劇場公開日 1981年4月18日

ブリキの太鼓のレビュー・感想・評価

全21件中、1~20件目を表示

3.0仮に人種・民族や国民の融和への想いもあったのだとしたら、クストリッツア監督の「アンダーグラウンド」の方が…

2025年6月5日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

カンヌ国際映画祭パルム・ドール
(地獄の黙示録と同時受賞)、
アカデミー外国語映画賞、
キネマ旬報ベストワン、
の各賞受賞という、
世界中で支持された作品のようだ。

若い頃に観た時の記憶としては、
ただただオスカルの太鼓を叩いての叫び声に
よるガラスの破壊のシーンの印象が強く、
ナチス支配の時代的背景も分からずに
観ていたのだろうと思う。

その後、アンジェイ・ワイダ監督作品
も含め、ポーランドの時代的背景に
少しばかりではあるが理解が進んだ中での
今回の鑑賞になった気にも。

それでも、改めての鑑賞では、
ポーランド人・ユダヤ人・ロシア人
・ドイツ人に加え、
当時はカシュバイ人という存在も
現代でいうグタニスクという町にはあり、
複雑なヨーロッパでの人種構成を
思い知らされることとなった。

また、ガラスの破壊やエロチックなシーン等
の軽妙な印象からは懸け離れたような、
実は作品全体が重苦しい作風だったことには
大変驚かされたが、
今回の鑑賞では、誕生前から自我があり、
それ故に大人の歪んだ世界を知ってなのか、
大人になることを拒否した
オスカルの目を通して、
原作者や監督が何を伝えたかったのかに
注力して鑑賞を続けた。

しかし、間違う存在としての大人
との見立てはありそうだが、
大人だからこそ間違う存在とまでは
表現し切れてはいないようで、
成長を止めたオスカル目線のこの物語の
原作者や監督の意図を掴みきれなかった。

また、他にも分からないことが多く、
ナチスの集会で行進曲をワルツに変え
踊り出すシーンや、
イヤなものはイヤとして
魚を食べないオスカルの母親の姿勢は
自由への希求の象徴で、
しかし、その後、
その魚をむさぼり食べ始めるのは、
イヤなことではあるが、
ナチス支配を受け入れ始めたとする
例えなのだろうか。

更に、少し疑問だったのは、
小さい人々による戦地慰問のシーンが
出てくるが、
ナチスのゲルマン民族優性人種主義の史実
もあり、実際はどうだったのだろうか。

どこまでのウエイトがあったかは分からない
けれど、もし仮に、この作品に人種・民族や
国民の融和への想いもあったのだとしたら、
旧ユーゴスラビアの話ではあるが、
私は、ラストシーンも感動的な
エミール・クストリッツア監督の
「アンダーグラウンド」の方が好みではある。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
KENZO一級建築士事務所

5.0時の権力に翻弄され、日和見的に思想や信条を日々変化させる狡猾で不甲斐ない大人たちをシニカル描いているのが秀逸。

2025年5月25日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

驚く

斬新

早稲田松竹クラシックスvol.235/『退廃する街で』と題した特集上映にてフォルカー・シュレンドルフ監督『ブリキの太鼓』(1979)、ルキノ・ヴィスコンティ監督作品『ベニスに死す』(1971)の2本立て鑑賞。

『ブリキの太鼓<劇場公開版>』(1979年/142分)
高校生以来、実に35年ぶりの鑑賞。
当時は『オーメン』(1976)や『キャリー』(1976)、『ブラジルから来た少年』(1978)、『チャイルド・プレイ』(1988)のような子どもを題材にしたドイツのホラー映画と勘違いしてレンタル、仰天した思い出がありますね。

産まれた時から大人顔負けの知性を持っているプロットは、市川崑監督『私は二歳』(1962)や『ベイビー・トーク』(1989)に近いですが、3歳で成長することを止め、「子どもの着ぐるみ」を着ながら、冷静に大人の目線で世間を洞察。
第1次世界大戦~ナチス政権下~敗戦までの激動のドイツを、時の権力に翻弄され、日和見的に思想や信条を日々変化させる狡猾で不甲斐ない大人たちをシニカルに描いているのが秀逸。

