「体験に基づくリアルなベトナム戦争!?主人公の行為は今でも衝撃的」プラトーン Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
体験に基づくリアルなベトナム戦争!?主人公の行為は今でも衝撃的
オリバー・ストーン 監督による1986年製作(120分/R15+)のアメリカ映画。
原題:Platoon、配給:ワーナー・ブラザース映画、劇場公開日:1987年4月29日
あまりに有名なベトナム戦争の映画だが、自分は初の視聴。今見ると当時のインパクトは多分薄れた様にも思えるが、それでも現地住民の理由無き殺戮や性的暴行、米軍兵士の麻薬耽溺、自傷による負傷帰還、更に戦闘中での米軍内での反抗的な部下の殺人や上官殺しが描かれており、凄みを感じた。
また、この様な映画が米国人により作られ、アカデミー賞で作品賞・監督賞など4部門受賞したことに、米国映画製作への敬意を覚えた。日本でもこういうリアルな戦争映画が作られれば、誇りに思うのだが。
主人公(チャーリー・シーン)が属する部隊の人間がどんどんと亡くなっていく様が、強く印象に残った。調べて見るとベトナム戦争で、米軍は5万8,718人の戦死者と約2,000人の行方不明者を出しているらしい。市1つ分がスッポリと消滅した勘定で、どうして彼らは遠い異国で死ななければならなかったのか?少なくとも、国や家族を直接的に守る為ではなく、国家指導者の罪深さの大きさを感じてしまう。そして今も、プーチンにより命を粗末に扱われているロシア兵のことを思ってしまう。
オリバー・ストーン 監督の映画はかなり見ている。彼自身のキャリアにはずっと無関心だったが、イェール大学を中退して1967年から合衆国陸軍に従軍し、ベトナム戦争を経験。空挺部隊に所属し死傷率高い特殊部隊的な偵察隊に加わっていたとか。除隊後、麻薬におぼれ、ヘロインやマリファナ所持で逮捕歴も複数回有るらしい。
大学中退して志願して従軍したと語り、麻薬も嗜んでいたこの映画の主人公は、監督自身の経験を強く反映していることを知った。冷酷非情な隊長バーンズ(トム・ベレンジャー)と無益な殺人を嫌う班長エリアス(ウィレム・デフォー)の激しい対立は印象的であったが、主人公がエリアスを撃ったバーンズを殺害するのは衝撃的。この後ずっと米国の権力を糾弾していくストーン監督の決意表明ということだったのだろうか?
監督オリバー・ストーン、製作アーノルド・コペルソン、製作総指揮ジョン・デイリー デレク・ギブソン、脚本オリバー・ストーン、撮影ロバート・リチャードソン、音楽ジョルジュ・ドルリュー
出演
トム・ベレンジャー、ウィレム・デフォー、チャーリー・シーン、ケビン・ディロン、フォレスト・ウィテカー、ジョン・C・マッギンレー、フランチェスコ・クイン、デイル・ダイ、ジョニー・デップ。