァグクイーン、田舎ではてんでダメ。30年前の映画だけれど全く古さを感じない映画だった。笑い、悲しい悔しい涙がたくさん流れた。音楽よかった。

talisman
Gustavさんのコメント
2025年7月28日

talismanさん、コメントありがとうございます。
丁度公開されて60年、私が観たのが丁度50年前で淀川さんの日曜洋画劇場でした。地上波でしたから20分弱カットされたものです。原作がイギリスのジョン・ファウルズ(他に『フランス軍中尉の女』これがまたいいのです)のデビュー作。ドイツ生まれのワイラー監督がイギリスで制作して、ヒッチコック的なサスペンスとスリラーに挑戦した異色作。イギリスの切り裂きジャックなどの犯罪やシャーロック・ホームズの探偵小説の雰囲気がありますね。精神異常者を演じたテレンス・スタンプの出世作。今この原作を映画化すれば、もっとダークな雰囲気の恐怖映画になるでしょうが、流石ワイラーの演出はスマートで上品ですね。テレビで放送した後、淀川さんに、スタンプという男優について教えてくださいとか、あの青い目が身震いするほどですとか、反響があったそうです。でもこれはスタンプが演じているから映画として観られますが、こんな自分勝手な男は危険です。蝶をビンに入れて蓋をするところ、女性の為に用意する家具と服のセンスの悪さ。エッガーが美術学校の学生の設定がいいと、淀川さんは指摘しています。ストーカー犯罪がまだ身近になかった時代の映画として、演出と俳優の上手さを観る作品と思います。私は、監禁を知らせるのにバスルームで蛇口を開き水をあふれさせるシーンの演出に唸りました。主人公フレディに感情移入して観てしまった人に作家の吉行淳之介さんがいました。色んな意味で怖い映画です。

Gustav
Gustavさんのコメント
2025年3月9日

talismanさん、良い映画にめぐり逢いましたね。伝えたい気持ちが伝わってますよ。映画を理屈ではなく感情で観れば、心を震わせるものに出会て、その余韻に今まで感じていなかった違う自分に気付かされます。映画を観て心を奪われる感動が一番ですね。
私は映画に夢中になっていた頃の自分を、今歳を重ねて振り返ってみることがあります。自分にとって本当に良い映画は、鏡のように自分を丸ごと見せてくれます。自己満足かも知れませんが、少しは心が豊かになった気持ちになります。

Gustav
Gustavさんのコメント
2025年3月8日

talismanさん、コメントありがとうございます。
テレンス・スタンプは今年86歳になるんですね。後期の作品も何本か観ていますが、やはり20代から30代の頃の方が作品に恵まれていたように思います。でもこの「プリシア」は、スタンプの代表作の1本になりますね。私が最も好きな女優ジュリー・クリスティと共演した「遥か群衆を離れて」が切っ掛けで2人は交際していたようです。「コレクター」「世にも怪奇な物語」と共にお薦めしたい、トーマス・ハーディの文芸映画です。

Gustav
Gustavさんのコメント
2025年3月7日

talismanさん、共感とコメントありがとうございます。
この作品は公開当時、淀川長治さんだけが絶賛していて注目して観ましたが、今回リバイバルされたのですね。最近はLGBT関連で騒がしいですが、この時代でも映画の世界では差別なく扱っていました。ストーリーも定石通りの温かいお話で、主演3人のキャスティングが嵌っていました。テレンス・スタンプは「テオレマ」でも神秘的な青年役で存在感がありました。私は17歳の時に観た「コレクター」でワイラーの演出の巧さと共にスタンプの演技力と独特な個性に驚きました。でも一番の衝撃は、19歳の時に観たフェリーニ演出の「世にも怪奇な物語」のスタンプです。イギリス男優は紳士然とした佇まいに男の色気を備えた人が多く、古くはローレンス・オリビエ、アネック・ギネス、ショーン・コネリー、ピーター・オトゥール。そう眼の色からするとスタンプはオトゥールに近い不思議な魅力がありますね。一寸謎めいた雰囲気も含めて。同世代では、マイケル・ケインも私が好きな俳優です。
この55歳でドラッグクイーンを演じ切ったスタンプの俳優魂、尊敬に値すると思います。

Gustav
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