「人生を輝かせるステップ」フラッシュダンス sankouさんの映画レビュー(感想・評価)
人生を輝かせるステップ
あまりにも有名なアイリーン・キャラの『Flashdance…What a Feeling』に乗せて描かれるサクセスストーリー。
昼は溶接工、夜はナイトクラブのダンサーとして働くアレックスは、バレエ団に所属してプロのダンサーとして生きる夢を持っている。
が、あと一歩のところで怖気づいて行動を起こすことが出来ない。
同じく溶接工として働くニックは、ある夜にダンサーとして輝く彼女の姿に惹かれる。
やがて二人は恋人同士になるが、夢の途中にいるアレックスは些細なことで情緒不安定になり、二人の間には溝が出来てしまう。
ドラマとしてはそこまで深みがあるわけではないが、とにかく選曲とダンスシーンのセンスの高さに魅了される作品だ。
追いかける夢が大きければ大きいほど、そこにたどり着くまでの道のりは辛く苦しい。
そしてほとんどの人がその夢を掴むことが出来ない。
プロのアイススケーターを目指すジェニーも、コックの仕事をしながらコメディアンを目指すリッチーも、夢半ばで挫折を味わってしまう。
そして中には命を落としてしまう者も。
それでも夢を本気で叶えたいと思ったら行動を起こすしかない。
そしてどんなに苦しくても、それがいつかは糧になるのだと信じられる前向きさがなければ夢は決して叶えられない。
さらに本当に大切なのは夢を叶えた後にどのように生きるかなのだ。
大きな夢を目指す人間にとってはエールとなる作品だったと思う。
そして夢の途中にいる者たちの乾いた姿を生々しく描いた作品でもあり、かなり泥臭い印象も受ける。
夢を叶えるためには実力が必要ではあるが、それ以上に自分はすごいと信じられる自己肯定感が必要なのだと重った。
クライマックスのアレックスのダンスの躍動感は素晴らしい。
あれほど踊れるのに何故自分に自信が持てないのか。
あどけない印象を残しながらも、意外と積極的で色気たっぷりのジェニファー・ビールスの姿に魅了される作品でもあった。