プラトーン

ALLTIME BEST

劇場公開日:

解説

オリバー・ストーン監督が自身の従軍体験を基にベトナム戦争の実態をリアルに描き、1987年・第59回アカデミー賞で作品賞・監督賞など4部門に輝いた戦争ドラマ。1967年。アメリカ人の青年クリスは、徴兵される若者たちの多くがマイノリティや貧困層であることに憤りを感じ、大学を中退して自らベトナム行きを志願する。しかし、最前線の小隊「プラトーン」に配属された彼を待ち受けていたのは、想像を遥かに超える悲惨な現実だった。小隊では冷酷非情な隊長バーンズと無益な殺人を嫌う班長エリアスが対立していた。それぞれ出自の異なる仲間たちとともに過酷な戦場を生き延びるうちに、戦争になじんでいくクリス。ある日、ベトコン基地と思われる村を襲撃したことをきっかけに、バーンズとエリアスの対立は決定的なものとなる。クリスをチャーリー・シーン、バーンズをトム・ベレンジャー、エリアスをウィレム・デフォーがそれぞれ演じた。

1986年製作/120分/R15+/アメリカ
原題:Platoon
配給:ワーナー・ブラザース映画
劇場公開日:1987年4月29日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第44回 ゴールデングローブ賞(1987年)

受賞

最優秀作品賞(ドラマ)  
最優秀助演男優賞 トム・ベレンジャー
最優秀監督賞 オリバー・ストーン

ノミネート

最優秀脚本賞 オリバー・ストーン
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映画レビュー

4.0時代を超えて突き刺さるオリバー・ストーンのメッセージ

2018年10月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

名作は鑑賞するごとに違った輝きを放つもの。それを裏付けるかのように、86年公開の本作を「朝十時の映画祭」で久しぶりに鑑賞した際も、得体の知れない感情に襲われた。

チャーリー・シーンを主演に起用した背景には『地獄の黙示録』のマーティン・シーンを踏襲する意図があったのだろうか。だが、『黙示録』が醸し出すある種の寓話性に比べると、本作は記憶をあぶり出すかのようなリアリティと生々しい傷跡を観客に伝える。血なまぐさく、時には目を背けたくなるほどの描写を交えながら。

戦争終結から40年。人類は過去に学ぶと言われるが、その言葉に反して世界は相変わらず泥沼の歴史を繰り返し、一向に成熟したり、賢くなる気配はない。だからこそ誰もが心の内側に「二人の軍曹」を共存させていることを意識しなければならない。その均衡が崩れた時に人は間違いを繰り返す。オリバー・ストーン監督のメッセージは時代を超えて突き刺さってくる。

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牛津厚信

5.0小隊社会

2023年3月25日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

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しゅうへい

5.0虚しさ 静かな怒り

2023年3月24日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

悲しい

怖い

戦争だけでなく、人間・政治・社会、
そして運に翻弄される人生(オニール軍曹の運命と、キングの運命)。
 すべてを描き切っている。
 実体験を素にしていると、あれこれ詰め込みたくなるのに、脚本・演出・編集がうまい。
 音楽はクラッシックがメイン。レクイエムの代わりか。
 『弦楽のためのアダージョ』は、ベトナム戦争にU.S.A軍事介入を推し進めたケネディ大統領の葬儀の時にも使われたそうな。あえての皮肉か。

「国のために」と、身を捧げ、戦地に送り込まれた青年たち。
待ち受けていた実態。
「国のために」というが、どう国のためになるんだか。
元々、ベトナム国内の内戦だったのが、資本主義(U.S.Aや韓国・オーストラリア)と社会主義(ソ連・当時や中国)の代理戦争となったと聞いているのだが。
 この映画を観る限り、己のイデオロギーを押し付けるため、U.S.Aが、一方的にベトナムに侵略しているようにしか見えない。
 この映画のU.S.Aが、今のロシアに、そしてこの映画のベトナムが今のウクライナに見える。今のウクライナは、対ロシア勢力をもろくむ、欧米諸国(&日本)の代理で戦っているように見えるからなおさら…。
 しかも、前線に立っている兵士たちは。生活のためとか、己たちが生まれてしまった境遇を仕方なく受け入れ駆り出されてきただけ。クリスのような志願してきたものもいるが、詐欺のようなプロパガンダに、”英雄”気取りで、操られていただけのように見える。映画の中で「政治、政治」という言葉が何回か虚しく飛び交う。監督の思い。
 そして、教育・訓練されてきたはずの、頼りになるはずの軍人(中尉達)の情けなさ。軍の中の人間としての社会よりも、勝つための(生き残るためでもあるが)命令を優先する軍人(大尉達)。