ファンタジー、寓話的な作品に見せかけ、当時の国家の方針が決して政権だけでなく、民衆も積極的に賛同したことをきちんと描かれている点はドイツ映画としても珍しいですね。

カンヌ国際映画祭パルム・ドール賞、アカデミー外国語映画賞を獲得したのも納得です。

コメントする (0件)
共感した! 2件)
矢萩久登

4.0怪奇地獄大劇場

2024年11月18日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

もっとジメジメした説教臭い映画なのかと思っていた。それと時間の長さもあって、敬遠していた。そろそろ見るかと重い腰を上げたら、予想をいい意味で裏切られた。こんなに『エクソシスト』『オーメン』みたいな映画とは!/もちろんホラーではなく、ドイツとポーランドの(悲しい)歴史を地獄巡り的に描いたもの。しかし、描写がなんか三池崇史的コミカルさなのである(もちろん三池崇史の方が後年の作家だが)。『極道恐怖大劇場 牛頭』とか『岸和田少年愚連隊 血煙純情編』とかみたい。/食べてヤるだけ、という人間の悲しみもあり、人が人を殺すなんてどう理屈をつけてもアホらしいということでもあり、無垢さの罪みたいなことでもある。

コメントする (0件)
共感した! 3件)
ouosou

3.5オスカルの顔が‥

2024年9月3日
iPhoneアプリから投稿

笑える

怖い

難しい

ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする (0件)
共感した! 3件)
アキより

3.0見た目が3歳の大人

2024年5月26日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

知的

難しい

内容がカオスでレビューを書くのが容易ではないです。原作の発表が1959年、本作の公開が1979年とのことで、第二次世界大戦を経験した人達がまだまだ生きている時代です。だから、全体から社会に対する強烈なトラウマを感じました。人間の狡さや脆さを汚く突き放して描いており、この狡さや脆さを許していなかったです。

昨今、戦争を甘くロマンチックに描く作品が出てきていますが、戦争はそう甘いものではないのです。作る側も観る側も戦争経験者がいなくなってきたのもあるのでしょうが、本作で描かれていたのは戦争の本質です。

コメントする (0件)
共感した! 2件)
ミカ

3.5すべてはダンツィヒから始まった。

2024年4月29日
iPhoneアプリから投稿

第二次世界大戦の最初の被害者にして、最も長く戦火に苛まされたりポーランドの泊まった時間を、1人の少年の成長に置き換えた発想力には驚かされる。
歴史を遡るとき、表現としての醜悪なシーンは、歴史が凄惨であればあるほどアートの文脈に置いては正当化されるように思う。

コメントする (0件)
共感した! 2件)
ラーメンは味噌。時々淡麗醤油。

4.0久方ぶり

2024年2月26日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

アマプラにディレクターズ・カット版があったので再見した。面白いが、内容が内容だけに、映画館ではもう見られないだろうな。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
hanataro2

4.5奇跡と幻滅の間で

2024年2月12日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする (0件)
共感した! 2件)
sankou

4.0二つに挟まれて翻弄される叙事詩的物語か

2024年2月6日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

知的

難しい

ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする (0件)
共感した! 4件)
parsifal3745

5.0ダークサイド版フォレストガンプ

2024年2月4日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

高校生の頃にテレビで視聴
第二次世界大戦下の自由都市ダンツィヒで成長を止めたオスカルの視点から大人たちの薄汚い部分、ある意味で人間らしいところを描く

グロテスクな描写
牛の頭にむらがるウナギ

エロティックな描写
小さな子供に演じさせてよいのか

そして何よりも印象的なシニカルオスカルの視線

ドイツ版のダークフォレストガンプどぁる

久々にアマプラで視聴して記憶が蘇った
現代では絶対に表現できない、古き良き作品だと思う

コメントする (0件)
共感した! 0件)
Ranquet

4.0タイトルなし(ネタバレ)

2024年1月17日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする 1件)
共感した! 1件)
マサシ

