フランケンシュタイン(1994)のレビュー・感想・評価
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ケネス・プラナークオリティ
おどろおどろしい様な雰囲気ではなくファンタジー映画のような作りになっている。演技派の俳優を豪華に揃えているため観る者を飽きさせない。特にエリザベス(ヘレナ・ボナム・カーター)が良かった。研究を続けることとエリザベスとの愛を天秤にかけるやりとりは見物です。
かなり時代考証にも力を入れて、細かな描写にもこだわりが感じられました。デ・ニーロ演じるモンスターが人間らしい感情を徐々に身につけていく様子、ヴィクターの裏切り行為によって凶悪化する様子等、彼の演技も素敵だ。そのため、ホラー映画ではなくファンタジー&人間ドラマとして出来上がったようだ。ホラーのような怖さはもちろん無く、最後には涙を誘われます。
スタッフ・キャストをこれだけ揃えたのに
劇場公開時鑑賞。こちらにも出演していたイアン・ホルム氏が亡くなりましたね。合掌。
さて本題ですが、うーんデ・ニーロは別にいいとしてボナム・カーターまで…。ゴシック調の重厚な雰囲気とメイクなどの特殊効果がどうもチグハグに感じられて、監督としてのケネス・ブラナーのイメージは悪いまま今に至ります。
現代に置き換えると、亡くなった人をAIで蘇らせようとする試みが是が...
現代に置き換えると、亡くなった人をAIで蘇らせようとする試みが是が非かという問答に近いものがあるのかなー。
倫理的なメッセージが込められた作品だと思うけど、個人的には、亡き人の思い出を胸に前に進まないといけないんだなと思わされた。
現代に蘇るゴシック・ホラーの古典。船長、あんたは漢の中の漢や!
永遠の命を探求するフランケンシュタイン博士により生み出された”怪物”がもたらす悲劇を描いたゴシック・ホラー。
監督は名優にして名匠のサー・ケネス・ブラナー。当時は舞台俳優、そして有望な新人映画監督として活躍していた。怪物を生み出してしまう科学者、ヴィクター・フランケンシュタインを自ら演じており、さらには製作補も担当している。
脚本は『ブロブ/宇宙からの不明物体』『ザ・フライ2/二世誕生』のフランク・ダラボン。
フランケンシュタインの怪物を演じるのは『ゴッドファーザー PART Ⅱ』『タクシードライバー』の、レジェンド俳優ロバート・デ・ニーロ。
フランケンシュタイン博士の婚約者、エリザベスを演じるのは『眺めのいい部屋』『ハワーズ・エンド』の、名優ヘレナ・ボナム=カーター,CBE。
製作は『ゴッドファーザー』シリーズや『地獄の黙示録』の、巨匠フランシス・フォード・コッポラ。
閨秀作家メアリー・シェリーが生み出したゴシック小説の古典中の古典「フランケンシュタイン」(1818)。1818年といえば、日本ではまだ勝海舟すら産まれてない!200年以上経った現代でも未だに強い影響力を持つ、正に怪物級の名作といえるでしょう。
この小説を知らない人はまずいないと思うのですが、実際に読んだ事があるという人はかなり限られるのでは?
自分も原作は未読。正直本作を観るまでどういうお話か全く知らなかったので、それを知れたというだけでも鑑賞した価値はあった。
俳優陣はとっても良い✨
ケネス・ブラナーはハンサムな顔立ちながら、徐々に狂っていくフランケンシュタイン博士の狂気を上手く演じていました。特に怪物誕生直前と直後で纏う空気がまるで違うのは流石!
ヘレナ・ボナム=カーターも良かった!美しい顔立ちながらどことなく不穏な空気を纏う女優さんである彼女。そこがとっても魅力的なわけだが、本作でもそれは遺憾無く発揮されていた。
余談だが、ケネスとヘレナはこの作品がきっかけで交際することとなる。当時ケネスはエマ・トンプソンと結婚していたのだが…。まぁそういうこともある。ハリウッドではとても良くある。本作にはやたらとこの2人のラブシーンが挿入されており、正直それがノイズになっていたのだが、これただ単純にケネスがヘレナとイチャつきたかっただけなんじゃないの!?
そして何より、ロバート・デ・ニーロのスター性と演技力がこの作品をグイグイ引っ張っている。
異形のものとして生み出された怪物の哀しみと怒り、それが画面から迸るようだった。だれだかわからないほどのメイクをしているにも拘らず、彼が映るだけで画面がグッと引き締まるのは流石という他ない。
18世紀のヨーロッパを再現した街並みやファッションも見事。当時の欧州社会には詳しくないのですが、本当にあんな世紀末みたいな世界だったんですかね?天然痘、コレラ、転がる死体にスラム化した街に借金取りにリンチに…もうめちゃくちゃだよ!