そんな中で起こる数々の出来事。

エリアスの笑顔が脳から離れない。
 その直後にゆがむ表情…。なんてこった。

冒頭、デフォー氏のクレジットが先なのに、シーン氏が主役?と思ったけれど、
こういうことだったのね。

しなやかな動きのエリアス。班のメンバーのことを思い、茶目っ気も見せる。そして、的確な状況分析から、常に危険な任務に先頭きって挑む。森を駆けるときの緊張にはらんだ眼差し。全身が目になっているような。豹を思わせる。
 監督は、このエリアスを思いっきり魅力的に描く。

熊のようなバーンズ。決して動じない。バーンズ2等軍曹、エリアス3等軍曹とバーンズの方が上だが、役目としてはどちらも分隊長。だが、バーンズは一等軍曹のように、小隊長である中尉の補佐役としてふるまう。否、補佐でなく小隊長そのものか。尤も、あんな中尉だったら、「自分が指揮をとるわい」という気持ちは痛いほどよくわかる。命がかかっているんだもの。
 悪の権化のように描かれるバーンズだが、「命がかかっている場ではありかも」というレビューも散見される。そう、嫌な面ばかりではない。そんな彼が…。

「自分自身との戦いだったんだ…」
 ベトナム帰還兵は、こうでも思わないとやってられないだろうというのが、この映画を観るとよくわかる。
 第1次世界大戦でも、第2次世界大戦でも、PTSDの症状を示す帰還兵はいたけれど、ベトナム戦争後に、その概念が世間に一気に広まった。
 よく、第1次世界大戦・第二次世界大戦と、ベトナム戦争の違いを説明されるけれど、ああ、こんな戦いだったらわかる気がする。

 兵士と民間人の違いが判らない。誰が敵か、誰に殺されるか、いつ、どこから襲われるのか。募る疑心暗鬼。言葉が通じぬ点も疑心暗鬼を煽る。
 恐怖心から、最大の防衛は攻撃とばかりに、エキセントリックに行われる狂気。
 仲間を殺されたことで、一気に噴出する怒り。復讐せずにおれるものかとばかりに。
 ”自分”が”自分”でありたいと鼓舞する果ての狂気。
 ちらつく”軍法会議”の果て。
そんな、心情の高まりがとても丁寧に綴られる。
応戦の激しさ。闇の中からの攻撃。敵もだか、味方からも。アクションシーンとしても見事だが、何より実体験に裏打ちされた場面。見ているだけなのに、追いつめられていく。

彼らは、何と、誰と、何のために、戦っているんだ…。
ただ、ただ、生きて故郷に帰るため。なりふり構わず。見て見ぬ振りも時には有効。

正直、テイラー目線で見ると、決着のつけ方はもうひとひねり欲しい。いいんかい、それで。バーンズと一緒やん。
でも、バーンズ目線で見ると、唸ってしまう。バーンズの人生を、遠い目で憐れみたくなる。彼も、この戦争に従軍していなければ、どんなお父さんになっていたのだろうかと。頼りがいのある一家の長、否、その地域の長として幸せを謳歌していたのだろうなと。

エンドクレジットで、隊のメンバーが各登場人物が一人一人アップで映し出される。
 監督が戦場で出会った人々をモデルにしたのだろう。
 その、モデルとなった人々への敬意と愛着を示しているようで、泣きたくなった。

≪蛇足≫
U.S.A軍が撤退し、北ベトナムによる共産主義政権が樹立。言論統制等に反発したベトナム人たちが、ボートピープルとして、海外に流出。日本にもたくさんの方がいらした。U.S.Aもたくさんの方々を受け入れた。その中のお一人が、2023年アカデミーで助演男優賞受賞。スピーチで「アメリカンドリーム」と言った時、とても複雑だった。
 本当に、この戦争は何だったのだろうか。

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とみいじょん

3.5タイトルなし

2023年3月17日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

人間であることが嫌になる。人間の嫌なところを凝縮。ベトナム人の村に入る時にそこにいる豚を米兵がちょっと蹴るのだが、そういう嫌さ。

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ouosou
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