4.0エロスと生命力を突き詰めたドイツ的表現のグロテスクの魅力

2022年6月9日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

西ドイツ映画復活の話題の大作。3歳で自ら成長を止めたオスカル少年から見たドイツ史の中の人間のエロスと表現すべきか。異様にして不思議な生涯からは、美しさと毒々しさが混在した独特な詩情が漂い、これまでに経験のないドイツ映画の表情を持っている。突き詰めないと満足しないドイツ的実直さ、それによる表現力の大胆さ、そこに香るドイツの匂い。古典的色調のエレガントな色彩美。フォルカー・シュレンドルフ監督の割り切った演出。グロテスクな描写が淡々と流れゆく知的ユーモアが支配する映画の魅力。悪夢のようなドラマツルギーである。

  1981年 4月21日  スバル座

コメントする 1件)
共感した! 4件)
Gustav

5.0成長とは不自由を甘受すること

2022年5月15日
iPhoneアプリから投稿
ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする (0件)
共感した! 1件)
U-3153

3.5不気味で衝撃的な映画。 オスカルが生まれるシーン、気持ち悪いスープ...

2022年4月16日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

不気味で衝撃的な映画。
オスカルが生まれるシーン、気持ち悪いスープを飲まされるオスカル、魚を貪る母親の姿、マリアとの戯れなど悪寒の走る場面が多かった。
大人にならないオスカルの眼を通して描かれる大人は愚かで哀しい。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
tsumumiki

2.5一芸が身を助ける?

2021年10月31日
iPhoneアプリから投稿

笑える

公開時から気になっては居ましたが、長年観ずにCSで録画したディレクターカット版も1年以上放置したのは時間が長過ぎるため。
昔の話題作ですが、今お勧め出来る様な点はありません。世界対戦に関わるエピソードを増やしたいマニアの方くらい。
悲劇の物語の中で奇妙な力を持つ事が、後半にも役に立つ所で、主人公の活躍につながる明るい材料なのかと思って表題としました。
40年の便秘が解消した感じ、失礼しました。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
MIZ

4.0名作

2020年7月12日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

①こんな大人たちを見ていたら、そら大人になりたくないわな。②馬(牛だったかな)の死体の頭をうなぎがウジャウジャとのたくっているシーンはこの映画の白眉。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
もーさん

3.5生理的に受け入れられるか否か

2019年8月22日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

汚らしいし、性描写も異様だし、ナチだし、話も奇妙なものなので、生理的に受け入れられるかどうか…
かなりシュールで、結構笑える。笑えるけれど、心が晴れることはなく、言いようのない悲しみが消え去ることはない。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
SH

5.0あらゆる事への皮肉

2017年12月27日
iPhoneアプリから投稿

これほど怖い 恐ろしい 不気味と思った映画は久しぶりだ
オスカル役の子の演技には驚きまくりだった
ショッキングなシーンや児童ポルノなどと色々物議を醸し出したのもわかる
大人になってもう一度見直そうと思った

コメントする (0件)
共感した! 0件)
cinemagaski

5.0評価5の映画史上最高傑作10選+α

2017年4月3日
iPhoneアプリから投稿

2001年宇宙の旅
惑星ソラリス
ブレードランナー
未来世紀ブラジル
ミツバチのささやき
ブリキの太鼓
時計じかけのオレンジ
裸のランチ
ウンタマギルー
ナウシカ
もののけ姫
ストレンジャー・ザン・パラダイス
バグダッド・カフェ
ドゥ・ザ・ライト・シング

※わたしの評価の基準
期待通りで3、期待しすぎで普通でも3、期待せず予備知識もなく面白かったら3、それ以上なら4、それ以下なら2。
よっぽど酷いと1。
期待を裏切る良さがあれば4だし、完全に裏切られるほど期待を遙かに超えてたら5です。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
fuhgetsu

3.5不思議な映画

2016年3月2日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

難しい

何かメッセージ性があるわけでも、ストーリー性があるわけでもない。でもなんだか見続けてしまう不思議な映画。主人公の少年に興味がわけば最後まで観られるけど、そうじゃないと最後まで観るのは苦行かもしれない。
舞台はポーランドで第二次世界大戦という激動の時代を背景に、不思議な少年の視点で、その周囲の人々が描かれている。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
佐ぶ