絵面に関しては文句なしなのだが、映画の内容自体は普通。つまらなくはないが特別面白くもない。
神の倫理に背いた科学者の苦悩と、生みの親にすら愛されない怪物の哀しみを恐怖映画の中で描こうとしているのはわかったのですが、その肝心の恐怖描写が中途半端で、怪物の恐ろしさが全然伝わってこない。残酷描写を積極的に描こうとしておらず、その生ぬるさが映画の温度を下げてしまっている。
すごく気になったのは怪物誕生のシーン。裸のデ・ニーロと半裸のケネスがローションの中で組んず解れつしている様はまるでコント💦ここはもう少し緊張感というものがないとダメなんじゃないだろうか…。
苦悩の狂科学者フランケンシュタインの絶望も描き込みが薄い。全然その切迫した感じが伝わってこない。
親友のヘンリーがやたらといい奴だったのも相俟って、フランケンシュタインがただのクズにしか見えなかった。
やたらと雪山推しなのも謎。復讐に燃える怪物が雪山を歩くシーンやアイスクライミングをするフランケンシュタイン博士を空撮による引きのカメラでダイナミックに映していますが、それが全然映画の雰囲気に合ってない。必然性が感じられないダイナミズム。予算が余ったの?
怪物がフランケンシュタインの死を悲しむラストシーンも唐突すぎてポカン。父親への執着をもう少しわかりやすい形で劇中で表現しておかないと、観客はここで感動出来ない。残念ながらこのクライマックスはすごく滑った感じになってしまっていた。
全体的に中途半端な印象を受ける映画ですが、本作のベストキャラは最初と最後にしか出番のない船長でしょう。
勝手に死んだフランケンシュタインを手厚く葬り、海に落ちた怪物に手を差し伸べ、最終的に部下の命を優先して帰路につく。この人が主役でいいんじゃない?
この題材とこのキャストならもっと面白くなっていても良いはず。コッポラがプロデュースしているが、どうせなら監督もしてくれればよかったのに、と思わずにはいられない一本でありました。
忘れえぬ映画
焼身自殺(自死ではなく、あえてここでは自殺という言葉を使う)の場面がありますので、これから鑑賞を考えていらっしゃる方はご注意を。
でも、その場面に至るまでの流れと、この後に続くその”人”の想いを考えると、衝撃とともに、号泣すらできぬほどの驚愕・切なさに胸を貫かれる。忘れえぬ映画です。
南米で、スペイン語バージョンで鑑賞。
拙いスペイン語では、ついていくのがやっと。
なのに、だいたいのストーリーは映像・役者の演技で堪能できます(それくらい演技と映像が作りこまれている)。
その、物語の切なさに、役者の演技、調度類等の映像美に、何度も見返したいのに、冒頭に記した場面が衝撃的過ぎて、切なすぎて、なかなか再チャレンジできません。反対に言えば、何年も前に他の言語で観た映画なのに、ずうっと心に残る映画です。
原作未読。若干変えてあるらしいけれど、ほぼ原作通りらしい。
原作がそうなのか、シェイクスピア俳優として名高いケネス氏が監督だからか、
舞台らしい視覚効果を狙った?と思えるような場面や、省略等ツッコミどころはあります。
でも19世紀の雰囲気たっぷりに魅せてくれます。”あの”場面があんなに美しくロマンチックに見えるなんて。
当時のキャッチコピーは「愛もなく、なぜ造った」。
映画史上に残したい傑作キャッチコピーだと思います(個人の感想)。
尤も、二人目のクリーチャーは「愛ゆえに(勝手に)造った」なんですけれどもね。
”つれあい”・”友”を求める気持ち。
自分を認めてもらいたい気持ちに心が揺さぶられる。
そして人間のエゴ。
そのエゴ丸出しにしてまでも求めて禁断の領域に踏み込んでしまうその心。
そのエゴに翻弄される”人々(怪物含む)”。
人間が一番怖い存在なのかもしれません。
タイトルを聞けば、ホラーのジャンルに分類されそうですが、
この映画は、壮大な人間ドラマです。
心の純な部分と、闇をご堪能ください。
デニーロ氏とケネス氏の好演はもちろんのことですが、
ヘレナさん、なんでこの演技で受賞していないんだろう。不思議です。
原作者についての映画が公開される今、二本立てでリバイバルしないかな。
自分勝手な発展
母の死を経験し、永遠の命の研究に没頭するヴィクターは大学で禁断の蘇生術に手を出すことになり…。
デニーロ主演の1994年版。人の都合で生み出し放棄する、遥か過去に作られた物語なのに科学の発展に避けて通れない罪を描いた深い作品でした。
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